季刊 消費経済レビュー |
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II. Consumer Market Survey: コンテンツ消費の将来像
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前回レビューでは、薄型テレビ市場に関するネット・モニター調査結果をもとに、コンテンツがハードの魅力を高め、顧客のセグメンテーションと製品差別化を進展させる原動力となることを示し、コンテンツとの連携がハード市場の帰趨の鍵を握っていることを説いた。今回のレビューでは、テレビ番組を中心とした映像コンテンツを焦点に、ネット・モニター調査に基づき、コンテンツ消費の動向の解明を試みた。 テレビ放送の視聴方法として、放送時間中にのみ視聴する方法(以下、オンタイム視聴と呼ぶ)以外の方法も利用している人が83.9%にも上っている。テレビ放送を中心とした映像コンテンツを録画する理由の上位には、「仕事や学校、家事などで放送時間にみられないから」「遊びや外出などで放送時間にみられないから」「録画しておけば自分がみたいときにみられるから」などが挙がり、放送時間・放送枠というものが視聴者にとって"くびき"以外の何物でもないことが示唆される。1年前と比べて視聴が減った放送として地上波アナログ放送を挙げた人が全体の26.6%にも上り、他と比べ顕著な減少を示している。映像コンテンツ消費の"旧き殿堂"たる地上波アナログ放送も、視聴者にとっては今や不自由きわまりないメディアと認識されつつあり、その栄光に陰りが見え始めている。 録画機器における技術革新は、映像コンテンツを録画・再生して視聴する誘因を強める方向に作用する。技術革新が進展し録画機器の高度利用が進むことで、視聴者は番組放送枠に時間的かつ空間的に制約されずに「自分が見たいときに、見たいものを、見たい場所にて、見たい方法で」視聴すること、ひいては視聴者が自らのニーズに合わせて番組を"編成"することが可能となりつつある。 映像コンテンツ消費の担い手として、我々は、コンテンツ消費について一定の条件を満たした人々を抽出し、彼らを「アクティブなコンテンツ消費者」と呼んだ。「アクティブなコンテンツ消費者」は全体の14.3%を占め、男性20代と男性30代に顕著に多い。「アクティブなコンテンツ消費者」は「その他の一般的なコンテンツ消費者」と比して、購買力が高く、コンテンツ視聴総時間、録画総時間、再生視聴総時間のいずれもが多い。 今後、再生視聴比率が50%以上の層は、現状の16.8%から2~3年後には37.7%へと顕著に増えることが予想されている。映像コンテンツ消費時間の過半を録画・再生の方法で視聴する、いわば「ストック型視聴」層が約4割を占めることになれば、オンタイム視聴を前提に構築された地上波テレビ放送は、その存在意義を失いかねない。「アクティブなコンテンツ消費者」が際立って高い関心を示している新しい映像コンテンツ入手方法はいずれも、タイム・レス、スペース・レスを指向したものであり、その普及の進展は、ストック型視聴へのシフトを促すことになるだろう。「アクティブなコンテンツ消費者」に尖鋭化されたタイム・レス、スペース・レス指向のストック型視聴は将来、映像コンテンツ消費の一般的な姿となるかもしれない。 (2005.05)
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