ダイバーシティとは、「多様性」という意味を持つ言葉で、最近では性別や年齢、国籍などにかかわらず多様な人材を受け入れて組織として活用し、その能力を引き出すことで企業の競争力を高める取り組みを指しています。この背景には、少子高齢化により生産年齢人口の減少が今後続く日本において、新しい労働力が求められているということがあります。女性の再雇用やシニア労働力という国内での労働力確保では経済力を維持することは困難であり、そうした意味において外国人の労働参加は欠かせません。
アベノミクスで政府が掲げる「成長戦略」においても、外資系誘致を視野に入れ、永住に必要な在留期間を現状の5年から3年に短縮する。また、外国人ビジネスマンが都心に住みやすいように建物の容積率を緩和するなど、様々な方針や施策案が盛り込まれています。しかし、ビジネスマン向けの施策はメインではありません。
厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」をみると、2012年10月末時点の外国人労働者数は68.2万人で2011年の前年同期比では99.4%と減少しました。1993年の統計発表以来、一貫して増加してきましたが、2011年3年の東日本大震災の影響で一時的に減少したと推測され、再び増加することが予想されます。
この統計において注目すべきは、産業別の内訳です。もっとも多いのは製造業の38.2%で、以下サービス業12.5%、宿泊・飲食サービス業11.0%、卸売・小売業10.6%と続きますが、長期的に製造業の構成比が減少し、他のサービス系が増加しています。これは、小売業や外食産業の海外展開の加速、また国内でも外国人人口の増加によって店頭での接客人材の二ーズが高まっていることが背景としてあげられます。
多くの国内市場は縮小傾向にあり、企業の海外シフトは今後も続くことが確実されます。日本国内の外国人居住者も増えていきます。これからは多くの企業において、グローバル展開の多寡にかかわらず、外国人の採用と育成が不可避になっていくと予想されます。
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