
Limited Liability Partnership の略で、2005年4月27日に成立し、同年5月6日に公布された「有限責任事業組合契約に関する法律」によって日本に導入される、新しい事業組織形態のことです。施行は、2005年夏ごろが予定されているといわれており、遅くとも公布から6ヶ月以内の11月までに施行されます。この制度は、アメリカ、イギリスではすでに導入されており、シンガポールでも同様の法律が2005年に成立しています。
- 出資者の有限責任
LLPでは、組合が負った債務に対する出資者である組合員の責任は出資額の範囲内となります。民法で定められている任意組合では、組合員は組合の債務について上限なく責任を負うこととなっており、この点では今までの事業組織と大きく異なります。 - 内部自治権の保有
株式会社とは異なり、所有者と経営者が分離されておらず、組合員全員が業務執行権を持ち、事業の運営に関与することとなります。また、監査役などの経営者を監視する機関の設置は強制されておらず、運営方法は自由に決定できます。そのため、利益や損失の分配方法も出資比率によって拘束されることはなく、当事者間で自由に決めることが可能となっています。 - 構成員課税制度
法人格を有する「会社」の場合、会社に対し法人税が課せられる上に、配当などの利益を受け取った出資者にも税を課せられます。しかし、LLPの場合では、組織の所得には税を課せられることはなく、その構成員(=出資者)のみに税が課せられるため、2重課税を回避できます。
上記三つの特徴から、従来の事業組織にない「法人」と「組合」の中間に位置する、かつてない柔軟な事業組織として位置付けられています。
LLPは、起業時のハードルとなる「資金」というハードルが低く(この点では、「確認会社=1円企業」と同様)、立ち上げ後も税負担が軽減されるという点では、従来の組織にはないメリットを持っています。
LLPは新規起業や中小企業同士の連携や、産学連携の一手段として有用であり、特に人的資産を活かす事業(ただし、弁護士や会計士などの士業は除く)には適しています。一方、出資のみの構成員が認められていない、株式公開のような大幅な資金調達策がないなどのことから、成長を目指すための組織としては不向きであると考えられます。また、組織形態の変更が認められていないため、株式会社などへ変更する場合は、1度LLPを解散した上で新たに法人を設立する必要があります。
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