半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net



マーケティング用語集
成果主義




成果主義とは

 成果主義とは、昇進・昇給の基準を「仕事の成果」に置く人事制度の考え方のひとつです。実年齢や勤続年数によって昇進・昇給が決まる年功主義と対比して用いられます。目標管理制度などを使って昇進・昇給の評価・判断をします。これまでの年功主義を排除し、年齢・職階に依らない思い切った処遇ができるようにし、労働者の意欲を向上させることを意図しています。


長所と短所

 年功主義の下では、若く能力がある人ほど働くモチベーションが上がらず、経営側としても、仕事の成果に依らず、勤続年数が多いだけの人に多くの給与を支払うと無駄になります。成果主義では各個人が目標に向かって自主的に仕事ができるようにすることを狙います。成果を上げれば評価されるので、モチベーションもあがり、さらに意欲的になります。また成果を上げることによって会社へ貢献していることも実感できます。経営側も無駄なコストを払わなくてすみます。
 短所としては、成果を上げるために個人プレーに走りがちになることがあげられます。直接成果に結びつかないことは無駄と捉えられ、他人と協働しないばかりか、他人の足を引っ張る場合もあります。また、はじめから目標を低く設定して、内容も複雑な仕事より単純・簡単な仕事を選ぶこともあります。このことは、人材育成・スキルアップ、業績に関して労使双方にとって不利益となります。逆に高い目標設定をしたために、精神的・肉体的に無理をして潰れてしまう場合や、無理やり達成するために不正を働くこともあります。また、そもそも労働者に職務能力がない場合や、職務内容が成果主義に合わない場合、人材配置を間違うとさらに大きな問題となります。
 こうした短所の原因の多くは、成果の定義、評価基準が曖昧で、労使間や上司・部下双方で合意が取れていないことにあります。単純に結果だけなのか、プロセスも評価するのかしないのか、給与と評価をどこまで連動させるのか、といった問題です。また、成果の達成状況が、管理者の判断に依る部分が大きいので、管理者の評価能力も問われます。


制度見直しの事例

 1993年に大手企業の中では早期に成果主義を導入した富士通ですが、2001年3月に成果主義人事制度の見直しを決定しました。その理由は、社員が失敗を怖れ、挑戦を回避するという行動が出たこと、業績低迷、正当に評価されていないといった不満が社内で強くなり、戦略推進の大きな障害となってしまったためとしています。その他の大手企業でも、一度は成果主義を導入したが、運用に失敗して再度年功主義に戻す企業もあります。
 成果主義を導入する場合は、成果を客観的な基準で定義し、その評価基準についても透明性の高いものにし、労使相互の十分なコンセンサスを取るようにするとともに、その制度がうまく機能しているのかを定期的に監視していくことがポイントとなります。



参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

新着記事

2024.07.26

消費者調査データ 炭酸飲料(2024年7月版)  首位「コカ・コーラ」、迫る「三ツ矢サイダー」、高い再購入意向の無糖炭酸水

2024.07.25

24年5月の「広告売上高」は、6ヶ月ぶりのプラス

2024.07.24

24年5月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

2024.07.23

24年5月の「商業動態統計調査」は2ヶ月連続のプラス

2024.07.22

企業活動分析 キユーピー株式会社 23年11月期は海外など好調で増収も原材料高騰で2桁減益に

2024.07.22

企業活動分析 カゴメ株式会社 23年12月期は引き続き海外事業がけん引し増収増益に

2024.07.19

企業活動分析 ライオン株式会社(2023年12月期) 増収も土地譲渡益の反動等で減益に

2024.07.19

企業活動分析 ユニリーバ(Unilever)(2023年12月期) 減収減益、事業部門の業績格差受け、新成長戦略を修正へ

2024.07.19

24年6月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.18

24年6月の「景気の現状判断」は4ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.17

MNEXT 円安は歓迎すべきかー過熱する円安論争

2024.07.16

企業活動分析 山崎製パン株式会社 23年12月期は大幅な増収増益で過去最高益に

2024.07.12

消費者調査データ スポーツドリンク・熱中症対策飲料(2024年7月版) 首位「ポカリスエット」、追い上げる「アクエリアス」

2024.07.11

24年5月の「消費支出」はふたたびマイナスに

2024.07.10

24年5月の「家計収入」は20ヶ月ぶりのプラス

2024.07.09

24年4月の「現金給与総額」は28ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.07.08

企業活動分析 大塚HD 23年12月期は売上は過去最高を記録、医療事業の減損損失で減益に

2024.07.08

企業活動分析 小林製薬の23年12月期は、R&Dや宣伝広告への積極投資を行い増収減益に

2024.07.05

成長市場を探せ 初の6,000億円超え、猛暑に伸びるアイスクリーム(2024年)

週間アクセスランキング

1位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

2位 2024.07.03

MNEXT コロナ禍の前中後の内食もどりはあったのか? -食欲望の現在-

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area