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年功主義とは、実年齢、勤続年数に応じて昇給・昇進させる人事制度の考え方です。 「日本的経営の三種の神器」といわれる年功主義、終身雇用、企業内労働組合のひとつであり、かつての高度成長期を支えた仕組みです。年功序列、年功型賃金体系とほぼ同じ意味で用いられます。
(1)長所
労働者側から見ると、終身雇用と併せて、例えば、何歳までに課長になれる、その収入を見込んで家が建てられるなど将来設計、生活設計の見通しがつきやすく、安心感が得られ、長期的に働く動機が生まれます。
一方、経営者側から見ると、労働者を年齢、勤続年数といった客観性のある指標で評価・判断することができます。
(2)短所
労働者側から見ると、能力に差があっても、年齢、勤続年数が同じであれば、同等の職階、賃金ということになり、特に、能力のある人の仕事へのモチベーションが低下する危険があります。能力より、年齢や勤続年数で評価されているように判断されがちで、若い人からの反発が強いという傾向もあります。
一方、経営者側から見ると、能力、成果の差ではなく、同じ年齢、勤続年数によって職階、賃金を決めなければならず、人件費は右肩上がりの傾向が続いてしまいます。低収益の環境下では収益を圧迫する要因のひとつになります。
「実年齢、勤続年数に応じて昇給・昇進する」ことには前提があります。職務遂行上の必要なスキルが年齢、勤続年数を積み重ねないと形成されないこと、スキルが上がれば成果に差がでることです。スキルの形成や成果が年齢や勤続年数に関係しない場合や、短期的な収益向上を目指す場合は、短所が強調され年功主義を採用することはふさわしくありません。
近年、企業間の競争が激しくなり、年功主義を辞めて能力主義、成果主義を導入する企業が多くなり、さらに民間企業だけでなく公務員の給与体系も見直されています。
しかしながら、早期に能力主義、成果主義を導入した企業の中には、評価の難しさなどの問題から、再度年功主義を見直す傾向も見られます。
年功主義を採ることが適切かどうかは、職種、職務内容を考慮する必要があります。
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