インセンティブ(Incentive)とは、意欲を引き出すために外部から与える奨励や刺激、報奨などを指します。インセンティブは、金銭や物品の提供、旅行、賞による名誉などの形で提供されます。流通や販売、営業活動、経営など、さまざまな分野で導入されています。
インセンティブは大きくふたつに分けられ、消費者に向けた施策を消費者インセンティブ、流通や小売業者、また販売や営業を行う社員などに向けた施策をセールスインセンティブと呼びます。メーカーが流通業者や小売業者に向けた施策をトレードインセンティブと呼ぶこともあります。
消費者インセンティブの例としては、試供品やおまけ品の配布、懸賞、バーゲンなどがあげられます。一方、セールスインセンティブでは、メーカーが流通や小売業者に向けた施策として、取引数量や金額に応じて価格を割引く数量割引、取引量や金額に応じて流通業者に支払うリベートなどがあります。企業が社員に向けた施策として、販売成績に応じた報奨金や賞与の提供、自社株を購入できるストックオプション制度などがあります。
インセンティブの具体例として、携帯電話の販売があります。本来は数万円の価値がある携帯電話を破格値で提供することができるのは、携帯電話会社から販売業者にインセンティブが支払われているからです。携帯電話が1台売れると、携帯電話会社は報奨金を販売業者に支払う取り決めになっており、この報奨金のおかげで販売業者は本体価格を仕入価格以下に設定できるのです。こうした仕組みは携帯電話の普及拡大には効果的であり、消費者は携帯電話を安く手に入れることができ、携帯電話会社は契約者を増やすことができたのです。
しかし、インセンティブを導入した販売手法は、商品の導入期には効果的であっても、価格の低下や供給過剰によって、ブランドの価値を低下させるおそれがあります。商品のライフサイクルを見極めて、複数のインセンティブの使い分けや組み合わせを行うことが必要です。
おすすめ新着記事
成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)
緩やかに増減を繰り返してきたビスケット市場が伸びている。2020年から4年連続プラスで、2023年はついに4,000億円を超えた。コロナ下でも堅調な動きを見せ、2023年の販売金額は4,260億円で、コロナ前の2019年比で1.13倍となった。
消費者調査データ ノンアルコール飲料 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」
2022年のノンアルコール飲料市場は8年連続で拡大を続け、過去最高と推定される。調査結果をみると、ビールテイストの「アサヒ ドライゼロ」が、全項目で首位を獲得したが、再購入意向ではカクテルテイストやワインテイストなどのブランドも上位に複数ランクイン、ノンアルコール飲料の幅の広がりを示している。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 20代男性の内食志向にマッチして伸びる冷凍餃子
数ある冷凍食品の中で圧倒的1位の生産量を誇る冷凍餃子は誰がなぜどのように購入しているのか調べてみた。餃子の選好度、購入頻度、購入増減とも20代が他の年代に比べて高く、冷凍餃子は若い年代が牽引して、拡大してきていることがわかった。