インセンティブ(Incentive)とは、意欲を引き出すために外部から与える奨励や刺激、報奨などを指します。インセンティブは、金銭や物品の提供、旅行、賞による名誉などの形で提供されます。流通や販売、営業活動、経営など、さまざまな分野で導入されています。
インセンティブは大きくふたつに分けられ、消費者に向けた施策を消費者インセンティブ、流通や小売業者、また販売や営業を行う社員などに向けた施策をセールスインセンティブと呼びます。メーカーが流通業者や小売業者に向けた施策をトレードインセンティブと呼ぶこともあります。
消費者インセンティブの例としては、試供品やおまけ品の配布、懸賞、バーゲンなどがあげられます。一方、セールスインセンティブでは、メーカーが流通や小売業者に向けた施策として、取引数量や金額に応じて価格を割引く数量割引、取引量や金額に応じて流通業者に支払うリベートなどがあります。企業が社員に向けた施策として、販売成績に応じた報奨金や賞与の提供、自社株を購入できるストックオプション制度などがあります。
インセンティブの具体例として、携帯電話の販売があります。本来は数万円の価値がある携帯電話を破格値で提供することができるのは、携帯電話会社から販売業者にインセンティブが支払われているからです。携帯電話が1台売れると、携帯電話会社は報奨金を販売業者に支払う取り決めになっており、この報奨金のおかげで販売業者は本体価格を仕入価格以下に設定できるのです。こうした仕組みは携帯電話の普及拡大には効果的であり、消費者は携帯電話を安く手に入れることができ、携帯電話会社は契約者を増やすことができたのです。
しかし、インセンティブを導入した販売手法は、商品の導入期には効果的であっても、価格の低下や供給過剰によって、ブランドの価値を低下させるおそれがあります。商品のライフサイクルを見極めて、複数のインセンティブの使い分けや組み合わせを行うことが必要です。
おすすめ新着記事
消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い
調査結果を見ると、「ラックス(ユニリーバ)」と「パンテーン(P&G)」が複数の項目で僅差で首位を競り合う結果となった。コロナ禍以降のセルフケアに対する意識の高まりもあって、シャンプー市場では多様化、高付加価値化が進んでいる。ボタニカルやオーガニック、ハニーやアミノ酸などをキーワードに多様なブランドが競うシャンプー市場の今後が注目される。
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。