半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

「NEXT VISION 2007」より
CS(シーエスキュービック)マーケティング
舩木龍三・合田英了

本コンテンツは、2006年11月15日に行われた当社イベント「NEXT VISION 2007」の講演録と、同日使用したプレゼンテーションをもとに構成したものです。
構成
 はじめに
 1.Complementarity 補完分析による製品開発アプローチ
 2.Strong Brand Loyalty ブランドロイヤリティづくり
 3.SFN、SWN 顧客ネットワークに入り込むプロモーション
 4.Sales Area Focus 都市再集中戦略
 5.終わりに


はじめに
 みなさん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました舩木と申します。よろしくお願いします。
 私と合田の2人で、NEXT MARKETING2007と題しまして、来年のマーケティングコンセプトと具体的なアプローチをご提案したいと思います。
 そのコンセプトは、ここにありますように「CS(シーエスキュービック)マーケティング」です。

図表1.ピンポイントに狙いを定めた
CSマーケティング
 最初にこれまでのセッションを振り返り、なぜ 「CSマーケティング」なのかをご理解いただきたいと思います。
 市場トレンドでご案内させていただいた「生活の趣味化」を中心とする四つのトレンドは、顧客ニーズの多様化と高度化と捉え直すことができます。  お客さまは単なるものの機能・ベネフィットだけでは満足せず、情報的価値やコンテンツ、サービスと一体となったもの、つまりスタイルに価値を見出しています。これが趣味化の本質です。こうした顧客ニーズに対応しようとした結果、産業が融合し市場の多面化が起こっています。
 産業融合下では、これまで所属する業界と競争地位によって収益が決まるという図式は成立しません。アンドレイさんからお話いただいたプラットフォームという新しい考え方を導入し、高収益をあげ、イノベーションをリードし、顧客価値を最大化する「市場多面化戦略」が必要だということを、松田の方からご提案させていただきました。
 では、顧客価値を最大化するためのマーケティングはどうあるべきか。狙いを明確にしたピンポイントのマーケティングが必要です。そのコンセプトは 「CSマーケティング」です。
 具体的には、これからご提案する四つのマーケティングアプローチです。

 では、四つのアプローチについて基本的な考え方をご案内します。

図表2.CSマーケティングのコンセプト
 ひとつめは「コンプリメンタリティー」。補完分析による製品開発アプローチの提案です。補完関係とは、ある補完物や情報サービスによって、もののもつ価値をより高める関係のことを意味します。これを分析するのが補完分析です。趣味化時代、ものづくりだけではお客さまは大きな価値を見出してくれません。情報的価値やコンテンツ、サービスと一体となってはじめて価値を認めてくれます。たとえば食品業界では、「情報に価値を見出している」と言えます。商品に情報性がないと売れません。逆に情報があると高くても売れます。男前豆腐、想いやり牛乳なんかが典型例だと思います。あるいはマヨネーズを売ろうと思えば、サラダ、パテ、あるいはごはんのおかずと一緒に提案した方が、お客さまが認識する価値は高まります。ではどんな情報、コンテンツやサービスとの融合を考えればよいか、それはものの価値を高める補完関係を発見することです。ユーザーの不満や機能的ニーズを満たすだけでなく、顧客価値を最大化するために情報コンテンツやサービスによって補完する、という考え方に基づくものです。こうした補完関係に着目した製品開発アプローチが、ひとつめのご提案です。
 ふたつめは、「ストロング・ブランド・ロイヤリティ」、ブランドロイヤリティづくりについてのご提案です。趣味化に対応して自社ブランドを磨き、強いロイヤリティを創る必要があります。ポイントとなるのは、これまで教科書で習ってきたブランド戦略、具体的には自社ブランド顧客の囲い込み、あるいはCS(顧客満足)を追求するといったアプローチではダメだということです。趣味化がすすむ日本のお客さまには通用しません。新しいアプローチが必要です。なぜなら、お気に入りのブランドが複数あるという「柔らかいロイヤリティ層」が市場の多くを占めているからです。ふたつポイントがあります。ひとつは攻めと守りを明確にしたブランドロイヤリティづくりが必要だということです。ロイヤリティによるセグメンテーションによって自社の固いロイヤリティ層を守るのか、それ以外のセグメントに狙いを絞り、攻めに出るのかを明確にする必要があるということです。もうひとつは、コミュニケーション、説得の仕方を考え直すことです。自社ブランドのよい面ばかりを訴求しがちですが、こうした良い面ばかりを訴求する「片面説得」よりも、良い面、悪い面の双方を提示した「両面説得」の方がブランドの魅力度アップには効果的であることが確認できました。新しいブランドロイヤリティづくりのアプローチ方法をご提案したいと思います。
 三つめは、「SFN(スケールフリーネットワーク)、SWN(スモールワールドネットワーク)」という顧客ネットワークに入り込むためのプロモーションの提案です。
 趣味化がすすむとマス宣伝のような15秒の説得だけでは限界があります。また、マス宣伝をしなくても売れる商品はたくさんあります。例えばペプシコーラは、アメリカでのプロモーションにはマス宣伝を一切使わないアプローチを展開し成功しております。マーケティングコミュニケーションの原点は、どんなメディア設計をするかではなく、誰を説得するかにあります。SFN、SWNの詳しい説明は後ほどさせていただきますが、SFN、SWNに入り込むようなプロモーションのポイントをご提案させていただきます。

 四つめは、「セールス・エリア・フォーカス」。営業戦略のご提案です。弊社の地域経済の分析結果では、人口30万人に満たない都市は学校や病院などといったインフラ機能を維持できなくなり、インフラの充実した人口30万人以上都市への社会移動が起こり、地域格差が拡大します。
 こうした変化を先取りし、営業資源の再配分をすると同時に、エリアマーケティングを展開する必要があります。人口30万人以上の都市は全部で71あります。この71都市への営業資源の集中化とチャネル別営業からエリアマーケティングへの転換をご提案したいと思います。

 以上が、我々が2007年に向けてご提案したいコンセプト、「CSマーケティング」の概要です。
 それではこれから具体的にご案内したいと思います。
 ではまず「コンプリメンタリティ」、補完分析による製品開発アプローチについて、合田よりご案内させていただきます。

(2006.12)

本稿は、当社代表・松田久一による助言・指導をもとに、舩木・合田が代表執筆しております。本稿の内容は、松田からのアイデア・構想に大きく負っております。ここに謝意を表します。あり得べき誤りは筆者の責に帰します。

 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)ご登録または、コンテンツのダウンロード購入が必要です。

メンバーシップサービス会員のご案内についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。


新着記事

2026.03.12

26年1月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも悪化

2026.03.11

業界分析 EV失速から始まる自動車産業の脱成熟戦略 - 世界の食、自然、道を楽しむ移動拡張産業へ

2026.03.10

26年2月の「乗用車販売台数」は8ヶ月連続のマイナス

2026.03.09

企業活動分析 スズキの25年3月期は、販売台数増加や価格改定、為替影響などで増収増益に

2026.03.06

消費者調査データ スナック菓子(2026年3月版) 「カルビーポテトチップス」首位揺るがず、PBは高再購入意向保つ

2026.03.05

MNEXT 現代日本の保守意識の潮流を読む

2026.03.05

26年1月の「新設住宅着工戸数」は3ヶ月連続のマイナスに

2026.03.04

月例消費レポート 2026年2月号 消費回復の動きは一旦小休止 - 収入と支出での両面支援が消費再成長に不可欠

2026.03.03

企業活動分析 トヨタの25年3月期は、全地域で増収、減益ながら高水準の利益を確保

2026.03.02

業界分析 脅かされるトイレタリー市場の勝者と新しい成功条件

2026.02.27

26年1月の「ファミリーレストラン売上高」は47ヶ月連続プラス

週間アクセスランキング

1位 2026.03.02

業界分析 脅かされるトイレタリー市場の勝者と新しい成功条件

2位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

3位 2026.03.05

MNEXT 現代日本の保守意識の潮流を読む

4位 2026.03.11

業界分析 EV失速から始まる自動車産業の脱成熟戦略 - 世界の食、自然、道を楽しむ移動拡張産業へ

5位 2019.04.16

MNEXT 眼のつけどころ 次の時代のマーケティング戦略を考える (1)GAFA、増税、キャッシュレスなどへの対応

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area