コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。
コロナ下で、持家の新設住宅着工は伸びを続け、コロナ前の水準を回復している。
特に、首都圏をはじめとする関東甲信地域では、持家の新設住宅着工は高い伸びを続けている。
1.回復を続ける持家の新設住宅着工
コロナ下で、持家の新設住宅着工は、コロナ前の水準を回復している。
国土交通省公表の「建築着工統計調査」によると、新設住宅着工戸数の伸びは、全体では2020年6月を底に上昇に転じ、2021年3月以降はプラスが続いている。
中でも、持家の新設住宅着工の伸びは、2020年5月を底に、長く上昇を続けている。2020年8月以降の持家の新設住宅着工の伸びは全体の伸びをほぼ上回り続け、プラスに転じた2021年11月以降も上昇傾向を保っている(図表1)。
図表1.利用関係別新設住宅着工戸数の前年同月比伸び率の推移
ログインして図表をみる
2021年1月以降の、持家の新設住宅着工の伸びの推移に着目すると、2021年8月以降は、前年同月比変化率と一昨年同月比変化率の双方で伸びはプラスとなっている。直近2ヶ月では、持家の新設住宅着工はコロナ前を上回る水準で推移していることがわかる(図表2)。
図表2.持家・新設住宅着工の前年同月比変化率と一昨年同月比変化率
ログインして図表をみる
2.持家の新設住宅着工の伸びは首都圏はじめ関東甲信で持続
コロナ前の水準を回復した直近2ヶ月では、持家の新設住宅着工は、首都圏をはじめとする関東甲信地域で高い伸びを続けている。
三大都市圏別に、持家の新設住宅着工戸数の前年同月比伸び率の推移をみると、2021年1月以降、首都圏と近畿圏では一貫してプラスを保っている。伸びのも、2021年1月以降の9ヶ月間のうち、首都圏は5ヶ月間最も高くなっている。直近の2021年9月には、近畿圏と中部圏では伸びが低下する中で、首都圏は2ヶ月連続で上昇を続けている(図表3)。
図表3.三大都市圏別 持家の新設住宅着工戸数の前年同月比伸び率の推移
ログインして図表をみる
都道府県別に、直近2ヶ月での持家の新設住宅着工戸数の前年同月比変化率をみると、2021年9月時点での上位20位以内に、神奈川県を除く首都圏3都県と、その他の関東甲信4県が入っている。山梨県と茨城県は2ヶ月連続で上位10位以内に、埼玉県と千葉県は2ヶ月連続で上位20位以内に入っており、特に埼玉県は2021年9月に上位10位以内へと上昇している。東京都は2021年8月時点では上位20位圏外にいたが、2021年9月には変化率が大きく上昇し、上位10位以内に入っている(図表4)。
図表4.都道府県別 直近2ヶ月での持家の新設住宅着工戸数の前年同月比変化率
ログインして図表をみる
新設住宅着工戸数は、コロナ下で好調を続けてきた、数少ない経済指標のひとつである。その中でも、持家の新設住宅着工は、息の長い回復の動きをみせ続けてきた。首都圏はもちろんのこと、各新幹線でのアクセス1時間以内の範囲にある関東甲信地域は、持家の立地として十分に魅力ある選択肢となってきているようだ。
参照コンテンツ
- MNEXT 2022年の消費の読み方-価値拡張マーケティング(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)(2021年)
- JMRからの提案 月例消費レポート 2021年10月号 マインド好転で消費の先行きに明るい展望(2021年)
- 企画に使えるデータ・事実 新設住宅着工戸数
おすすめ新着記事
成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)
緩やかに増減を繰り返してきたビスケット市場が伸びている。2020年から4年連続プラスで、2023年はついに4,000億円を超えた。コロナ下でも堅調な動きを見せ、2023年の販売金額は4,260億円で、コロナ前の2019年比で1.13倍となった。
消費者調査データ ノンアルコール飲料 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」
2022年のノンアルコール飲料市場は8年連続で拡大を続け、過去最高と推定される。調査結果をみると、ビールテイストの「アサヒ ドライゼロ」が、全項目で首位を獲得したが、再購入意向ではカクテルテイストやワインテイストなどのブランドも上位に複数ランクイン、ノンアルコール飲料の幅の広がりを示している。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 20代男性の内食志向にマッチして伸びる冷凍餃子
数ある冷凍食品の中で圧倒的1位の生産量を誇る冷凍餃子は誰がなぜどのように購入しているのか調べてみた。餃子の選好度、購入頻度、購入増減とも20代が他の年代に比べて高く、冷凍餃子は若い年代が牽引して、拡大してきていることがわかった。