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消費マインドはピークアウトの気配が出始め、消費は再び足踏み状態になりつつある。
2022年に入りコロナ感染が再拡大する中で、回復の兆しがみえつつあった消費にもブレーキがかかる可能性が高そうだ。
JMR消費INDEXは2021年11月時点で40.0へと低下し、再び50を割り込んだ。一方で、近似曲線は上昇トレンドを維持している(図表1)。
INDEXを構成する個々の変数をみると、2021年11月時点で、支出関連3指標は再び悪化に転じた。販売関連10指標(チェーンストア売上高除く)については、前月と比べ悪化の側がわずかに優勢となっている(図表2)。
2021年11月とコロナ前の2019年11月時点とを比較すると、全15指標中、改善を示しているのは食料品売上(一昨年同月比伸び率:110.8%)、家電製品売上(同:105.9%)、家具・インテリア売上(同:104.0%)、ファーストフード売上(同:102.8%)、消費支出(同:100.5%)の計5指標であり、その数は前月よりも減っている。
消費支出の伸びは名目・実質ともに、わずかにマイナスとなっている(図表4)。一昨年同月比では、名目・実質ともに2ヶ月連続でプラスとなっており、これは2020年1月以降では初めてのことである。
10大費目別では、2021年11月は、名目ではプラスの側がわずかに優勢であるが、実質ではマイナスの側がわずかに優勢である。ただ、名目・実質のいずれも、前月と比較してプラスの費目が増えている(図表5)。
販売現場では、小売業全体の売上は2ヶ月連続で改善している。チャネル別の前年同月比では、ドラッグストアは7ヶ月連続のプラス、百貨店は2ヶ月連続のプラスとなった。他方、スーパー、家電大型専門店、ホームセンターは再びマイナスに転じ、コンビニエンスストアは2ヶ月連続のマイナスである(図表9、図表10)。
外食売上は、全体では2ヶ月連続でほぼ横ばいとなっている。業態別では前月と同様に、ファーストフードはプラスを保っている一方で、ファミリーレストランとパブ・居酒屋はマイナスが続いている(図表18)。こうした状況は、一昨年同月比でみても変わらない。
新車販売では、乗用車(普通+小型)の伸びは4ヶ月連続のマイナス、軽乗用車も4ヶ月連続のマイナスである(図表11)。
一昨年同月比でも、乗用車(普通+小型)、軽乗用車ともにマイナスが続いている。
家電製品出荷では、白物家電のうち、401L以上の電気冷蔵庫、洗濯乾燥機、電気掃除機など多くの品目がプラスに戻している。他方、AV機器では、4K対応薄型テレビやBDレコーダはマイナスが続いている。情報家電でも、スマートフォンとノートPCともにマイナスが続いている(図表12、図表13、図表14)。
新設住宅着工戸数は、全体では9ヶ月連続でプラスとなった。利用関係別でも、持家、分譲住宅・一戸建て、分譲住宅・マンションの全てでプラスとなっている(図表15)。
三大都市圏別の推移をみると、持家は全ての地域で8ヶ月連続プラスとなっている。他方、マンションでは中部圏とその他の地域でプラスに転じたものの、首都圏と近畿圏ではマイナスが続いている(図表16、図表17)。
雇用環境については、2021年11月時点で完全失業率は悪化したが、有効求人倍率は横ばいと、引き続き方向感が定まっていない(図表6)。
収入環境は、引き続き改善傾向を保っている。2021年11月時点で、現金給与総額は横ばいだが、所定内給与額の伸びはプラスに転じ、超過給与の伸びは前月と同様にプラスを保っている(図表7)。
消費マインドにはピークアウトの兆しが見えてきた。2021年12月時点で、景気ウォッチャー現状判断DIはほぼ横ばい、消費者態度指数はわずかにマイナスに転じている(図表8)。
総合すると、消費はカテゴリー間で好不調の格差を抱えたまま、消費マインドにピークアウトの気配が出始めるなど、再び足踏み状態になりつつある。
消費支出の伸びはわずかにマイナスに転じている。小売販売では一部でマイナスに転じる動きも出ている。外食売上、新車販売、AV機器や情報家電では概ね、マイナスが続いている。プラスを保っている領域は今のところ少数派だ。
収入環境では改善が続いているが、雇用環境は引き続き方向感が定まらない。消費マインドにはピークアウトの兆しが見え、消費者態度指数は既に悪化に転じる動きもみられる。
2022年に入り、コロナ感染が再拡大したことで、ホテルや旅館で宿泊予約のキャンセルが相次ぐとともに、飲食店の客足も急速に遠のいている。消費マインドに止まらず、一時回復の兆しがみえつつあった消費にも、一旦ブレーキがかかる可能性が高そうだ。
参照コンテンツ
- MNEXT 眼のつけどころ 凍結した消費マインドを溶解させるマーケティング―解除後の消費増加シナリオ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 市場脱皮期の富裕層開拓マーケティング―価格差別化戦略(2021年)
- オリジナルレポート コロナ下とコロナ後の消費の展望(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ コロナ禍の訪問営業は時代遅れなのか?―「会うのが、いちばん。」(2021年)
- アフターコロナの営業戦略 激変市場に対応した小商圏型営業活動のすすめ(2021年)
- MNEXT 眼のつけどころ 行動経済学ベースのマーケティングのはじめ方(2020年)
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