日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2020年02月26日


月例消費レポート 2020年2月号
消費の先行きは更に悪化していく
主任研究員 菅野 守

 JMR消費INDEXの中長期的な近似曲線は、2013年10月辺りをピークに下降局面に入っている。特に2018年9月頃以降は、低下の勢いに拍車がかかっている。2019年12月の数値は、2019年10月と同様、過去最低の水準となっている(図表1)。

 INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、2019年11月は、ファーストフード売上以外のすべての項目で、悪化となっている(図表2)。

 消費を取り巻く状況を整理する。消費支出の伸びは、2019年12月に、名目と実質ともに再びマイナスとなった(図表5)。10大費目別にみると、2019年12月に、名目では6費目で、実質では8費目でマイナスとなった。マイナスの側が優勢な状況は、前月11月よりも更に強まっている(図表6)。

 販売現場での動きをみてみる。日常財のうち、小売業全体の売上の伸びは2019年10月以降、マイナスが続いている。主要な業態別では、コンビニエンスストアはかろうじてプラスを保ち、百貨店とスーパーはマイナスとなっている(図表11)。

 外食全体の売上の伸びは2019年12月にプラスとなったが、伸び率の値は低下している。主要な業態全てで伸び率の値は低下しており、ファーストフードはプラスを保ったものの、ファミリーレストランとパブ・居酒屋はマイナスとなっている(図表15)。

 耐久財のうち、2019年12月の家電製品出荷の伸びは、黒物家電でプラスを保ったが、白物家電ではマイナスへと落ち込んでいる(図表13)。

 新設住宅着工戸数の全体の伸びは、2019年7月以降マイナスが続いている。カテゴリー別では、持家、分譲住宅・マンション、分譲住宅・一戸建ての全てでマイナスとなっている(図表14)。

 新車販売の伸びは、2019年10月以降、乗用車(普通+小型)と軽乗用車ともに、マイナスが続いている(図表12)。

 雇用環境について、2019年12月時点では、完全失業率と有効求人倍率ともに、横ばいとなっている(図表8)。

 収入環境は、2019年12月時点で、所定内給与額の伸びはわずかにプラスとなったが、現金給与総額と超過給与の伸びはマイナスとなっている(図表9)。

 2020年1月時点の消費マインドは、消費者態度指数と景気ウォッチャー現状判断DIともに、ほぼ横ばいとなっている(図表10)。

 経済全般の状況として、輸出の伸びは2018年12月以降、マイナスが続いている(図表16)。

 生産について、鉱工業全体の指数は、2019年11月を底に、2019年12月にはわずかに上昇したが、その戻りは鈍い(図表18)。

 マーケットの動向は、2020年1月下旬から2020円2月初頭にかけての円高・株安の局面から、2月上旬には円安・株高の局面に転じたが、2月半ば以降は乱高下が続いている(図表21)。

 長期金利は2020年1月下旬以降、マイナスへ落ち込んだままとなっている(図表22)。

 総合すると、消費は2019年10月を境に、消費税増税に伴う反動減による落ち込みから回復できないまま、低迷を続ける状況にある。耐久財の落ち込みは更に続き、日常生活財にも陰りが見えてきている。

 雇用環境と消費マインドでは、改善の動きに一服感がみられた。現金給与総額がマイナスに転じるなど、収入環境は更に悪化している。マーケットでは、長期金利は再びマイナスへと落ち込み、株価と為替は足許で方向感が定まらなくなっている。

 2020年2月17日に内閣府より公表された四半期GDP速報(1次速報)によると、2019年10-12月期の実質GDP成長率は、年率換算で前期比-6.3%である。これは、東日本大震災が起きた2011年1-3月期(-5.5%)を超え、税率8%への消費税増税が行われた2014年4-6月期(-7.4%)に次ぐ、大幅な落ち込みとなった。

 新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の悪影響は、中国国内でのサプライチェーンの混乱による中国からの輸入の途絶や、中国人来日客のインバウンド需要の消滅だけに止まらない。

 日本国内での市中感染の拡大による、イベント等への外出を自粛する動きの広がりなどで、日本の景気や消費への悪影響が顕在化しつつある。

 消費者のマインドも悪化に転じ、その動きも加速していくおそれもある。

 日本国内での感染拡大に関して、短期収束の可能性は難しいとの見方が優勢となりつつある。

 感染の規模と拡大のペースを巧く抑え込めない場合には、2020年夏の東京五輪の開催を危ぶむ声すら一部では出始めている。

 終息の見通しが立たない限り、消費者のマインド転換、そして景気や消費の反転上昇のシナリオは描きづらい。

 消費の先行きは、更に悪化していく公算が高そうだ。


図表を含めた完全版はこちら
【続きを読む】(有料・無料会員向け)

※会員のご登録はこちらをご覧ください。

参照コンテンツ


おすすめ新着記事

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター<br>在宅時間の増加で増えるおうちカフェこだわり派
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター
在宅時間の増加で増えるおうちカフェこだわり派

在宅勤務や外出自粛で自宅で過ごす時間が増える中、コーヒーやお茶の飲み方にも"ある変化"が起きている。今回は在宅時間の増加に着目して、コロナ前後でのコーヒーや日本茶の飲み方の変化を探った。その結果、在宅勤務をしている人ほど豆から挽いたコーヒーや茶葉から淹れた日本茶の飲用が増えていることがわかった。コロナ禍で、手間ひまかけて丁寧にコーヒーやお茶を淹れることにより、おうち時間を大切に過ごしたいという意識が垣間見える。

消費者調査データ 日焼け止め<br>盤石「ビオレUV」、ロングセラーひしめく上位に定着する「スキントーンアクア」
消費者調査データ 日焼け止め
盤石「ビオレUV」、ロングセラーひしめく上位に定着する「スキントーンアクア」

今回の調査では複数項目で「ビオレUV」が首位を獲得した。一方「スキントーンアクア」が再購入意向で首位など、ロングセラーひしめく上位で存在感を増している。10年連続で拡大してきたサンケア市場だが、今年は新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要が激減。需要最盛期を前に先行き不透明感が続いている。

新型コロナ禍で消費はどう変わるか-シンクロ消費と欲望の姿態変容
新型コロナ禍で消費はどう変わるか-シンクロ消費と欲望の姿態変容

コロナは一定の収束傾向をみせ、経済・社会活動の再開が本格化し始めている。しかし、自粛が解除されたからといって消費は急激に戻るわけではない。解除直後は賑わった大型店も、今は閑古鳥が鳴いている。"何か"が変わってしまったのだ。本稿ではその変化を「シンクロ消費」と捉え、消費者ビジネスを展開する企業がコロナ後の消費をどう見極めればよいのか、仮説的に整理してみる。






会員登録のご案内
消費社会白書2020
研修テキストに使える!コンテンツパッケージ販売のご案内
「戦略200+」比較分析ツールのご案内
マーケティングモニターのご案内
データでわかる辛口性格診断
page top

JMR生活総合研究所マーケティングサイトに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。著作権はJMR生活総合研究所に属します。

Copyright (c) 1997-2020 Japan Consumer Marketing Research Institute. All rights reserved.