半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

能動態の消費者 -情報世代の台頭
 
客員研究員 赤根光幸

 どんなに遠くからでもよく見えるポスター、何千万人も集まって話ができる井戸端、どこからでも落書きできる便所のカベ。30年前ならドラえもんが出したってリアリティがなかったような装置が、日々当たり前のように生まれている。
 情報の流通に未曾有の変化が生じていることを疑う者はもはや少ない。しかし、それによって消費者の購買行動がどれほど変化するかについては温度差がある。いまや、情報に対して能動的(active)な人は、いくらでも好きなだけ情報を集めることができる。activeな消費者に対する生産者の情報優位はほとんど消え失せ、情報非対称を前提とした戦略はもはや利用不可能である。一方、情報に対して受動的(passive)な人にとっては、それほど状況は変わらないのかもしれない。
 もちろん、すべての人があらゆることについてactiveになれるわけではないので、activeな層とpassiveな層は常に併存し続けるのだが、activeな消費者の存在感は今後高まってゆくと考えられる。
 理由はふたつある。ひとつは、世代交代である。「情報世代」の可処分所得が増加するのに伴い、中長期的にはactiveな層がだんだん増えてゆくことが調査結果から見てとれる。長い目でみて利益の出る経営をするには、passiveな層に向けた従来通りの作り方・売り方にとどまらず、activeな層からのアクセスにきちんと応答してゆく必要があるだろう。
 もうひとつは、消費者同士のコミュニケーションである。passiveな人は、周囲にいる「空間牽引型」のactiveな人に強く影響される。テレビや新聞・雑誌など従来型のマス情報よりも、配偶者・恋人の意見、あるいは身の回りやネット上に存在する商品知識豊富な「オタク的消費者」のもたらす情報のほうを重くみる人が増えているのである。
 従来のマーケティングがpassiveな人をいかに惹きつけるかに重点を置いてきたとすれば、情報世代の台頭とともに根本的な方法論の転換を迫られる可能性がある。activeな消費者を育み、共に切磋琢磨していくのか、passiveな層となれ合い、売れそうな物を売るのか。答えはほとんど明らかだろう。

図表.消費者のコミュニケーションの変化


(2005.02)

新着記事

2026.05.21

26年3月の「現金給与総額」は51ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2026.05.20

26年3月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも悪化

2026.05.19

26年3月の「消費支出」は2ヶ月ぶりのマイナスに

2026.05.19

26年3月は「家計収入」、「可処分所得」ともプラスに

2026.05.18

企業活動分析 花王の25年12月期は、シェア拡大などで増収増益に

2026.05.15

消費者調査データ 「キリン 氷結」、「ほろよい」デッドヒート、サントリーは「-196℃」「角ハイ」も上位に

2026.05.14

26年4月の「乗用車販売台数」は10ヶ月ぶりのプラス

2026.05.13

26年3月の「新設住宅着工戸数」は5ヶ月連続のマイナスに

2026.05.11

企業活動分析 サイゼリヤの25年8月期は、国内好調、アジア新店拡大などで増収増益に

2026.05.08

26年3月の「全国百貨店売上高」は3ヶ月連続のプラスに

2026.05.08

26年3月の「ファーストフード売上高」は61ヶ月連続のプラスに

2026.05.08

26年3月の「ファミリーレストラン売上高」は49ヶ月連続プラス

2026.05.07

企業活動分析 くら寿司の25年10月期は、フェアやコラボで過去最高売上も、微減益に

週間アクセスランキング

1位 2025.05.07

なぜ井上尚弥選手はダウンしたのか

2位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

3位 2025.06.20

消費者調査データ ミネラルウォーター(2025年6月版) 強さ鮮明「サントリー 天然水」、「い・ろ・は・す」に水をあける

4位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

5位 2022.01.28

MNEXT 眼のつけどころ ePOPで成熟ブランドのリブランディング― 2022年春の提案

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area