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(2004.12)
2004年、印象に残ったもの
-「新潟中越地震」「ヨン様」「マツケンサンバ」「iPod」・・・2004年とはどんな年だったのか?
 詳細データ(単純集計表・クロス集計表)(LZH形式・有料会員サービス)
 2004年は台風、地震といった自然災害が猛威を振るいました。夏の記録的な猛暑も記憶に残っている人も多いでしょう。国際的にはイラク問題や北朝鮮問題が依然として解決に至っていません。国内では景気回復が言われながらも、相変わらずの政治不信、凶悪犯罪など、その行く末を案じられます。その中で私たちの気分を明るくしてくれたのは、アテネ五輪での金メダルラッシュです。そして忘れてならないのが「韓流」でしょう。
 そんなこの1年で人々にインパクトを残したものを「トピックス」「有名人」「歌」「商品」について、インターネットモニターを対象に実施したインターネット調査における自由記述の回答を集計し、ランキング形式でお届けします。


印象に残ったトピックス

 印象に残ったイベントや事件では、全体でのベスト3は以下の通り。上位ふたつが10%を超えた。
  • 新潟中越地震      32.9%
  • アテネオリンピック   20.0%
  • 韓流          7.6%
 10月23日(土)に新潟を襲った震度6強の連続地震は多くの爪痕を残したことで記憶も新しく3割強の人よりあげられた。2ヶ月が過ぎた現在は仮設住宅への引っ越しが進んでいるが、余震も続いている。また雪量が多い地域だけに二次災害などまだ予断を許さないところである。
 2位は日本国民の半数以上を寝不足に陥れたであろう真夏のアテネオリンピックである。とりわけ今回のアテネでは、日本人選手の活躍が目立った。金メダルは過去最高の1964年東京大会に並ぶ16個、総メダル数37個は過去最高であった。特に競泳平泳ぎで二冠を達成した「チョー気持ちいい」の北島康介選手を始めとする、新世代のアスリートの活躍は日本スポーツ界に大きな光をもたらしたといえる。
 3位の「韓流」のブームは、以降の三つのランキングすべて登場する「冬ソナ」に端を発する。2002年の日韓共催サッカーワールドカップからの流れもあり、「近くて遠い国」の関係が変わる転機になるかも知れない。

印象に残った有名人

 今回、このランキングでは、前回、前々回(ランキング情報「2004年上半期、印象に残ったもの」【会員限定】)から、傾向が大きく変化した。今回は、
  1. 「ヨン様(ペ・ヨンジュン)」  26.4%
  2. 「イチロー」          14.0%
  3. 「波田陽区(ギター侍)」    8.9%
という結果で、2004年上半期1位の「小泉首相」がベスト3から姿を消し、前回2位の冬ソナの「ヨン様」が2位に10ポイント以上の差をつけ1位を獲得した。
 その2位にランクされたのは、今シーズン262安打という前人未到の記録を樹立したシアトルマリナーズ「イチロー」である。チームがダントツの最下位という惨状の中、日米において優勝争い並の注目を集めさせたイチローは「光る個人」を実証した。
 3位は、着流しにギターを抱え「~って言うじゃなぁい?」など独特の節回しと毒舌、そして「残念っ!」のフレーズで有名人を斬りまくるお笑い芸人、「ギター侍」こと「波田陽区」である。さて、来年も続くか?
 そして、4位には「北島康介」、7位には「ゴルフの藍ちゃん」こと「宮里藍」と10代後半から20代前半のスポーツ選手の活躍が印象的であった。前回上位の北朝鮮拉致問題「曽我ひとみさん」、イラク・年金問題「小泉首相」とは対照的に、今回はカルチャー・スポーツに関連する人がランクインしたことが特徴である。

印象に残った歌

 印象に残った歌では、言葉通り「インパクトを残した歌」が「売れた歌」を退けてトップにあげられた。
  1. 「マツケンサンバⅡ」     23.4%
  2. 「瞳をとじて」        17.0%
  3. 「花」            11.0%
 1位は時代劇のトップスター「松平健」が豪華な衣装でバックダンサーを従えてサンバを踊る「マツケンサンバII」。この歌は、オリコンの2004年年間売上では68位にすぎない。しかし「振り付け完全マニュアルDVD」など関連商品も発売されるなど、年末は新宿コマ劇場を飛び出して紅白初出場と、最高潮の盛り上がりを見せている。
 2位と3位には今年のヒットのキーワードのひとつである「純愛」に絡んだ歌がランクインした。2位の「瞳をとじて」は『世界の中心で、愛をさけぶ(セカチュー)』、3位の「花」も『いま、会いにゆきます』と、ともにベストセラー小説の映画主題歌である。オリコンでは「瞳をとじて」は1位、「花」は3位となっている。
 歌についてのトピックでいうと、2004年は15年ぶりにシングルのミリオンヒットが出ない年だったそうである。歌そのものの世間への影響力という面もひとつあるが、携帯電話の「着うた」やiPodなどに代表される音楽配信、さらにDVDの普及など、生活者の音楽との接し方、ライフスタイルの変化も影響したと考えられる。

話題になった商品

 上半期から引き続き、消費の牽引車である「新三種の神器」(「DVDレコーダー」「薄型テレビ」「デジタルカメラ」)が全てランクインした。上位は以下の通り。
  1. iPod(iPod mini含む)   13.8%
  2. 薄型大画面テレビ      13.7%
  3. 冬ソナ・韓流グッズ     13.2%
 前回1位の「薄型大画面テレビ」を押さえ僅差で1位を獲得したのは、アップルコンピュータの携帯音楽プレーヤー「iPod」である。iPodは単体としてではなく、「iTune 」と呼ばれるネット配信システムを通じて豊富で安価な曲を提供することで新たな価値を生み出している。
 2位の薄型大画面テレビでは、液晶テレビがオリンピック需要に乗って大きく拡大した。技術革新と価格低下によりこの勢いは来年以降も続きそうである。
 これまた僅差の3位が「冬ソナ・韓流」関連である。「冬ソナ」の経済効果は日韓両国で3,000億円とも推計されている。しかし今や韓流ブームは冬ソナだけにとどまらない一大マーケットを形成しつつある。こうした潮流を捕らえることが中国へと続くアジア市場を切り拓くヒントになるかも知れない。

 今回のランキングを独断で総括すると、ふたつのキーワードに集約できる。「新世代」と「純愛」である。
 「新世代」の象徴は北島康介とイチローである。つまり、オリンピックやメジャーリーグという世界最高レベルの舞台で戦い、勝ち抜ける強い個人である。また、それをいとも簡単に、飄々とやってのける(ように見せる)「クールさ」がある。「泥にまみれて・・・」という古臭いイメージがない。
 また「純愛」は冬ソナであり、ベストセラー小説である。中年女性はテレビの前で「冬ソナ」に泣き、若者は本、そしてスクリーンの前で「セカチュー」を観て、泣いた。現実ではなかなか得られないものを「つくりもの」で補っているという見方もできるが果たしてそれだけでこのようなトレンドが生まれたであろうか。
 いずれにせよ、これまで「喪失したもの」を取り戻し、次のステップに進むための転換点だったと後で評価されるのが2004年ではないかと思う。なお、弊社の提言論文「2004年のヒット商品-「ものづくり」と情報コンテンツの魅力が生んだヒット商品」もご参照ください。
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【調査設計】
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2004年12月16日~17日
調査対象者:当社インターネットモニター 20~69歳
        全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,047サンプル
サンプル構成(%)
男女別年代比率(%)

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