半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2002年12月16日

営業現場の科学
第23回 2:6:2の口コミ法則の活用
営業戦略チーム

 消費財の営業において、口コミ活用の有効性が言われて久しい。消費者が購買意思決定する際に参考にする情報として、友人・知人からの口コミ情報が大きく影響していることは事実である。信頼できる身近な人からの良い口コミ情報は、選択の手掛りとして有用である。ポイントは実際に使用しての評価が加えられているという点だ(図表)。雑誌などの「"私のお薦めの○○○"アンケート結果ランキング」なども注目率が高いと言われるが、リアルな使用評価が現れていることが要因として共通している。


図表.化粧品を選ぶ際に、最も重視している情報


 さて、口コミには「2:6:2の法則」があると言われている。これは、商品の使用を通じ、その商品にロイヤリティを持ったユーザーが第三者に口コミ情報を発信する際の比率である。その商品のプラス情報を自発的に発信してくれるユーザーが全体の20%、何かの機会があった際に話題に上げるというユーザーが大半で全体の60%、さらに、残りの20%は、その商品にロイヤリティを感じていても積極的な口コミ発信をしないというものである。

 しかし、テレビ広告や店頭での販促ツール掲出などとは違い、口コミは営業パーソンが主体的にコントロールしにくい性格のものである。営業パーソンとしては、良い口コミが発生していくような条件を整備していくしかない。ここで2:6:2の法則の活用である。口コミの法則の原則を確認すると、次の二点である。

  • 現在の口コミ評判は、商品ロイヤリティの高い20%の層が形成している
  • この状況に加え、次の60%の層からも積極的な口コミを発生させる

 ターゲットは、この60%の層である。この層は、「人にも話したい、紹介してもいいが、どう伝えればいいか分からない」層である。この壁を取り除き、20%+60%の合計80%のユーザーから口コミ発信させる条件を整備していくことが鍵だ。実際には、店頭を起点にした口コミ促進の営業活動になる。商品の魅力、価値を伝える言葉を多様に準備し、セルフ選択の寡黙な売場からメッセージを発信していく。そして、営業先の売場に最適なツールに落とし込み、展開することだ。「話題を発信するストアに変身させていく」ことをベースにした企画提案営業になる。

 さて、商品の魅力や価値を伝える言葉を多様にするために参考になるものとして、つぎのものが上げられる。

  • 通販カタログ
  • インターネットの商品に関するコミュニティサイトの書き込み

 通販のカタログは、写真で商品を見せるしかないため、商品魅力度を伝える「言葉」が追求しつくされている。ネット上の情報は、投稿者の匿名性が保持されるため、本音情報が載る。80%の良い口コミ獲得のためにチェックしてみてはどうだろうか。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

2024.04.22

企業活動分析 カルビーの23年3月期は需要堅調もコスト高吸収できず減益に

2024.04.22

企業活動分析 亀田製菓の23年3月期は国内外好調で増収もコスト増で減益着地

2024.04.22

企業活動分析 大正製薬の23年3月期はOTCなど好調で増収増益

2024.04.19

企業活動分析 森永製菓の23年3月期は、「inゼリー」等好調で2年連続最高益更新

2024.04.18

24年2月の「商業動態統計調査」は36ヶ月連続のプラスに

2024.04.17

24年3月の「景気の現状判断」は14ヶ月ぶりに50ポイント割れに

2024.04.17

24年3月の「景気の先行き判断」は5ヶ月連続で50ポイント超えに

2024.04.16

24年2月の「家計収入」は17ヶ月連続のマイナス

2024.04.16

24年2月の「消費支出」は12ヶ月連続のマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.04.05

消費者調査データ ノンアルコール飲料(2024年4月版) 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」

2位 2024.04.03

24年3月の「乗用車販売台数」は3ヶ月連続の2桁マイナス

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

5位 2016.03.16

【マーケティングFAQ】どうすればブランド力を強化できるか

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area