あなたは自分自身の業績をどのように自己監査しているだろうか。月次の予算達成度に目を向け、年間で帳尻を合わせることに終始していないだろうか。もちろん予算達成は大切な目標である。業績を支えている個々の商品の販売状況を客観的に分析し、売りの構造を自己監査した上で次月以降の計画を詰めなければ、予算達成は難しい。
売上の構造を分析するツールでよく登場するのがABC分析である。第7回「3:7の法則を活用した効果的な営業活動」でも提起したが、商品の売上を累積してみると3割前後の商品で売上の7割を占めるといった傾向が掴める。当然ながら売上の7割を占める3割の商品があなたにとっての重点商材である。あなたの商談の中心商材であり、全社的な重点商材になっていることも多い。ひとつはこの「3:7」の法則からどの商材があなたの売上を支えているのかを明確にし、日常活動の中でメリハリのある商談を行うことだ。
もうひとつの視点は「寄与率」である。重点商品は売上構成比の高い商材としてリストすることは容易だが、ではあなたの売上高全体の伸びに貢献しているのがどの商材であるかを知っているだろうか。対前年売上増加額が最も大きな商材が売上高全体の伸長に最も貢献していることはいうまでもないところだ。ただし、増減額だけでは、売上高全体の増減率に対する関係が掴めないため、次の式で、各商材の増減が売上高全体にどの程度貢献しているかの指標を求める必要がある。各商品の成長貢献率の合計が、売上高全体の成長率と一致する。
(1)成長貢献率(%)=各商材の対前年売上高増減額÷対前年売上高計
ここで、成長貢献率の式を少し変換してみよう。成長貢献率は、各商材の前年度売上構成比と売上高増減率の掛け算でも求めることができる。

(2)成長貢献率(%)=前年度売上構成比×各商材売上高増減率
この(2)式に従って分析してみると、商材の売上構成比ランクと成長貢献率ランクのギャップが発見できる。つまり、「3:7」の法則、ABC分析ではAランクに入らない商材でも成長貢献率ランクでは上位に入るものが発見できる。ここで、売上高を粗利高に入れ替えれば、利益貢献商材が同様に分析、発見できる。

さて、あなたの売上や利益の成長に貢献する商材が発見できたら、つぎにその要因分析を行う。その商材の伸長の理由は何だろうか。新商品でキャンペーンを投下した、成長する隙間市場にミートした、新たな得意先を開拓できた、メイン商材の関連商材として成長した・・。ABC分析で重点商材を捉えたら、貢献率の指標で自分の売上構造を分析することをお勧めする。僅か2つの指標ではあるが、総合的に見てどの商品を重点化するのか、成長貢献商品の営業状況から突破口はないか等、得られる示唆は大きい。
おすすめ新着記事

5G(第5世代移動通信システム)
5Gとは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」のことで、通信規格の名称。現在の「4G」に続く最新の規格で、日本では2020年3月から商用化が開始された。4K/8Kの高精細映像などの大容量コンテンツの伝送や、自動運転や遠隔ロボットへの活用、IoTの普及などが期待されている。

テイクアウト、デリバリーで伸びる洋風ファーストフード
コロナ禍で外食全体が苦戦するなか、ハンバーガーチェーンなどの洋風ファーストフード業態は、コロナ前の2019年と比較しても116.2%と伸長している。原動力となったのは、感染症対策がしやすく、テレワークなど働き方・ライフスタイルの変化に伴うテイクアウトやデリバリーの拡大だ。原材料の値上がりや、健康意識、環境配慮意識の高まりなどの不安要素はあるものの、今後も成長が期待される業態だ。

広まるネットショッピング 特定層に留まるSNS購買とフリマアプリ
コロナ禍でオンラインショッピングの利用が増えている。利用チャネルもアマゾンや楽天だけにとどまらず、多様な買い方がされている。今回は、その中でもSNSを通じた購買やフリマアプリの利用に焦点を当て、今後の利用拡大の可能性を探ってみた。



