半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2002年05月07日

営業現場の科学
第8回 拡販余地の開拓営業
営業戦略チーム

 経済情勢が不安定な状況にあり、倒産企業や支払遅延企業が多くなっている。平成13年の倒産件数は1万9000件を越え、1984年に次ぐ戦後2番目を記録している。この時期重要なのは、営業の質であり、闇雲に量を追求しては危険だと言うことができる。代金回収もままならない取引先を増やしてもこちらの体質が悪化するばかりだ。




 今回提案したいのは、こうした状況を踏まえ、既存得意先への開拓営業を再検討することである。この時期、全くの新規開拓営業にはリスクが伴う。攻めるべきは、取引実績があり、相手の経営情報がある程度掴める既存得意先だ。既存得意先を信用性の指標でチェックし、選別した上で、自社商品を扱って欲しい売りたい得意先にフォーカスして攻める営業である。

 具体的に既存得意先を攻めるには、以下に示した三つの評価基準で取引先をグルーピングし、インストアシェアの状況を勘案して、開拓営業のテーマ設定を行う必要がある。

  1. 既存得意先の業界における経営規模(売上高)
  2. 信用性ランク(過去の支払い実績や全社的な取引基準など)
  3. 既存得意先でのインストアシェア(自社取引実績÷(1)で代替可能)

 ここで、信用性ランクがDランクなど、基準に満たない得意先を除外して、開拓先リストとする。その上で、得意先の経営規模とインストアシェアでポジショニングする。各グループに具体的にどの得意先が属すのかを見ながらグループ毎に開拓営業テーマを検討する。一般論でいえば、経営規模が大きくインストアシェアが低いグループの中で、開拓可能性の高い取引先の攻略が重点テーマとして浮上してくることになる。




 さて、インストアシェアは視点を変えれば、その得意先における自社の拡販余地の指標である。極めて単純に見ればインストアシェアが小さいほど自社の拡販余地は大きいことになる。そして当然ながら、その拡販余地は競合企業が占めている。拡販余地の多寡でなく、拡販余地の質が問題である。最後に三つのパターンを取り上げ、基本的な攻略方向を整理してみる。

(1)インストアシェア50%超の競合企業が存在する場合

 得意先のメイン取引企業で、得意先も頼る存在になっており通常攻勢は難しい。この関係が揺らぐポイントを注視することが基本だ。得意先と競合企業の相互の担当者の異動など攻める機会を探索することだ。

(2)得意先のインストアシェアを自社を含め数社が同程度で占めている場合

 インストアシェアが10%を越え始めると、得意先への存在感や影響力が出てくる。群雄割拠で競争は厳しいが頭一つ抜け出すためには、競合各社との差別化ポイントを明確にする必要がある。商品、商品組み合わせ、企画提案、商談スタイル、配送サービス、配送スピード、受発注スタイルなど、競合各社にはない役立ち方を探索することだ。

(3)自社が下位グループに属している場合

 インストアシェアが10%以下の場合、競合各社への影響力もなく、逆に攻撃を受けたり、得意先から切れられる対象にさえなりかねない状態といえる。早期に一点集中突破できるセールスポイントを準備することだ。今や業界トップにまで登り詰めたアサヒビールだが、1987年のスーパードライ発売以前は「シェアが10%を切る」「酒販店から切られかねない」という危機意識があり、逆にこのことが組織的な営業パワーを生み出した。



参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2026.10.02

26年8月の「ファミリーレストラン売上高」は54ヶ月連続プラス

2026.10.02

26年8月の「ファーストフード売上高」は66ヶ月連続のプラスに

2026.10.01

26年8月の「コンビニエンスストア売上高」は2ヶ月連続のプラスに

2026.10.01

26年8月の「チェーンストア売上高」は2ヶ月連続のプラスに

2026.10.01

26年8月の「全国百貨店売上高」は8ヶ月連続のプラスに

2026.09.30

切れた消費回路、束ねるブランド接点

2026.09.30

「人類滅亡説」はAI生き残り戦略 - 米中巨大赤字チキンレースと日本逆転への布石(後編)

2026.09.29

26年7月の「旅行業者取扱高」は3ヶ月ぶりのプラスに

2026.09.28

企業活動分析 アップルの25年9月期は、サービス事業過去最高で増収増益に

2026.09.25

26年8月の「景気の先行き判断」は6ヶ月連続の50ポイント割れに

2026.09.25

26年8月の「景気の現状判断」は29ヶ月連続で50ポイント割れに

2026.09.24

26年7月の「広告売上高」は、9ヶ月連続のプラス

2026.09.18

「人類滅亡説」はAI生き残り戦略 - 米中巨大赤字チキンレースと日本逆転への布石(前編)

2026.09.17

26年7月の「商業動態統計調査」は8ヶ月連続のプラスに

2026.09.16

26年7月の「消費支出」は5ヶ月連続のマイナスに

2026.09.15

26年7月は「家計収入」、「可処分所得」ともマイナスに

2026.09.14

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 20代男性の半数が有料フィットネスを利用! 心理的充足が継続・満足の鍵

2026.09.11

MNEXT 「ベッセント砲」による円高は基調転換か

2026.09.10

26年7月の「現金給与総額」は55ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」は3ヶ月ぶりのプラス

2026.09.09

26年7月は「有効求人倍率」は横ばい、「完全失業率」は改善

2026.09.08

26年8月の「乗用車販売台数」は5ヶ月連続のプラス

週間アクセスランキング

1位 2026.09.18

「人類滅亡説」はAI生き残り戦略 - 米中巨大赤字チキンレースと日本逆転への布石(前編)

2位 2026.07.24

投機筋の円ショートの積み増し・買い戻しが、 異次元の円安局面の短期変動を増幅

3位 2026.06.01

「円安上等」のその先にあるもの

4位 2022.01.28

MNEXT 眼のつけどころ ePOPで成熟ブランドのリブランディング― 2022年春の提案

5位 2019.02.04

MNEXT 眼のつけどころ 巨大融合メディアへの戦略的対応―情報チャネルの再設計の提案

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area