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(2017.04)
消費経済レビュー Vol.28
2017年度の消費の展望-環境改善により消費は浮上する可能性【要旨】

 消費は、依然として水面下での低迷状況が続いてはいるが、2016年の前半期を底に、回復への兆しが見えつつある。弊社の独自調査によると、支出全般では減少意向が優勢だが、カテゴリーレベルでは増加意向の強まりが認められ、意識面からも消費への前向きな姿勢が垣間見える。

 雇用と収入に関しては前向きな動きが続き、物価も落ち着きをみせている。だが、消費回復の動きは相変わらず鈍い。ただ、景気や雇用、収入などの諸見通しの動きからは、消費マインドの悪化は特段認められない。

 マクロ経済動向をふりかえると、輸出と民間企業設備投資は堅調だが、民間最終消費支出は伸び悩みが目立つ。消費は、消費税増税の悪影響から、まだ抜け出し切れていない様子だ。輸出では回復の動きが見られるが、トランプ新政権による保護貿易主義的な通商政策が、輸出の先行きに影を落とす。設備投資は一時的な落ち込みから復調しつつあるが、分野間で好不調が分かれたままである。在庫循環では、これまでの在庫調整や生産調整の動きにもひと段落がつき、今後の進展次第では、新たな景気回復のプロセスの立ち上がりが期待される。

 日本経済に関するシンクタンク各機関のシナリオを総合すると、2017年度は、輸出と設備投資の回復を前提に、個人消費に対する見方によってシナリオが分かれていく。現状では、個人消費も含め内外需の好転により景気が全面回復していくシナリオの方が、若干優勢である。

 弊社の調査結果を基に今後の消費動向を評価すると、消費をとりまく環境はほぼ横ばいで推移しており、支出実態並びに支出意向での顕著な改善や悪化はそれぞれ、ごく一部の層に限られている。収入実態、景気見通し、雇用見通し、収入見通しなどでも目立った変化はむしろ少なく、経済の諸見通しの変化が支出意欲の悪化の引き金になっているとは考えづらい。

 今後の日本の景気と消費を左右する要因として、主要国・地域での政治や経済の見通しが海外景気に及ぼす影響に着目すると、弊社で最も有力とみているのは、「【米国】保護主義的な通商政策の実施」「【欧州】政治的動揺の拡がり」「【中国】輸出の大幅な下振れ」の三つ全てが実現する、「グローバル景気底割れシナリオ」である。

 2017年度の日本経済の先行きを占うと、確定要因として、消費税再増税は2019年10月まで再延期となった。「マイナス金利」の状況は、解消の方向へと向かいつつある。在庫調整や生産調整の動きにもようやくひと段落がつき、今後は新たな循環に入ることで景気の立ち上がりが期待される。物価上昇率はゼロ近傍でプラスに戻しているが、インフレ目標2%の達成は事実上、棚上げとなりそうだ。設備投資は、大企業で更なる伸びが期待される一方で、非製造業の中堅企業では失速が鮮明になっている。

 不確定要因も考慮に入れた、日本経済の先行きに対する弊社の総合的な判断は、外需は低迷するも、雇用・収入環境の良好さを保ち、個人消費も堅調さを保つ「消費堅調 ・外需低迷シナリオ」である。外需では、米国の保護主義的な通商政策の悪影響と欧州での政治的動揺に伴う混乱に、中国での輸出の大幅な下振れが加わり、グローバル規模での経済不振に見舞われる。外需の不振は日本経済にも悪影響をもたらすが、当座は雇用収入環境の堅調さを支えに、内需主導で日本の景気は底割れを一旦回避する。支出意欲は若干増勢傾向にあり、一部のカテゴリーでは前向きな動きも出てくるなど、消費も堅調さを保つ。ただし今後、外需の不振が長引いた場合には、雇用収入環境は崩れ、景気と消費はともに失速の恐れが高い。


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