半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net



マーケティング用語集
1:29:300の法則(ハインリッヒの法則)




1:29:300の法則とは

 1:29:300の法則とは、労働災害における経験則のひとつで、1件の重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものです。この法則を導き出したハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ(Herbert William Heinrich)(1886年~1962年)に由来して、ハインリッヒの法則とも呼ばれています。
 アメリカの損害保険会社にて技術・調査部の副部長をしていたハインリッヒが1929年11月に、労働災害の発生確率を分析した結果を論文として発表したもので、1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏には300件もの「ヒヤリ・ハット」した(危うく大惨事になる)傷害のない災害が発生していたことを明らかにしました。


ビジネスにおける重要性

 この法則はビジネスにおける失敗発生率としても活用されています。例えば1件の大失敗の裏には29件の顧客から寄せられたクレーム、苦情で明らかになった失敗があり、さらにその裏には、社員が「しまった」と思っているが外部の苦情がないため見逃している300件のケース、つまり認識された潜在的失敗が必ず存在していると言うことができます。
 また、『サービス・マネジメント』(カール・アルブレヒト、ロン・ゼンケ共著、ダイヤモンド社)によれば、「不満を持った顧客の96%は、企業に対して何も言わない。一般にクレームが1件あると、問題を抱えた顧客が他にも24人存在することになり、そのうち6件は深刻な問題なのである。」と言われています。つまり、1:29:300の法則における29のクレームは、不満をもった顧客のうち、わずか4%が発するクレームにすぎず、仮に29件のクレームが発せられたとするなら、不満をもった顧客は単純計算で725人いるということになり、従業員が「しまった」と感じる失敗よりもはるかに大きな数字となります。顧客は、企業が失敗を感じている以上に、企業の提供物、サービスに対して不満をもっていると言えそうです。
 このように顧客の側からの視点を加えると、顧客の不満、クレームをいかに迅速に効率的に察知するということが、重大な失敗を回避するだけでなく、顧客の不満足を満足に変え、顧客維持率を高める上で非常に重要なポイントだということがわかります。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.26

消費からみた景気指標 24年2月は10項目がプラスに

2024.04.26

24年3月の「全国百貨店売上高」は25ヶ月連続のプラス、インバウンドや物産展が好調

2024.04.26

24年3月の「ファーストフード売上高」は37ヶ月連続のプラスに

2024.04.26

24年3月の「ファミリーレストラン売上高」は25ヶ月連続プラス

2024.04.25

月例消費レポート 2024年4月号 消費は足許で持ち直しの動きが見られる-「いつも通り」の消費の風景が戻ってくるようになれば消費回復の見通しもより確かなものに

2024.04.24

24年3月の「チェーンストア売上高」は既存店で13ヶ月連続のプラス、食料品がけん引

2024.04.24

24年3月の「コンビニエンスストア売上高」は4ヶ月連続のプラスに

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

週間アクセスランキング

1位 2024.04.12

成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area