ゲートキーパー(gatekeeper)」とは、直訳すれば「門番」のことですが、経営学では組織や企業の境界を越えて、その内部と外部を情報面からつなぎ合わせる人のことを指します。組織内の誰とでも何らかの形で接触しており、外部との接触も極めて多い人間である、と言うことができます。
ゲートキーパーの概念は、1970年代にアメリカの経営学者Allenによって提唱されました。ある研究開発組織内での実際のコミュニケーションの状況を分析したところ、組織の多くのメンバーからコミュニケーションのパスを受け取り、メンバーに有効な情報を効果的に伝える役割を担っている研究者が存在していることが発見されました。その人をゲートキーパーと呼びました。
ゲートキーパーは、顧客の要望を把握しながら市場の動きを探り、研究開発部門や販売部門との交渉を進めることが可能です。
たとえば、製品や技術の開発の際に、組織や企業の境界を超えてコミュニケーションをとり、必要な情報をつなぎ合わせる役割を果たす専門知識を持った人のことを指します。また、金融の分野では世間に広く明かされていない優良企業の取り組みについての情報を提供し、投資を促進する役割を担う人のことを指します。
一般的に、組織には特有の文化や考え方、用語などが存在し、それがコミュニケーションを妨げる要因になっています。ゲートキーパーは組織の内外と接触する機会がきわめて多く、かつ高度な専門知識を持っているため、関連する情報をわかりやすく伝え、コミュニケーションを円滑にすることができます。
一方、ゲートキーパーは、組織内外にある大量の情報に精通しており、組織内外の関係者の情報を操作する権限が備わっていることも多いです。そのため、自分に都合の良い情報を流したり、意図的に誤った情報を流したりといった、操作の悪用も可能です。
製品の開発には多くのプロセスが必要であり、コミュニケーションの面からさまざまな部門を結びつけるゲートキーパーの存在が、新規事業を成功させる要因のひとつとなっている場合もあります。近年は、グローバル化にともなって、関連部署や部門が遠隔地で機能しているケースも珍しくありません。製品や技術の開発の際に、多数の情報源に接触し、膨大な情報量を効率的に処理するゲートキーパーの役割が、ますます重要になってくるでしょう。
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