
スピンオフとは、広義には既存の企業や組織の一部門や、活用されていない研究開発成果やアイデア等を分離し、別の企業や組織として独立させ、事業展開を行うことです。
名称が一般的になったのは最近ですが、手法自体は決して新しいものではなく、1937年に豊田自動織機から独立したトヨタ自動車は、スピンオフから親会社をしのぐ世界的な企業になった成功事例といえます。
スピンアウトと同義語として扱われ、狭義には以下の3タイプに分類されます。
- スピンオフ型
分離された親会社との関係が深く、ブランド利用や物流システムなど経営資源を共有できる状態で別会社とすること。 - スピンアウト型
分離された親会社との関係が全くない、または薄く独立性の高い状態で別会社とすること。 - 社内ベンチャー型
親会社の内部に新規事業を行う部門を設けたり、子会社を設立して管理下のもとに新規事業を行うこと。
スピンアウト型は、親会社からの独立性が高く、親会社の制約に縛られずに事業を進めていけるメリットがある一方、販売チャネルやブランド等の経営資源を活用できなくなるというデメリットもあります。
また、社内ベンチャー型については、親会社の内部組織または子会社になっており、経営資源を存分に活用できることや、資金繰りなどのメリットがありますが、親会社の管理下にあるため、独立性が低く意思決定が遅れることがあります。
一方、スピンオフ型は、スピンアウト型と社内ベンチャー型の双方のメリットを生かし、親会社の経営資源を活用した上で、独立性を持たせることで迅速な意思決定に基づく事業展開が可能になると考えられています。そのため、親会社の立場で新事業を展開する場合や社内における企業家を育成したい場合、スピンオフ型の事業展開が有効であると考えられます。
企業において事業の選択と集中が進むなか、日本の経済発展を持続する意味からも、大企業に眠っている事業化シーズや技術開発テーマ、高度な専門人材を顕在化させるスピンオフ企業が多数生まれることが期待されます。
おすすめ新着記事

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。

消費者調査データ レトルトカレー(2023年11月版) 首位は咖喱屋カレー、リピートされる調理対応カレー
コロナ禍以降、家族の食卓への浸透が一層進んだレトルトカレー。調査結果では、咖喱屋カレーがトップを堅持する一方、再購入意向では調理対応カレーやコスパに優れるPBが上位に。家族食としての定着を裏付ける結果となった。

「食と生活」のマンスリーニュースレター 食卓に浸透する市販の惣菜 4割弱が週1回以上惣菜を購入
流通にとって重要性を増しているといわれる「惣菜」について調査を行った。週1回以上惣菜を購入する人や4割弱、今後の購入意向のある人は7割にのぼり、とくに上の年代で意向が高い。さらに、惣菜の購入はチャネルの利用意向にも影響を与えているという結果がみられた。



