
デファクトスタンダード(de facto standard)とは、市場での競争の結果として、事実上の業界標準となった規格・製品のことを指します。これに対し、ISOやJISなどの国際機関や標準化団体によって定められた公的な標準を、デジュアスタンダード(de jure standard)と呼ぶことがあります。パソコン向けのOS(基本ソフトウェア)であるWindowsや、家庭用ビデオのVHS、インターネットの通信規格であるTCP/IPなどがその代表例です。
デファクトスタンダードが確立した業界では、その規格に対応した製品や、互換性を持つ製品が、シェアのほとんどを占めることになり、市場の独占が進むおそれもあります。一方、消費者にとっては、デファクトスタンダードを目指す複数の規格が対立することで、製品やサービスの互換性がない製品が市場に多く出回り、不便を感じることもあります。
ある規格がデファクトスタンダードになるためには、その規格が他の企業によって支持されることが必須条件です。例えば、Windowsを普及させたMicrosoftは、当時の世界最大のコンピュータ製造会社であったIBMにOSを採用させることに成功したため、デファクトスタンダードを獲得したという経緯があります。また、規格をオープンにし、関連企業と連携を持つことも、有効な手段のひとつです。家庭用ビデオの例では、VHS方式を発表した日本ビクターは、試作機を他社に貸し出して公開したため、シャープや三菱電機などの企業が機能の改良を行い、その結果デファクトスタンダードを獲得できたのです。
現在注目されている対立例として、次世代DVDの規格が挙げられます。現存する規格には、東芝やNECが共同提案しているHD DVDと、ソニー、松下電器産業などが推奨しているブルーレイディスクのふたつがあります。
近年ではひとつの規格に複数の産業が関わることが当たり前になっています。デファクトスタンダードを獲得することは主目的ではなく、関連産業のなかでいかに自社のポジションを獲得していくかが、戦略の鍵となっています。
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