
ABC(Activity Based Costing:活動基準原価計算)は、1980年代、アメリカ経済の悪化と情報技術の飛躍的進歩を背景に、伝統的原価計算がその有効性を失ったことによって、必要になった新たな原価計算手法として誕生しました。企業が業績を回復させるための方策は、粗利益を増加させることと組織の維持費の削減であると言われていたなかで、「何が問題なのか?」との問いにそれまでの原価計算システムは答えられなかったのに対して、ABCは正しい情報を提供し、正しい意思決定を行う武器としてアメリカ企業の再生に大いに貢献した、といわれています。
ABCの基本理念は、「製品がアクティビティ(=活動)を消費し、アクティビティが資源を消費する」という思想で、原価が計算されることにあります。「アクティビティ」とは、投入した経営資源を、製品やサービスに変換する活動を意味し、この関連するアクティビティの連鎖がプロセスとなり、企業組織を形成します。アクティビティは組織横断的概念であり、ABCはこのアクティビテイを重視します。つまり、ABCは、完成品を顧客に引き渡すまでの原価の発生を、価値の生成過程に応じて正しく測定していこうとするものです。
ABCの導入によって、販売プロセス、生産プロセス、購買プロセス、物流プロセスやそれらを構成するアクティビティを定量的に把握できるようになります。その結果、リ・エンジニアリングやアウトソ-シングを行う際の意思決定情報が得られ、また、製品やサ-ビス原価が正確に算定されることから適切なプロダクトミックスが可能になります。
おすすめ新着記事

消費者調査データ No.397 シャンプー(2023年12月版) 「パンテーン」と「ラックス」、僅差の競り合い
コロナ禍によるインバウンド需要喪失からゆっくり立ち直りつつあるシャンプー市場。調査結果は「パンテーン」が複数項目で首位を獲得したが、2位の「ラックス」との差はごくわずかで競り合いが続いている。国内メーカーでは、独立系の専業メーカーが独自のコンセプトで高いリピート意向を獲得している。

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。

消費者調査データ レトルトカレー(2023年11月版) 首位は咖喱屋カレー、リピートされる調理対応カレー
コロナ禍以降、家族の食卓への浸透が一層進んだレトルトカレー。調査結果では、咖喱屋カレーがトップを堅持する一方、再購入意向では調理対応カレーやコスパに優れるPBが上位に。家族食としての定着を裏付ける結果となった。



