半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net



マーケティング用語集
セル生産方式




1.セル生産方式とは

 セル生産方式とは、組み立て製造業において、一人または数人の作業員が、部品の取り付けから組み立て、加工、検査までの全工程を担当する生産方式です。部品や工具をU字型などに配置したセルと呼ばれるラインで作業を行うことからセル生産方式と呼ばれています。
 セル生産方式に対する生産方式として、ライン生産方式があります。ライン生産方式とは、作業者が製品の組み立て業務を細かく分担し、製品がベルトコンベアなどで上流から下流に流れていく中で、何人もの作業者が各担当の部品を組み付け、製品を完成させる生産方式です。
 セル生産方式は、「消費者ニーズの多様化」と「大量生産拠点の海外流出」を背景に、日本で提唱された生産方式です。1990年代以降、国内製造業は市場に近いというメリットを活かして、市場ニーズに合った製品をすばやく提供する体制を国内に構築するためにセル生産方式を取り入れています。需要変動の激しい情報機器メーカーや家電メーカーで積極的に導入が進み、日系企業を中心に海外へも普及しています。


2.メリット・デメリット

 セル生産方式のメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  1. 多品種少量生産に適している:
    部品箱の入れ替えやセルでの作業員の作業順序を変えるだけで、生産品目を容易に変 更可能。
  2. 在庫が圧縮できる:
    まとまった量の材料を確保しなくても生産可能であることから、大量生産時と比較して、在庫が少なくて済む。
  3. 生産ボリューム変動への適応力が高い:
    需要が高まればセルの数を増やす、減ればセルの数を減らすなど、生産量の調整への対応が容易に行える。
  4. 作業者個々人の習熟度に合わせて作業ができる
  5. 作業者の責任感や士気の向上につながる:
    最終的にお客様に渡る商品を実感しやすくなることや、多能工になることで自分のス キルアップを図れるため、士気の向上につながる。

 一方、セル生産方式のデメリットとしては主として人の要素が強く、以下のような点が挙げられます。

  1. 作業者が熟練するまでに時間がかかる:
    一人または数人で多工程を担当するので、それぞれの工程について熟練する必要があり、多能工として熟練するまでに時間がかかる。
  2. 作業者間での生産量・品質の差が大きい:
    一人作業者セルの場合、作業効率が作業者個人のやる気、スキルレベルに依存し、作業者間での生産量の差が極端に大きくなったり、一人が見るエリアが広くなることにより製品の細かい不具合や対応漏れなどが発生しやすくなる恐れがある。
  3. 作業者の長期雇用が前提となる可能性もある:
    作業者のスキル向上への投資が必要になり、作業内容やその教育の標準化が困難な場合は、工員の長期雇用が前提となることもある。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

新着記事

2024.07.26

消費者調査データ 炭酸飲料(2024年7月版)  首位「コカ・コーラ」、迫る「三ツ矢サイダー」、高い再購入意向の無糖炭酸水

2024.07.25

24年5月の「広告売上高」は、6ヶ月ぶりのプラス

2024.07.24

24年5月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

2024.07.23

24年5月の「商業動態統計調査」は2ヶ月連続のプラス

2024.07.22

企業活動分析 キユーピー株式会社 23年11月期は海外など好調で増収も原材料高騰で2桁減益に

2024.07.22

企業活動分析 カゴメ株式会社 23年12月期は引き続き海外事業がけん引し増収増益に

2024.07.19

企業活動分析 ライオン株式会社(2023年12月期) 増収も土地譲渡益の反動等で減益に

2024.07.19

企業活動分析 ユニリーバ(Unilever)(2023年12月期) 減収減益、事業部門の業績格差受け、新成長戦略を修正へ

2024.07.19

24年6月の「景気の先行き判断」は3ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.18

24年6月の「景気の現状判断」は4ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.07.17

MNEXT 円安は歓迎すべきかー過熱する円安論争

2024.07.16

企業活動分析 山崎製パン株式会社 23年12月期は大幅な増収増益で過去最高益に

2024.07.12

消費者調査データ スポーツドリンク・熱中症対策飲料(2024年7月版) 首位「ポカリスエット」、追い上げる「アクエリアス」

2024.07.11

24年5月の「消費支出」はふたたびマイナスに

2024.07.10

24年5月の「家計収入」は20ヶ月ぶりのプラス

2024.07.09

24年4月の「現金給与総額」は28ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.07.08

企業活動分析 大塚HD 23年12月期は売上は過去最高を記録、医療事業の減損損失で減益に

2024.07.08

企業活動分析 小林製薬の23年12月期は、R&Dや宣伝広告への積極投資を行い増収減益に

2024.07.05

成長市場を探せ 初の6,000億円超え、猛暑に伸びるアイスクリーム(2024年)

週間アクセスランキング

1位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

2位 2024.07.03

MNEXT コロナ禍の前中後の内食もどりはあったのか? -食欲望の現在-

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area