ハフモデルとは、1960年代に、米国の経済学者であるDavid Huffが作成したモデルで、ある店舗に消費者が買い物に出かける確率を、他の店舗との競合状況を考慮しながら予測するものです。消費者は、近くにある大きな店舗へ行くという一般的な傾向を前提にしており、ある店舗を選択する確率を、店舗の売場面積に比例し、そこまでの距離に反比例するとしています。式で表すと以下のとおりです。
![](./images/0422.gif)
Sj :店舗jの売場面積
Dij :i地点から店舗jまでの距離(時間距離の場合もある)
λ :距離の抵抗係数
n :競合店舗の数
「距離の抵抗係数」とは、「遠くまで買いに行くことをどの程度面倒に感じるか」を数値で表したものです。食品や日用品などの最寄り品であれば、できるだけ近くで購入したいために抵抗係数は大きくなり、品質や価格を比較検討して購入する、家電や衣料品などの買いまわり品であれば、遠くまで出かけて探すこともあるため、抵抗係数は小さくなります。
日本では、商業調査を行ううえでの審査指標として、ハフモデルを日本の現状に合わせてアレンジした「修正ハフモデル」を採用してきました。これは、時間距離の抵抗係数λを2としたモデルで、1980年代に、当時の通産省(現在の経済産業省)が、大規模小売店舗法に基づく出店審査の基準として設定したものです。この修正ハフモデルをもとに、大規模店舗が近隣商店街に及ぼす影響が予測されてきました。
近年は、消費の多様化が進み、新業態の店舗が増えてきています。そのため、商圏予測を行う際には、従来の売場面積と距離だけではなく、複数の要素を加味して、店舗や地域の魅力度を総合的に算出する必要があります。魅力度に影響する要素は、駐車場の広さ、営業時間、商品の価格、複合設備の状況、場所の利便性、交通ネットワーク、地域のブランド力、店舗のブランド力などさまざまであり、どの要素を採用するかによって、結果が大きく違ってくることになるでしょう。
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