アスクルの2019年5月期の連結決算は、売上高3,875億円(前期比7.5%増)、営業利益45億円(同7.8%増)と、計画未達ながら増収増益を確保した。当期純利益は固定資産の減損損失31億円を計上したことにより4億円(同90.7%減)。主力分野であるeコマース事業のBtoB事業は前期比4.4%の増収と順調に推移し、BtoCj事業は「LOHACO」の火災からの回復と前年度子会社化した(株)チャームの連結効果により、同28.7%の増収となった。差引売上総利益は、売上総利益率が前期から引き続き堅調に推移したことで増益となった。大手配送会社の段階的値上げによる配送運賃の大幅増加があったものの、「LOHACO」の基本配送料が無料となる注文金額の改定や、配送原価低減策としてKAIZEN活動に取り組んだこと等で増加コストを吸収、売上高販管費比率が低下した。固定資産の減損は「ASKUL Value Center 日高」によるもので、「ALP首都圏」の火災後に開設した物流センターとして物流生産性の復元に大きく寄与したが、宅配クライシスに起因する運送運賃値上げ等により減損損失を計上した。19年8月にはヤフーとの対立で岩田社長が解任、吉岡氏が内部昇格で社長に就任する交代劇があった。20年5月期の見通しは、LOHACOは選択と集中で着実に収益を改善、BtoB事業はeコマース戦略によるお客様数拡大とロングテール商品拡大で安定的な増収増益を予定しており、全体では大幅増益を見込んでいる。今後は、データやテクノロジーを活用した商品開発やロングテール商品の拡大、WEBサイトの進化等によるさらなる成長と収益力の向上に取り組んでいく。
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