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『2017年、弱含みの消費をどう攻めるか?』(松田久一)

 2017年の消費を読み解いて、来期のマーケティング方針を決定する。そんな季節になってきました。

 しかし、残念ながら消費は弱含みです。日本の失業率はもっとも低い水準まで低下し、給与水準も微増傾向にあるにも関わらず、消費は対前年割れが続いています。

 この失業率や賃金の上昇にも関わらず、消費が上向かない「日本経済の謎」は、中流生活の成熟によって消費欲望が減退していることに本質的な問題がある、と2017年度白書の分析では結論づけました。

 つまり、消費欲望を生む中流生活へのファンタジーが消失し、商品サービスのニーズそのものが弱くなりました。さらに、商品サービスへのニーズを生む際に、補完的な役割を果たす情報やコンテンツがミスマッチを起こしたり、欠如したりしています。

 片手の手袋は商品ですが、健全者には補完的な左手袋があってこそ役に立ちます。商品サービス間には、消費者のニーズが高次化するとこのような補完関係が重要な役割を果たします。マーケティング上の課題はこの補完関係を強めることにひとつの解決課題があります。

 このような中流生活の行き詰まり課題は、日本をはじめ、アメリカなどの先進国でもみられる現象でもあります。アメリカの経済学者、R.ゴードン の「アメリカの成長の隆盛と衰退―市民革命以来のアメリカの標準的生活」(プリンストン大学出版)は、この中流生活、つまり、標準的生活の成熟がアメリカに長期の低成長をもたらすと主張しています(MNEXT 「眼のつけどころ 低成長時代を迎える21世紀のアメリカ経済」参照)。

 したがって、典型的には、中流生活の象徴であり、20世紀に生まれたクルマなどの選択的耐久財などの所有欲の強い商品が苦しい状況にあります。クルマは、昔はガソリンが補完財でしたが、現在では、移動先の情報や体験が補完財です。もっと言えば、移動時間の楽しみ方が補完財になっています。

 他方で、食などへのニーズは、個人的な趣味や体験的性格が強く、もはや生存欲求を満たす生理的欲求の対象ではなく、自己実現欲求の手段となって比較的堅調に推移しています。ふだんの食生活のなかで、「築地市場」でお世話になっていることは滅多にありません。扱われる生鮮品が超高級品だからです。しかし、東京の台所は築地という「ファンタジー」が豊洲移転問題への関心を高めています。ゲームも、暇つぶしの手段ではなくなりました。高収入の若者層が、高額アイテムを購入し、達成感を得る生きがいの手段になりました。

 あらゆる消費財が、消費者の高次の目的である生きがいと結びつき、目的とのリンクが強い商品サービスが成長し、弱いものの成長に陰りが見えてきました。このようなあらゆる商品サービスの役割の変化の本質は、「昭和世代」が憧れ、そして、目指した豊かな中流生活へのファンタジーです。

 消費欲望の高次化は、新しい世代ミックスが生まれたことによります。将来不安の強いバブル後世代がリードする「嫌消費」時代が終焉し、世代交代による自己実現志向の強い新しい「ポジティブ世代」が青年期に入り、バブル後世代が家族形成期に、団塊ジュニアが「ミドルクライシス」や子育て負担期を迎え、そして、消費にもっともポジティブだったバブル世代である新人類世代が、退職後不安や年金不安を抱え、断層や団塊の世代は老後不安に取りつかれています。仕事や収入があっても、消費支出が増えないのは、それぞれの世代が生涯収入や資産を低く見積もり、平均余命までの支出を平準化しようとするからです。

 さらに、このような収入や資産の制約条件のもとで、中流の家族生活にファンタジーを持つ世代が少数派に転落したことによります。

 他方で、グローバルな供給サイドのイノベーションによって、極めて多様な商品を生み出すことができ、人的サービスによってカスタマイズ化を図れる条件が生まれていることもあります。中流生活に必要な財は、世界のどこででもつくれるようになりました。

 このような状況で、多様な「脱中流生活」の消費リーダーがポスト中流生活をめざし、これからの様々な商品サービス市場や地域商圏を牽引していきます。

 2017年の消費とそれぞれの市場を読み、2017年のマーケティング方針を決定する上で大切なことは五つあります。


  1. 対象市場の背景にある消費の短期と長期のトレンドをどう捉えるか
  2. 顧客をどうセグメントし、ターゲティングすべきか
  3. もっとも有効な価格戦略は何か
  4. 成長する首都圏市場をどう攻めるか
  5. ものづくりモデルから脱却して、どんな新しいビジネスモデルを構築すべきか

 ワークショップでは、「消費社会白書2017」より、これらの課題解決のお役に立つプレゼンテーションを行い、みなさんと少人数で議論させて頂きます。
 是非ともご参加下さい。



中流生活の成熟と再生を乗り切るビジネスモデル革新-レガシーマーケティングを越えて-
Session1
13:00~13:40
(40分)

 「中流価値の成熟と再生」の時代を読む
代表取締役社長 松田久一
ポイント
  1. 消費が盛り上がらない諸説の検証
  2. 消費低迷の正体-中流生活の成熟と脱中流生活リーダー
  3. 長期消費低迷の本質は日本とアメリカの中流生活の成熟
  4. ものづくり・もの売りから水平市場プラットフォームへの転換
Session 2
13:40~14:20
(40分)

 見え始めたポスト中流生活
大場美子、菅野守
ポイント
  1. 新しい世代ミックスが変える価値観と消費
  2. 生きがいを求める生活モジュールの再構成
  3. 消費トレンドを牽引するリーダー層
休憩
14:20~14:25
(5分)

Session 3
14:25~15:05
(40分)
 中流層分解期の収益性の高い価格戦略は何か
合田英了
ポイント
  1. 価格は何によって決まるか―支払い意思価格(WTP)の格差拡大
  2. 収益増加の源泉
  3. 値下げと値上げ企業の事例
  4. 導入すべき収益向上のための新価格体系
Session 4
15:05~15:45
(50分)
 成長する東京・首都圏市場をどう攻めるか
大澤博一
ポイント
  1. なぜ東京・首都圏市場は成長するのか
  2. 高層マンション商圏の流通の重畳性(システム性と多様性)
  3. 成長期の東京首都圏流通の流通システム
  4. 激化、多面化する競争
  5. 成功の鍵はメーカー主導の市場プラットフォームの構築
Discussion
15:45~16:00
(25分)
 フォーカスディスカッション
大場美子
※プログラムおよび登壇者は10月5日現在のもので、予告なく変更する場合があります。ご了承ください。



開催要項

 【第1回】
  日時 : 2016年10月26日(水) 13:00~16:00

 【第2回】
  日時 : 2016年10月27日(木) 13:00~16:00

※プログラムは両日とも同様です。ご都合の良いお日にちでお申し込み下さいませ。

  会場 : JMR生活総合研究所 会議室(パレスサイドビル2F)
      東京メトロ東西線竹橋駅下車直結(詳しいアクセス方法はこちら


  参加費:・有料会員 30,000円
      ・無料会員 35,000円
      ・一般(非会員) 40,000円
       (ともに税込み 。「消費社会白書2017」書籍代含む)

  定 員 : 各日30名(ご応募多数の場合は先着順とさせていただきます)



お申し込み

 毎年ご好評をいただいております。お申し込みは以下よりお早めに!

※先行お申し込みには、有料会員または無料会員でのログインが必要です。
※尚、調査会社、シンクタンク、コンサルティング、広告代理店、学生の皆様には、
 ご参加をお断りさせて頂いております。何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます



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