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(2018.12)
月例消費レポート 2018年12月号
消費は再び方向感が定まらない状況となっている
主任研究員 菅野 守



 JMR消費INDEXの中長期的な近似曲線は2018年10月現在、上昇トレンドにある。短期的な動きとしては、INDEXの数値は2018年に入り50を挟んでの上下動が続いていた後、2018年8月以降は50を超える水準で推移している(図表1)。INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出水準関連指標では、消費支出と平均消費性向は3ヶ月ぶりに悪化に転じた。他方で、預貯金は2017年7月以降、一貫して悪化が続いている。販売関連指標では、2018年10月時点で、計10項目中、改善が9項目に対し悪化が1項目となっている。支出水準関連指標では前月9月とは異なり悪化の動きが優勢となっているが、販売関連指標では改善の動きが優勢となっており、再び両者の方向感は定まっていない(図表2)。

 公表された2018年10月以降の各種経済指標から、消費を取り巻く状況を整理すると、消費支出は、勤労者世帯では2018年10月現在、名目の伸びは4ヶ月連続でプラスとなっているが、実質の伸びは3ヶ月ぶりにマイナスに転じている(図表5)。10大費目別にみると、2018年10月時点で、名目と実質の双方とも、プラスの費目数がマイナスの費目数を上回っている。前月9月から10月にかけての推移をみると、名目と実質ともにプラスの費目数が増えマイナスの費目数が減っている(図表6)。以上より、消費支出の動きに関しては、全体と10大費目別との間で、変化の方向が分かれているようだ。消費者物価指数の動きをみると、物価の伸びは2018年4月あたりを境に緩やかな上昇傾向にある(図表7)。販売現場での動きをみると、日常財のうち、外食は2018年10月時点で、業態の違いによらず総じてプラスの伸びを保っている。商業販売は2018年10月現在、小売全体の伸びはプラスを保っているが、主要な業態の伸びはゼロ近傍にある(図表11、図表15)。耐久財のうち、新車販売は2018年11月時点で、軽乗用車と乗用車(普通+小型)ともに、伸びは2ヶ月連続でプラスとなっている。新設住宅着工戸数は2018年10月時点で、全体の伸びは再びプラスに転じ、持家、分譲住宅・一戸建て、分譲住宅・マンション各カテゴリーの伸びも3ヶ月連続でプラスとなっている。家電製品出荷は2018年10月時点で、白物家電の伸びは商品の違いによらずプラスとなっているが、黒物家電の伸びは商品間で好不調が分かれている(図表12、図表13、図表14)。雇用環境に関しては、2018年10月時点で、完全失業率は再び上昇するとともに、有効求人倍率は8ヶ月ぶりに低下しており、いずれの指標でも悪化の動きが認められる(図表8)。他方、収入環境に関しては、現金給与総額、所定内給与額、超過給与額の全てで、2017年8月以降はほぼプラスを保ち続けており、改善の動きが持続している(図表9)。消費マインドに関しては2018年11月時点で、景気ウォッチャー現状判断DIは2ヶ月連続で上昇しているが、消費者態度指数は2ヶ月連続で低下しており、消費マインドの方向感が定まらない状況が続いている(図表10)。

 経済全般の状況に着目すると、輸出の伸びは2018年10月時点でプラスに戻している(図表16)。生産については、指数は2018年3月をピークに2018年9月までほぼ一貫して低下の動きが続いていたが、10月時点では全体だけでなく外需関連各業種と内需関連各業種の双方とも、指数は上昇に転じている(図表18、図表19、図表20)。ただし、マーケットの動向をみると、11月下旬から12月半ば頃にかけて、為替は113円台で概ね安定的に推移してきたが、株価は乱高下が続いてきた。その後、相場は再び円高・株安の局面に入っている(図表21)。特に株価は、2018年12月13日時点での終値は21,816円19銭であったが、2018年12月21日時点での終値は20,166円19銭となっており、直近7営業日間で-1,650円も下落した。連休明け12月25日の前場終値は19,147円45銭を付け、株価は2万円を大きく割り込み、前営業日比で1,000円を超える下げ幅を記録している。長期金利は10月下旬以降、低下傾向で推移しており、直近の2018年12月20日時点では0.041%を付け、およそ5か月前の2018年7月20日頃の水準にまで再び落ち込んでいる(図表22)。

 総合すると、消費は、日常生活財と耐久財のいずれでも、悪化と改善双方の動きが交錯しつつ、分野間で好不調が分かれたまま、再び方向感が定まらない状況となっている。経済全般の動きとして、収入環境では改善の動きが持続しているのに対し、雇用環境ではこれまで息長く改善の動きが続いてきたところ、足許では総じて悪化の動きがみられる。輸出と生産はともに改善の動きに転じているが、マーケットでは足許で株価の大幅な下落と長期金利の低下が続いており、相場は弱気(ベア)基調が強まりつつあるようだ。

 2018年12月15日に日本銀行より公表された全国企業短期経済観測調査(短観)によると、今回12月における業況判断DIは概ね前回9月並みの水準で横ばいとなっているが、今回12月から次回3月にかけてのDIの変化予想は総じて悪化の見通しとなっている。2018年12月20日に内閣府より公表された2018年12月の月例経済報告では景気の基調判断は現状と先行きのいずれも据え置きとなった。政府は、一般会計の総額で初の100兆円台に乗せる2019年度当初予算案を2018年12月21日に閣議決定するとともに、2018年12月14日に決定された平成31年度与党税制改正大綱などを基に、なりふり構わぬ消費増税対策で以て、増税前後での駆け込みと反動減の平準化と増税による消費への下押し圧力に伴う景気の腰折れの回避に躍起となっている。しかしながら、米中を中心に海外景気の先行きに対する不安感が広がりつつある中で、日本の景気の先行きに対する懸念も徐々に台頭しつつある。消費税率が上昇する2019年10月よりも以前の段階から、消費者の間で支出抑制姿勢が強まる可能性にも警戒しつつ、2019年の年明け後の消費の行方には、これまで以上に注意を払う必要がある。

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