JMR消費INDEXは、2017年12月時点まで、上昇傾向を保っている。INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、支出水準関連指標では、2018年1月に消費支出と平均消費性向の2項目が改善に転じた。販売関連指標では、2017年12月時点で、全10項目中、改善が6項目に対し悪化が4項目となり、改善の側が優勢となっていた。だが、2018年1月時点では、判明している9項目中、改善が4項目に対し悪化が5項目となっており、わずかながらも悪化の側が優勢となっている。前月12月とは異なり、支出水準関連指標は改善の方向に転じたものの、販売関連指標は悪化の方向に転じており、両指標間で方向感が定まってはいない。
公表された2018年1月以降の各種経済指標から、消費を取り巻く状況を整理すると、消費支出は、2018年1月現在、名目と実質の双方でプラスとなっている。10大費目別にみると、名目と実質ともに、前月12月と同様、プラスの費目数がマイナスの費目数を大きく上回っている。10大費目別では、前月と同様、改善の側が優勢の傾向は保たれている。消費者物価指数は2018年1月に、総合と財の指数の伸び率の値は前月12月よりも更に上昇するとともに、サービスの伸び率の値もわずかながら上昇をみせている。生鮮食品やエネルギーを中心とした値上がりの動きは年明け後もなお続いてはいるが、消費への悪影響は軽微なものに止まっているようだ。販売現場での動きをみると、2018年1月現在、商業販売や外食などの日常生活財では、一部の業態を除き、伸びはプラスを保っている。耐久財のうち、新設住宅着工戸数では、全体ではマイナス幅が拡大しており、カテゴリー別でみても伸びは概ねマイナスに落ち込むとともに、一部のカテゴリーではマイナス幅も拡大している。新車販売では、軽乗用車の伸びはプラスを保っているが、乗用車(普通+小型)の伸びはマイナスが続いている。他方で、家電製品出荷では、黒物家電と白物家電ともに、伸び率の値は概ね上昇している。黒物家電の一部では伸びはプラスに復帰するとともに、伸びがマイナスの項目でもプラス転換まであともう一歩のところまで来ている。耐久財では、カテゴリー間での好不調の格差が広がりつつあるようだ。雇用環境では、完全失業率は低下傾向にあり、有効求人倍率も歴史的な高水準で上昇傾向を保っている。収入環境については、現金給与総額、所定内給与、超過給与額の全てで、2017年8月以降はほぼプラスを保ち続けている。ただし、消費マインドに関しては、2018年2月現在、景気ウォッチャー現状判断DIと消費者態度指数の双方で悪化の動きがみられる。
経済全般の状況に着目すると、輸出は、息長く改善の動きが続いている。他方で、生産は、2018年1月時点で大幅な落ち込みを見せている。マーケットの動向をみると、株価は2月に入ってからも下落が続いていたが、2月の半ばに一旦底打ちして以降、3月上旬にかけて乱高下が続いている。為替は1月に入って以降、若干の上下動を伴いつつも円高トレンドが続いているが、3月に入り一旦落ち着きをみせている。長期金利は、2月に入って以降、緩やかな低下傾向にある。
総合すると、消費は引き続き堅調な推移をみせてはいる。ただ、耐久財で好不調の格差が広がりつつあるのは、若干気がかりな点だ。消費マインドの悪化や、生産の一時的なスランプ、更に株価の乱高下など、消費を取り巻く諸条件の一部で悪材料が出始めていることも、今後の消費を占う上で注意を要するところではある。この先、耐久財での不調がごく一部のカテゴリーに止まり、消費マインドの悪化にも早期に歯止めがかかれば、消費の回復基調も引き続き保たれることとなるだろう。
参照コンテンツ
おすすめ新着記事

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 成長するコーヒー市場 6つの形態が店頭に共存するワケとは?
コーヒーの国内消費量は、2022年に4年ぶりの増加に転じた。最近では大手コンビニエンスストアがコーヒーのサブスクサービスを実験的に導入する動きがみられる。今回はコンビニを中心にコーヒーがどのように買われているのか調査をおこなった。

消費者調査データ No.397 シャンプー(2023年12月版) 「パンテーン」と「ラックス」、僅差の競り合い
コロナ禍によるインバウンド需要喪失からゆっくり立ち直りつつあるシャンプー市場。調査結果は「パンテーン」が複数項目で首位を獲得したが、2位の「ラックス」との差はごくわずかで競り合いが続いている。国内メーカーでは、独立系の専業メーカーが独自のコンセプトで高いリピート意向を獲得している。

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。



