半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net


(2017.08)
月例消費レポート 2017年8月号
消費は回復傾向―マインド復調が本格回復の鍵
主任研究員 菅野 守

本コンテンツの図表は、有料会員サービスでの公開となっております。
ご利用には有料の会員登録が必要です。
ご登録済みの方は、こちらから全文をご利用ください。
会員のご登録はこちらをご覧ください。

 JMR消費INDEXは、2016年7月辺りを底に、緩やかながらも上昇を続けている(図表1)。INDEXを構成する個々の変数の動きをみると、2017年6月現在、支出水準関連指標では、消費支出と平均消費性向の2項目で、前月5月に引き続き改善が続いている。販売関連指標では、現時点で判明している9項目中、改善が6項目、悪化が3項目となり改善の側が優勢な状態にある。支出水準関連指標と販売関連指標の双方で、消費回復の動きが進んでいる(図表2)。

 公表された2017年6月以降の各種経済指標から、消費を取り巻く状況を整理すると、消費支出は、名目と実質の双方で再びプラスに転じ、10大費目別で改善の裾野も広がるなど、回復の進展が確認できる(図表5図表6)。販売現場での動きとして、商業販売や外食などの日常生活財では、改善の動きが進んでいる(図表11図表15)。耐久財のうち、家電製品では白物と黒物の双方で改善の動きがみられ、新設住宅着工戸数と新車販売では、個別の分野間で好不調が分かれるものの、総じてプラスを保っている(図表12図表13図表14)。雇用環境は相変わらずの盤石ぶりをみせており、特に有効求人倍率はバブル期のピークを超えて更に上昇を続けている(図表8)。ただし、収入環境については、現金給与総額と超過給与はマイナスに落ち込んでおり、改善の動きは一旦、足踏み状態となっている(図表9)。消費マインドは景気ウォッチャーと消費者態度指数ともにわずかながら悪化しており、改善への足取りは相変わらずもたついたままだ(図表10)。

 各種経済指標のうち、経済全般の状況に着目すると、輸出は、個別の業種分野の違いによらず、改善の動きを続けている(図表16図表17)。生産は改善傾向を保っており、特に直近の2017年6月時点では、外需関連業種と内需関連業種の双方で改善の側が優勢となっている(図表18図表19図表20)。マーケットの動向をみると、為替は2017年7月に入り円高方向に振れ、株価は20,000円辺りを天井に概ね横ばい傾向にあり、長期金利も7月半ば頃以降ほぼ横ばいで推移している。株価と長期金利に関しては足許で、相場の方向感は定まっていないようだ(図表21図表22)。

 内外需の両面で景気回復の動きがみられる中で、盤石な雇用環境を支えに、消費も改善の裾野を広げつつ回復の動きが進展している。ただ、各種経済指標では消費の明るさを示す動きが徐々に目立ってきている中で、消費マインドは改善にもたついており、マーケットも相場の方向感が定まらないままであるのは、今後の消費にとって気がかりな材料である。政府は2017年6月の月例経済報告で、日銀は2017年7月の金融政策決定会合で、景気判断の上方修正に踏み切っているが、消費マインドの動きやマーケットの動向をみる限り、マーケット関係者だけでなく一般消費者も、景気や消費の先行きには依然として懐疑的なようだ。こうしたマインドの復調が、消費の本格回復への鍵となりそうだ。


【図表を含めた完全版を読む】(有料会員向け)


参照コンテンツ


おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


新着記事

2025.06.16

提言論文 なぜそのブランドを選ぶのか - 性格で読み解くブランド選好の心理

2025.06.13

成長市場を探せ カカオショックのなか、過去最高を更新したチョコレート市場(2025年)

2025.06.12

25年5月の「景気の現状判断」は15ヶ月連続で50ポイント割れに

2025.06.11

25年4月の「家計収入」は前年から横ばいに、「可処分所得」は4ヶ月ぶりのプラス

2025.06.11

25年4月の「消費支出」は2ヶ月連続のプラスに

2025.06.10

25年4月の「現金給与総額」は40ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.06.09

企業活動分析 P&Gの24年6月期決算は、7期連続増収、2期連続増益も25年は逆風予想

2025.06.06

25年4月は「完全失業率」、「有効求人倍率」とも横ばいに

2025.06.05

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 異なる購買体験を提供するリアル書店とEC書店 衝動買いが満足度を最大20%アップ!

2025.06.04

25年5月の「乗用車販売台数」は5ヶ月連続のプラス

2025.06.03

25年4月の「新設住宅着工戸数」は3ヶ月ぶりのマイナスに

2025.06.03

消費からみた景気指標 25年3月は6項目が改善

週間アクセスランキング

1位 2025.06.02

寡占米市場の高い米価の行方 - 値下げ政策の賢愚

2位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

3位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

4位 2025.06.05

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 異なる購買体験を提供するリアル書店とEC書店 衝動買いが満足度を最大20%アップ!

5位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area