-政治的リスクの見極めと慎重な政策対応が先ずは大事
国政選挙での戦いぶりも含め、これまでの政局主導での強気の政治運営によって政治的勝利をもぎ取り、経済政策運営の主導権をも握ってきた連立与党・安倍政権にとっても、2016年米国大統領選でのドナルド・トランプの勝利は、予想外のアクシデントとなったようだ。トランプ政権の布陣や政策の重点が具体的に定まるのは、しばらく先のこととなるだろう。だが、選挙期間中にトランプ氏が放った数々の暴言や迷言が、どこまで政治的意図を持った本気の発言なのか、日本だけでなく世界中も疑心暗鬼の様相で、新大統領の一挙手一投足を冷静に見守っている。大国アメリカの姿勢が定まらない限り、世界各国の対応も定まりようがない。米大統領選でトランプ氏の優勢が伝えられると、世界各国のマーケットが軒並み株安に見舞われ、為替市場では一時円が急騰したことは、世界中のマーケット関係者の間で、トランプ氏自身が目下、最大の政治的リスクの源となっていることを示唆している。
2016年11月14日公表の四半期GDP速報(1次速報)によると、2016年7-9月期の実質GDP成長率は前期比+0.5%(年率換算で+2.2%)となり、3ヶ月連続でプラス成長となった。需要項目別に寄与度をみると、民間最終消費支出の寄与度は前期比+0.1%(年率換算で+0.2%)、民間企業設備投資の寄与度は前期比+0.0%(年率換算で+0.1%)、輸出の寄与度は前期比+2.0%(年率換算で+8.1%)となっており、需要の三本柱からは外需好調・内需不調の様相が際立つ。また、住宅投資の寄与度は、2016年4-6月期に+5.0%(年率換算で+21.7%)、7-9月期には+2.3%(年率換算で+9.6%)となり、輸出を上回る傑出した高さを示しているが、この結果は日銀による異次元緩和を引き金とした不動産バブルの片鱗を示すものといえよう。
内需の柱である民間最終消費支出と民間企業設備投資の低迷ぶりに対し、政府並びに日銀の景況判断には、今のところ変更はみられない。両者とも、海外景気の弱さに対する警戒姿勢は引き続き保ってはいるが、中長期的な景気の先行き見通しに関しては、前向きなスタンスを堅持している。トランプリスクも、景気の先行き不透明感を一時的に高めはするものの、時間の経過とともに払拭されていくものと目される。
参照コンテンツ
おすすめ新着記事

強い「チョコレート効果」、リピート意向高い機能訴求商品
2020年はコロナ禍の巣ごもり消費でチョコレートの需要が伸びた。今回の調査では、前回同様に「チョコレート効果」(明治)が複数項目で首位を獲得、強さを見せつけた。チョコレートの一大需要期であるバレンタイン商戦も、今年はステイホームやECへのシフトなどで大きく様変わりする可能性が高い。生活環境が大きく変化する中での競争の行方が注目される。

消費動向速報 平均消費性向上昇と消費復活の予兆
平均消費性向は、低下トレンドから上昇トレンドへ転換している。家計黒字の金額の前年同月差は、一貫してプラスを保ってきたが、足許でマイナスに転じている。家計黒字幅の減少の影響は、主に、預貯金の取り崩しという形で顕在化している。平均消費性向上昇への転換と預貯金取り崩しの動きからは、支出意欲の復活の兆しが垣間見える。

盤石「カップヌードル」、「きつね」と「どん兵衛」和風麺は激戦区
2019年度のカップめんの生産量は、ほぼ横ばいの39億7,021万食となった。今回の調査でも前回同様、「カップヌードル」が盤石の強さを見せつけた。2位以下では「赤いきつね/緑のたぬき」と「どん兵衛」が僅差でしのぎを削っている。コロナ禍の巣ごもり消費でカップめんの需要は伸びているが、拡大した市場で今後どのようなヒット商品が生まれるかに注目だ。



