「申酉騒ぐ」の相場格言に違わず、マーケットは2016年に入って当初より、大幅な株価の下落と急速な円高に見舞われており、円高・株安・低金利の流れ(ベア・トレンド)に歯止めがかかりそうな気配は未だ見られない。内外の景況不振といった経済動向に止まらず、中東や北朝鮮などを焦点にくすぶり続ける地政学リスクも、相場の乱高下に拍車をかける要因となっている。
2015年の大納会時にはかろうじて19,000円台をキープしていた株価も、2016年1月下旬頃には17,000円前後まで落ちてきている。黒田バズーカ第2弾が打ちだされた2014年10月31日の前日まで16,000円を割れていた株価は、時を経て、2015年8月上旬には20,800円台まで上がった。その後、株価は、「下降」「上昇」「下降」と各局面を通過して現在に至るが、2014年10月末から2015年8月上旬の間に生じた上昇幅(約5,150円)のうち、約75%分は、2015年8月上旬から2016年1月下旬の間に生じた下落幅(約3,850円)で吹き飛んだ。黒田バズーカ第2弾がもたらした資産効果も、その大半が今では剥げ落ちてしまっている。マーケット関係者の一部からは、黒田バズーカ第3弾を期待する声も出てはいるようだが、実施の可能性とそのタイミングについて、マーケット関係者の間でコンセンサスはまだ得られていないようだ。
政府と日銀ともに、景気の現状認識と先行き見通しに関し、大きなスタンスの変更は今のところ認められない。(日銀に関しては、2016年1月28日~1月29日に開かれる予定の金融政策決定会合の結果次第だが)政府に関しては、2016年1月20日に公表された月例経済報告を見る限り、「一部にマイナスの影響が見られはするが、緩やかな回復基調にある」との判断を、前月に引き続き概ね堅持している。
2015年12月から2016年1月にかけての、政府・月例経済報告のコメントの変化に着目すると、景気の基調判断と先行き判断はともに、前月に引き続き据え置きとなっている。景気のリスク要因に関しては、今月1月には「金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」との文言が新たに追加されており、世界的なマーケットの波乱が景気に及ぼす悪影響への警戒感が、強く打ち出されている。個別の項目をみると、生産は10ヶ月ぶりに判断が上方修正されてはいるが、文言の変更は「弱含んでいる」から「横ばいとなっている」に止まっている。その他の項目については、判断は据え置かれており、個人消費に関しても、前月に引き続き「総じてみれば底堅い動きとなっている」としている。消費の先行きに関しても、雇用・所得環境の改善が持続していることを支えに、個人消費は底堅い推移を続けていく、との見方を崩していない。
ただし、2017年4月からの消費税再増税の影響は、政府の月例経済報告では、今のところ、全く織り込まれてはいない。このところ、政府に比べ前向きな判断が目立ってきている日銀により、1月28日~1月29日に開催予定の金融政策決定会合の場で、2017年4月からの消費税再増税に対し、より踏み込んだ言及がなされるかが、ひとまずは注目される。
参照コンテンツ
おすすめ新着記事

消費者調査データ No.397 シャンプー(2023年12月版) 「パンテーン」と「ラックス」、僅差の競り合い
コロナ禍によるインバウンド需要喪失からゆっくり立ち直りつつあるシャンプー市場。調査結果は「パンテーン」が複数項目で首位を獲得したが、2位の「ラックス」との差はごくわずかで競り合いが続いている。国内メーカーでは、独立系の専業メーカーが独自のコンセプトで高いリピート意向を獲得している。

成長市場を探せ 「巣ごもり」後も割安感で堅調な家庭用冷凍食品(2023年)
2022年の家庭用冷凍食品の生産量は、前年比100.8%となる80万5,000トンで、8年連続拡大、過去最高を更新。22年からの食品全般の値上げのなかで、簡便化志向や節約志向から利用が継続されているとみられている。

消費者調査データ レトルトカレー(2023年11月版) 首位は咖喱屋カレー、リピートされる調理対応カレー
コロナ禍以降、家族の食卓への浸透が一層進んだレトルトカレー。調査結果では、咖喱屋カレーがトップを堅持する一方、再購入意向では調理対応カレーやコスパに優れるPBが上位に。家族食としての定着を裏付ける結果となった。



