9月に入って1週間余りが過ぎたが、全国的にみても、厳しい残暑には今のところ見舞われてはいないようだ。8月下旬から9月初頭にかけての株価の急落と乱高下により、マーケットは世間の天気以上に「底冷え」の様相となっている。G20財務相・中央銀行総裁会議の場では、会議に参加していた中国の首脳部自ら、中国経済の先行きに対して厳しい見方を表明するなど、マーケットにとっては逆風の状況が続いており、相場の頭が重いのは否めないところだ。
8月17日に内閣府より公表された「2015年4‐6月期四半期GDP速報」(1次速報値)によると、実質GDP成長率は前期比-0.4%となり、3四半期ぶりにマイナスに落ち込んだ。需要項目別にみると、2015年4‐6月期の実質成長率は前期比で、民間最終消費支出は-0.8%、民間設備投資は-0.1%、輸出は-4.4%となっており、需要の三本柱はいずれも実質マイナス成長となった。需要の三本柱全てで実質マイナスとなったのは、2012年7‐9月期以来のことである。2014年4‐6月期に消費税増税の影響により民間最終消費支出と民間設備投資で大幅なマイナス成長を被ったが、2014年7‐9月期から2015年1‐3月期にかけて需要の三本柱は実質ベースでマイナス入りを回避し、着実な回復をみせていた。2015年4‐6月期に需要の三本柱は再びマイナスに落ち込んだことで、これまでの回復の動きに一旦ブレーキがかかった格好だ。
政府と日銀ともに、景気の現状認識と先行き見通しのいずれでも、回復基調にあるとの判断を、前月に引き続き概ね堅持している。2015年7月から8月にかけての両者のコメントの変化を対比すると、日銀では、景気の基調判断は引き続き据え置きとなっている。個別の項目では、住宅投資で判断の上方修正が示されていることを除き、前月の判断を据え置いている。他方、政府による景気の基調判断は5ヶ月連続で据え置きとなっているが、新たに「このところ改善テンポにばらつきもみられるが」の文言が加えられており、若干弱含みの姿勢をにじませている格好だ。個別の項目をみると、住宅建設については3ヶ月ぶりに判断が上方修正された。他方、個人消費は11ヶ月ぶりに下方修正され、輸出は3ヶ月ぶりに、輸入は14ヶ月ぶりに、ともに判断は下方修正された。海外経済については2012年8月以来、36ヶ月ぶりに判断が下方修正されており、特にアジア新興国での景気の弱さと先行き懸念を強調するコメントが示されている。日銀に比べ政府の方が、景気の現状判断や個別項目についての判断で弱気なスタンスが目立っている点は、注目される。8月の月例経済報告が8月26日に公表されていることを踏まえると、8月20日から25日にかけての株価急落の影響がいくばくかは反映されているかもしれない。
消費税増税のダメージが徐々に払拭され、改善への足取りもようやく見え始めてきた。だが、8月下旬から9月初頭にかけての株価の急落と乱高下により、消費マインドが大きく揺らぐおそれがある。そうなった場合には、今後の消費に冷や水を浴びせる結果となり、消費回復への足取りを頓挫させるものとなりかねない。それだけに、マーケットの動きも含め、消費マインドの動向を今後はより一層注視していく必要がありそうだ。
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