半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2014.12)
月例消費レポート 2014年12月号
足許で消費の低迷は続く-一部指標でようやく見えてきた底打ちの兆しに期待
主任研究員 菅野 守



1.はじめに

 11月21日に衆議院が解散されたことで、今年も2年前と同様、選挙で暮れる年の瀬となった。ただメディアでは、事前の選挙予測として「自民党300議席超え」「自民党単独で3分の2をうかがう勢い」などと報じており、2年前と比べても今回の選挙に対する関心は明らかに乏しいとの声は、メディアだけでなく選挙に臨んでいる各党からも漏れ聞こえる。政権与党は既に選挙後を見越して、年明けの通常国会で提出予定の、最大3兆円規模の補正予算案や消費税再増税延期のための法案などの準備にも余念がない。

 11月17日に公表された2014年7~9月期GDP速報(1次速報)で、GDP成長率は前期比で実質マイナスになったことに加え、12月8日に公表された2次速報ではGDP成長率が下方修正されたことで、4月からの消費税増税後の景気の低迷ぶりが再確認されるとともに、景気や消費の先行きに対する悲観論も一部では強まりつつある。日本銀行は先立って、10月31日の金融政策決定会合にて異次元緩和第2弾の実施に踏み切っているが、その後11月18日と19日の両日に開催された次の金融政策決定会合でも、引き続き緩和のスタンスを堅持している。景気の基調判断も10月時点から据え置きとしてはいるが、個別項目での判断の変化を見比べると、改善が示唆される項目と悪化が示唆されるものとが混在しており、景気の先行きに対する判断に若干揺らぎが垣間見える。政府は、11月25日に公表された2014年11月の「月例経済報告」の中で、景気の現状について個人消費の弱さを明記するなど、下方修正含みの判断が示されている。更に、景気の先行きに対するリスク要因に関する文言として、「駆け込み需要の反動の長期化」が外され、新たに「消費者マインドの低下」が盛り込まれている。政策対応に向けた政府の関心は、消費増税による個人消費への下押し圧力と、それに伴う景気への悪影響の方に移りつつあるようだ。安倍政権がいち早く消費税再増税延期を表明し、その是非を賭けて解散総選挙に打って出たことも、消費の先行きに対する並々ならぬ警戒感を示唆するものといえよう。

 消費税の再増税が2017年4月まで延期されたことで、消費を取り巻く悪材料のひとつが一旦、短期的には取り除かれた格好となっている。夏場を境にスランプに陥っている消費や消費マインドにいつ頃底入れのタイミングが訪れ、復調へのきっかけをいかに早くつかめるかが、総選挙後の景気や消費の先行きを巡る次の関心事となろう。


 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧には会員サービスご登録が必要です。

メンバーシップサービス会員のご案内についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。

 

本論文に関連する統計データ

お知らせ

2024.03.25

当社合田執筆の「猛スピードのクルマはいらない」 これからの高齢化社会に必要な“まちづくり”とは何か? そのヒントは欧米になかった!」がメルクマールに掲載されました。

2024.04.22

JMR生活総合研究所 ゴールデンウイーク期間中の営業のお知らせ

新着記事

2024.04.24

24年3月の「チェーンストア売上高」は既存店で13ヶ月連続のプラス、食料品がけん引

2024.04.24

24年3月の「コンビニエンスストア売上高」は4ヶ月連続のプラスに

2024.04.23

24年2月の「旅行業者取扱高」は19年比で78%に

2024.04.23

24年2月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のマイナス

2024.04.22

企業活動分析 カルビーの23年3月期は需要堅調もコスト高吸収できず減益に

2024.04.22

企業活動分析 亀田製菓の23年3月期は国内外好調で増収もコスト増で減益着地

2024.04.22

企業活動分析 大正製薬の23年3月期はOTCなど好調で増収増益

2024.04.19

企業活動分析 森永製菓の23年3月期は、「inゼリー」等好調で2年連続最高益更新

2024.04.18

24年2月の「商業動態統計調査」は36ヶ月連続のプラスに

2024.04.17

24年3月の「景気の現状判断」は14ヶ月ぶりに50ポイント割れに

週間アクセスランキング

1位 2024.04.12

成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2022.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2022年5月版) 「レッドブル」「モンスター」認知率拡大、上位の牙城揺るがず

4位 2019.09.10

戦略ケース プラットフォームビジネスで急拡大するウーバーイーツ

5位 2021.05.25

MNEXT 眼のつけどころ プロ・マーケティングの組み立て方 都心高級ホテル競争 「アマン」VS.「リッツ」(1)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area