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(2012.03)
月例消費レポート 2012年3月号
消費INDEX5年ぶり高水準も一進一退。それでも日本経済の春遠し
菅野 守

1.はじめに
 新年度入りを前に、例年よりも動きの遅い桜前線同様、日本経済の春の訪れももう少し先の話のようだ。
 2012年3月21日に内閣府より公表された「月例経済報告(平成24年3月)」によると、景気の現状について、2012年3月は前月と同様、「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。」とし、5ヶ月連続で基調判断は据え置いた。先行きについては、2012年2月の「各種の政策効果などを背景に、景気の緩やかな持ち直し傾向が続くことが期待される。」から、2012年3月には一部文言が修正変更され、「各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が確かなものとなることが期待される。」とし、判断の上方修正を強くにじませる内容となっている。景気の下押しリスクをもたらす要因については、2012年2月の「欧州の政府債務危機が、金融システムに対する懸念につながっていることや金融資本市場に影響を及ぼしていること等により、海外景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらには、デフレの影響、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。」から、2012年3月には「欧州政府債務危機の影響や原油価格の上昇、これらを背景とした海外景気の下振れ等によって、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらには、デフレの影響、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。」へと文言が修正されており、欧州の政府債務危機に伴う「金融システムに対する懸念」や「金融資本市場に影響を及ぼしていること等」いった記述は削除された一方で、「原油価格の上昇」が今後のリスク要因として新たに盛り込まれている。
 個別項目を見ると、個人消費は、2012年1月の「おおむね横ばいとなっている。」から2012年2月に「このところ底堅い動きとなっている。」へと上方修正され、2012年3月には更に「底堅く推移している。」へと2ヶ月連続で上方修正されているが、復活したエコカー補助金などの政策効果で自動車販売が好調に推移しているなど、耐久財・サービスで改善の動きがみられることを受けてのものだ。設備投資は、2011年10~12月期の法人企業統計調査にて3期ぶりに増加に転じたことなどを受けて、2012年2月の「下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。」から、2012年3月には「このところ持ち直しの動きがみられる。」へと、8ヶ月ぶりに上方修正された。公共投資は、ようやく本格化した東日本大震災からの復興需要を背景に、2012年1月の「平成23年度補正予算の効果もあり、このところ底堅い動きとなっている。」から、2012年2月には「平成23年度補正予算の効果もあり、底堅い動きとなっている。」へと上昇修正され、2012年3月には更に「堅調に推移している。」へと、2ヶ月連続で上方修正されている。他方、倒産件数については増加の兆しを受けて、2012年2月の「緩やかに減少している。」から、2012年3月には「おおむね横ばいとなっている。」へと、判断を9か月ぶりに下方修正している。
 海外経済の現状については、2012年3月は前月と同様、「世界の景気は、全体として弱い回復となっている。」とし、判断は据え置いている。先行きについても、2012年3月は前月と同様、「弱い回復が続くと見込まれる。」とし、判断を据え置いている。海外経済の先行きに対するリスク要因については、2012年2月の「ヨーロッパ地域の一部の国々における財政の先行き不安の高まりが、金融システムに対する懸念につながっていることや金融資本市場に影響を及ぼしていること等により、景気が下振れするリスクがある。」から、2012年3月には「ヨーロッパ地域の一部の国々における財政の先行き不安を通じた金融面への影響等により、景気が下振れするリスクがある。また、このところの原油価格の上昇に留意する必要がある。」へと文言が修正されており、欧州の財政危機の余波に対する記述は若干トーンダウンする一方で、新たに原油価格上昇の悪影響が盛り込まれている。
 地域別にみると、アメリカに関して、2012年3月は前月同様、「景気は緩やかに回復している。先行きについては、緩やかな回復が続くと見込まれる。」とし、判断を据え置いている。景気の下押しリスクをもたらす要因についても、2012年3月は前月同様、「ただし、高い失業率の継続や住宅価格の下落等により、景気が下振れするリスクがある。また、財政緊縮の影響に留意する必要がある。」とし、前月の判断を踏襲している。中国に関しては、2012年3月は前月同様、「景気は内需を中心に拡大しているが、拡大テンポがやや緩やかになっている。先行きについては、拡大傾向が続くと見込まれる。」とし、判断は据え置きとなっている。景気の下押しリスクをもたらす要因についても、2012年2月の「ただし、不動産価格や物価の動向に加え、金融資本市場や輸出の動向に留意する必要がある。」から、2012年3月には金融資本市場の動向についての言及が削除され、「ただし、不動産価格、物価や輸出の動向に留意する必要がある。」としている。インドに関しては、2012年3月は前月同様、「景気の拡大テンポは鈍化している。先行きについては、拡大テンポの鈍化が続くと見込まれる。」とし、判断は据え置きとなっている。景気の下押しリスクをもたらす要因について、2012年2月の「また、物価上昇によるリスクに加え、金融資本市場の動向に留意する必要がある。」から、2012年3月には金融資本市場の動向についての言及が削除され、「また、物価上昇によるリスクに留意する必要がある。」としている。その他アジア地域に関しては、2012年3月は前月同様、「景気はこのところ足踏み状態となっている。先行きについては、当面、足踏み状態が続くと見込まれる。」とし、判断は据え置きとなっている。景気の下押しリスクをもたらす要因について、2012年2月の「また、輸出や金融資本市場の動向に留意する必要がある。」から、2012年3月には金融資本市場の動向についての言及が削除され、「また、輸出の動向に留意する必要がある。」としている。ヨーロッパ地域に関しては、現状について、2012年3月は前月同様、「景気は足踏み状態にあり、一部に弱い動きもみられる。」とし、判断を据え置いている。先行きについても、2012年3月は前月同様、「当面、弱めの動きになるものと見込まれる。」とし、判断は据え置きとした。景気の下押しリスクをもたらす要因については、2012年2月の「また、一部の国々における財政の先行き不安の高まりが、金融システムに対する懸念につながっていることや金融資本市場に影響を及ぼしていることにより、景気が低迷するリスクがある。さらに、各国の財政緊縮による影響や、高い失業率が継続すること等に留意する必要がある。」から、2012年3月には「また、第二次ギリシャ支援の進展がみられるものの、一部の国々における財政の先行き不安を背景とした金融面への影響により、景気が低迷するリスクがある。さらに、各国の財政緊縮による影響や、高い失業率が継続すること等に留意する必要がある。」としており、第二次ギリシャ支援の進展など欧州の財政危機問題が好転することへの期待感から、金融資本市場への影響に対する言及は比較的穏やかな方向に修正されている。
 2012年3月の報告内容を見ると、政府は、東日本大震災からの復興需要が盛り上がり始めたことやエコカー補助金等の政策効果により個人消費が底堅く推移していることなど、内需での上向きの動きや生産の持ち直しの動きを好感しつつも、世界経済の成長鈍化に伴う輸出の停滞状況を踏まえ、先行きに対しては明るい見通しを展望しつつも現状判断はひとまず据え置きとしたことが、会議終了後の記者会見の場で古川元久・経済財政兼国家戦略担当相より言及がなされている。更に、古川経財相からは、金融資本市場や海外経済状況などの改善が進展すれば日本の景気の持ち直し傾向がより明確になっていくであろう、との先行きへの期待感も表明されている。だが他方で、最近の原油高の傾向に関しては、イランなど中東情勢の不透明感の高まりに加え商品市況の強含みの余波によるものとの見方を示したうえで、原油高が日本の家計所得低下やマインド悪化、企業収益悪化などにつながる可能性とともに、改善傾向あるに米国景気に冷や水を浴びせる恐れへの懸念も表明するなど、今後の原油価格動向に対する強い警戒感をも示した格好だ。

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