半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

(2011.07)
月例消費レポート 2011年7月号
販売現場と消費マインド改善も、足を引っ張る民主党政権
菅野 守

1.はじめに
 東日本大震災から4ヶ月半余りを経て、日本経済は回復への足取りを進めている。ただ、日本経済が完全復活を果たすまでの道筋は、まだはっきりとは見えていない。
 2011年7月13日に内閣府より公表された「月例経済報告(平成23年7月)」によると、景気の現状については、前月と同様、7月も「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、このところ上向きの動きがみられる。」とし、基調判断は維持されている。先行きについても、前月と同様、7月も「サプライチェーンの立て直しが進み、生産活動が回復していくのに伴い、海外経済の緩やかな回復や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待される。」とし、判断は据え置いている。景気の下押しリスクをもたらす要因についても、前月と同様、7月も「電力供給の制約や原子力災害及び原油高の影響に加え、海外経済の回復がさらに緩やかになること等により、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。」としている。
 個別項目を見ると、個人消費は、家電販売が好調に推移していることや、百貨店売上高や自動車販売などにも持ち直しの動きがみられることなどを受けて、前月の「引き続き弱さがみられるものの、下げ止まりつつある。」から、7月は「下げ止まっている。」へと、2ヶ月連続で判断が上方修正されている。設備投資は、資本財の出荷指数が震災前の水準に戻ってきたことを受けて、前月の「弱い動きが見られる」から、7月は「下げ止まりつつある」へと、10ヶ月ぶりに判断は上方修正されている。輸出については判断を据え置きとしたものの、前月の「減少していたが、上向きの動きがみられる。」から、7月は「上向きの動きがみられる。」へと文言が修正されており、改善の動きが続いていることを強くにじませた格好だ。業況判断は、前月の「慎重さがみられる。」から、7月は「東日本大震災の影響による厳しさが残るなど、慎重さがみられる。」とし、大震災が企業マインドに与えるマイナスのインパクトを重視する形へと文言が修正されている。
 海外経済の現状については前月と同様、7月も「世界経済は、全体として回復が緩やかになっている。」とし、判断を据え置いている。先行きについても、前月同様、6月も「緩やかな回復が続くと見込まれる。」とし、判断は据え置きとした。海外経済の先行きに対するリスク要因についても、前月と同様、7月も「ただし、欧米及びアジアの景気が下振れするリスクがある。」としている。地域別にみると、アメリカ、ヨーロッパ地域、中国、インド、その他アジアのいずれも、現状と先行きともに判断は据え置きとなっている。
 7月の報告内容を見る限り、政府としては、今月は前月の判断をほぼ踏襲している。輸出や生産の回復の持続への期待感をにじませてはいるが、与謝野馨・経済財政担当相をはじめとして、海外経済の波乱に対する警戒姿勢は崩していない。7月報告が提出された7月13日以降も加速する円高は、景気の足を引っ張る大ブレーキとなりかねず、政府にとっては頭の痛いところだ。

 本コンテンツの全文は、メンバーシップサービスでのご提供となっております。
 以降の閲覧にはメンバーシップサービス会員(有料)ご登録が必要です。

メンバーシップサービス会員のご案内についてはこちらをご覧ください。
メンバーシップサービス会員の方は、下記をクリックして全文をご利用ください。
 

本論文に関連する統計データ

新着記事

2024.09.12

24年7月の「消費支出」は3ヶ月連続のマイナスに

2024.09.12

24年7月の「家計収入」は3ヶ月連続のプラス

2024.09.11

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 「紅麹サプリ問題」認知率は86%! 消費者の健康食品選びに変化

2024.09.11

24年6月の「現金給与総額」は30ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2024.09.10

24年7月は「完全失業率」は悪化、「有効求人倍率」は改善

2024.09.09

企業活動分析 ヤクルト本社の24年3月期は国内好調維持するもアジアの不振で増収減益に

2024.09.09

日本マクドナルドHD23年12月期は全店売上高、利益が過去最高を更新し増収増益へ

2024.09.06

企業活動分析 エスティローダーの23年6月期は、トラベルリテールの不調やドル高、インフレなどが響き減収減益に

2024.09.06

消費者調査データ 茶飲料(2024年9月版) 抜群の強さ「お~いお茶」、大手3ブランドが熾烈な2位争い

2024.09.05

24年8月の「乗用車販売台数」はふたたびマイナスに

2024.09.04

企業活動分析 ロイヤルホールディングス株式会社 23年12月期は人流増加で需要回復、増収増益に

2024.09.03

24年7月の「新設住宅着工戸数」は3ヶ月連続のマイナス

2024.09.02

企業活動分析 株式会社サイゼリヤ 23年8月期はアジア新規出店がけん引し増収増益

2024.08.30

月例消費レポート 2024年8月号 消費は緩やかながらも改善の動きが続いている-内需主導での景気回復への期待感

2024.08.30

消費からみた景気指標 24年6月は6項目が改善

2024.08.30

24年7月の「ファーストフード売上高」は41ヶ月連続のプラスに

2024.08.30

24年7月の「ファミリーレストラン売上高」は29ヶ月連続プラス

2024.08.29

24年6月の「旅行業者取扱高」は19年比で73%に

2024.08.29

24年6月の「広告売上高」は、2ヶ月連続のプラス

2024.08.29

24年7月の「全国百貨店売上高」は29ヶ月連続のプラス、猛暑で盛夏商材が好調

2024.08.29

24年7月の「チェーンストア売上高」は既存店で17ヶ月ぶりのマイナス

週間アクセスランキング

1位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

2位 2023.10.06

消費者調査データ No.393ミネラルウォーター(2023年10月版)全項目首位 一歩抜ける「サントリー天然水」、追う「い・ろ・は・す」

3位 2024.08.30

月例消費レポート 2024年8月号 消費は緩やかながらも改善の動きが続いている-内需主導での景気回復への期待感

4位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area