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公開日:2021年01月18日

特集:コロナ禍の消費を読む
消費動向速報 平均消費性向上昇と消費復活の予兆
主任研究員 菅野守


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 コロナ禍で、消費動向が変化しています。その変化をいち早く把握し、ビジネスに役立てるために、官公庁などが発表する統計データから気になる動向をご紹介します。


平均消費性向は、低下トレンドから上昇トレンドへ転換している。
家計黒字の金額の前年同月差は、一貫してプラスを保ってきたが、足許でマイナスに転じている。
家計黒字幅の減少の影響は、主に、預貯金の取り崩しという形で顕在化している。
平均消費性向上昇への転換と預貯金取り崩しの動きからは、支出意欲の復活の兆しが垣間見える。

1.平均消費性向は上昇トレンドへ転換

 平均消費性向は、長い間低下トレンドにあったが、足許で上昇トレンドへ転換している。

 総務省公表の「家計調査」によると、二人以上世帯の勤労者世帯における平均消費性向は、2020年10月以降、2ヶ月連続で前年同月を上回っており、上昇幅も拡大している。2019年10月から2020年9月にかけては、12ヶ月連続で低下していた。

 平均消費性向の近似曲線は、2020年5月あたりを境に、低下傾向から上昇傾向に転じている(図表1)。


図表1.平均消費性向の推移

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2.家計黒字幅も減少に転じる

 家計黒字は、コロナ下で前年同月の水準を上回る勢いで積み上がり続けてきたが、足許でようやく減少に転じている。

 直近の2020年11月の前年同月差は、2019年9月以来14ヶ月ぶりにマイナスに転じている(図表2)。これまで家計黒字の金額の前年同月差は、2019年12月から2020年10月にかけて、一貫してプラスを保ってきた。プラス幅は、2020年6月をピークに低下を続けてきた。


図表2.黒字の変化

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3.預貯金では取り崩しの動き

 家計黒字額の構成要素の変化をみると、2020年11月時点では預貯金の純減を意味する「預貯金純増」で、前年同月差のマイナス幅が最も大きい。「預貯金純増」のマイナス幅は唯一、家計黒字の同月差のマイナス幅を上回っている。

 最近3ヶ月間の推移をみると、「預貯金純増」の前年同月差は、2020年9月と10月にはプラスを保っていたが、2020年11月には一転、大幅なマイナスに転じている。家計黒字幅の減少の影響は、主に預貯金の取り崩しという形で顕在化している(図表3)。


図表3.最近3ヶ月における黒字の各構成要素の変化

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 平均消費性向の上昇トレンドへの転換と、預貯金取り崩しの動きからは、消費者の支出意欲の復活の兆しが垣間見える。



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