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(2004.07)
2004年上半期、印象に残ったもの
-「新三種の神器」「北朝鮮」「世界の中心で、愛をさけぶ」、そして...「冬ソナ」!
 詳細データ(単純集計表・クロス集計表)(LZH形式・有料会員サービス)
 2004年も半年が過ぎました。景気回復にまつわるニュースが流れる一方、難しい国際情勢や凄惨な少年事件など、日本の行く末が案じられるような事件も多く報道されました。
 そんなこの半年で人々にインパクトを残したものを「トピックス」「有名人」「歌」「商品」について、インターネットモニターを対象に実施したインターネット調査における自由記述の回答を集計し、ランキング形式でお届けします。


印象に残ったトピックス

 印象に残ったイベントや事件では、全体でのベスト3は、
  • 北朝鮮日本人拉致問題  30.5%
  • 長崎小学生殺人事件   21.0%
  • イラク問題       15.3%
となっている。
 前回のランキング情報「2003年印象に残ったトピックス」では6位だった「北朝鮮日本人拉致問題」は、調査の直前に曽我ひとみさん家族がインドネシアで感動の再会を果たしたこともあって、トップとなった。一方、前回トップの「イラク問題」は、戦争終結から1年以上が経過したこともあって、トピックスとしてのインパクトは落ちてきていると思われる。
 性別、年代別に特徴をみると、1位の「北朝鮮日本人拉致問題」は、男女とも年代の上昇とともに高くなる傾向がみられ、60代では約4割が「最も印象に残ったトピックス」として挙げている。また、2位の「長崎小学生殺人事件」は、女性での関心が強く、特に子育てが多い30代、40代女性では、トップの北朝鮮日本人拉致問題を抜いて、「最も印象に残ったトピックス」として挙げられている。
 また、ベスト3からは外れたものの、深夜枠ながら17.6%という高視聴率(6月19日放送分・関東/NHK)を記録した「冬のソナタ(以下、冬ソナ)」は女性40代で、ライブドアによる買収問題や選手会による1年延期提案なども絡んでまだまだ先行きの不透明な「プロ野球球団合併問題」は30代男性で、それぞれ高くなっている。
 ベスト10までを概観すると、明るい話題は2大会ぶりにオリンピック出場権を獲得した「女子バレーボール」関連のみで、「北朝鮮日本人拉致問題」も「イラク問題」も根本的な解決策が見いだされないままである。「長崎小学生殺人事件」は次の世代、「三菱自動車事件」は日本の製造業に対する不安感をかきたてる事件である。不透明感を増幅させる事件が印象に残った2004年上半期といえるだろう。

印象に残った有名人

 今回、このランキングでは、前回、前々回(ランキング情報「2003年上半期、印象に残ったもの」)から、顔ぶれも傾向も大きく変化した。前回、前々回では、印象に残った有名人ベスト3のうち、2人をスポーツ関係者が占めたが、今回は、
  1. 「小泉首相」          18.9%
  2. 「ヨン様(ペ・ヨンジュン)」  18.2%
  3. 「曽我ひとみさん」       15.0%
という結果で、スポーツ関係者はベスト3から姿を消した。トップとなったのは、前々回10位、前回2位の「小泉首相」である。参院選の自民党議席減など、ひところの支持率は退潮傾向にあるものの、自衛隊の多国籍軍への参加、「人生いろいろ」発言をはじめとしてニュースにのぼり、いい意味でも悪い意味でも注目度はまだまだ高いといえる。
 2位にランクされたのは、「最も印象に残ったトピックス」で7位に挙げられた冬ソナの主演男優「ヨン様」こと「ペ・ヨンジュン」である。特に女性では、2位の「小泉首相」に倍以上の差をつけて堂々のトップとなった。
 3位は、現在の北朝鮮日本人拉致問題の象徴的存在ともいえる「曽我ひとみさん」である。5位には、「小泉首相」と同じく、3回連続ベスト10入りとなった「松井秀喜選手」が挙げられた。
 また、前回、前々回では、ベスト10内に「はなわ」、「ダンディ坂野」、「テツandトモ」といったお笑いタレントが名を連ねたが、今回は0であった。「北朝鮮日本人拉致問題の曽我ひとみさん」「冬ソナのヨン様」「イラク・年金問題の小泉首相」「死去したいかりや長介」など、トピックスと深く関わる人物が挙げられている。2004年上半期は、それだけ印象に残るできごとが多かったともいえるだろう。

印象に残った歌

 印象に残った歌では、
  1. 「瞳を閉じて」        17.3%
  2. 「さくら(独唱)」      14.3%
  3. 「ジュピター」        12.8%
がベスト3にランクインした。
 今回のベスト10をみてみると、「さくら」や「涙そうそう」「世界にひとつだけの花」など前回から引き続きランクインした曲や映画やドラマのタイアップの曲が目立つ。
 トップの「瞳を閉じて」はベストセラー小説『世界の中心で、愛をさけぶ』の映画の主題歌で、他にも5位の「冬のソナタの主題歌」、7位「サイン」(TBS系ドラマ『オレンジデイズ』)、8位「さくらんぼ』(TBS系『UNDER COUNTDOWN TV」/フジテレビ系『めちゃ2イケてるっ!』) 、9位「生きとし生ける物へ」(フジテレビ系ドラマ『愛し君へ』)と、ベスト10の半数を占めた。
 性別、年代別では、「瞳を閉じて」は男性20代で「最も印象に残る」とした人が多く、2位の「さくら」は、男女とも50代でトップとなっている。また、4位の「涙そうそう」は50代以上で高くなった。

話題になった商品

 7月13日の月例経済報告で、内閣府は景気の現状について「企業部門の改善が家計部門に広がり、堅調に回復」とバブル崩壊後ではもっとも強い表現を盛り込んだ。その「家計部門の回復」が、2004年上半期の話題の商品にもあらわれている。消費の火付け役を期待されている「新三種の神器」(「DVDレコーダー」「薄型テレビ」「デジタルカメラ」)が全てベスト10にランクインし、
  1. 薄型テレビ      22.4%
  2. DVDレコーダー   13.9%
トップ2を占めた。性別、年代別にみると、薄型テレビは性別では男性、年代では上の年代が高く、男性50代以上では4割以上である。DVDレコーダーは、同じく男性で高いが、年代では40代以下が高い。
 さらに、新三種の神器の3点目「デジタルカメラ」が9位にランクイン、「携帯電話FOMA以外)」が3位、FOMAが10位と、情報家電系の商品がベスト10の半分を占めた。
 また、冬ソナが4位にランクイン。特に女性の30代、40代ではトップとなり、ここでも「女性は冬ソナ」の図式がみられる。

 以上、今回のランキングを総括してみると、四つのランキングの全てに関連ワードがランクインしたのが「冬ソナ」、人物を除く三つにランクインしたのが「世界の中心で、愛をさけぶ」である。ともにテーマは「純愛」である。
 不透明感を増す世相、取り残されそうになるほどめまぐるしく進化する情報環境のなか、ふと感じる欠落感を埋めてくれるものとしてヒットしたのが「純愛」という「商品」なのかもしれない。その背景には、中流社会から格差社会への移行の中で、安定した中流生活を維持し、ゆとりのある生活=「スローライフ」に憧れを持つ人々が増えているのではないかと推測される。
 2004年7月、景気の回復に伴い、先端的な情報技術はますます普及し、所得格差も拡大の傾向を強めている。トピックスに取り上げられた日本を取り巻く内外の問題の多くは、解決への道のりは遠く、欠落感や不安感を更に増大させる可能性さえはらんでいる。それを埋めるものが現在は「純愛」であり、次のヒット商品にもつながっていくかもしれない。下期は、近いところでアテネ五輪、そしてアメリカ大統領選挙など、世界的に注目を集める大きなイベントが予定されている。スポーツ界で新たなヒーローやヒロインの誕生、また世界をよい方向へ導く指導者の登場など、明るいトピックスが上位を占めることを期待するばかりである。
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【調査設計】
調査手法:インターネットリサーチ
調査期間:2004年7月9日~11日
調査対象者:当社インターネットモニター 20~69歳
        全国の男女個人
有効回収サンプル数:1,045サンプル
サンプル構成(%)
男女別年代比率(%)

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