半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2010年10月19日

営業現場の科学
第43回 同調傾向を利用する
営業戦略チーム

 商談は相手とのコミュニケーションであり、対話である。一方的に売り込むのでもなく、逆に相手の話を一方的に拝聴するのでもない。実際の商談は、話し手と聞き手の役割が交替しながら、進んでいくものである。こうした対話という行動では、話し手、聞き手との間でのコミュニケーション行動が次第に連動していき、話し方やしぐさなどのパターンが類似化する、同調傾向(シンクロニー傾向、姿勢反響)という現象が起こることが知られている。打ち解けた親しい相手とは、動作や姿勢などが意識しなくても似てくるのである。

 同調傾向は、対話など相互作用を通じた対人関係を発展させるために、人間に備わっているものといわれている。スムーズに相手との対話を進行させ、関係を築いていくためには、相手に注意しながら、その相手に対し共感を示すことは、重要なシグナルになる。自分の発言に応じて、相手が的確に反応してくれることは、自分への関心の現れであると判断され、心理的な満足が得られるのである。相手と話し方など動作が似てきたら、お互いの心理的な距離が縮まってきたことの証であると捉えることができる。

 こうした同調傾向を利用すると、商談相手との親和性を作り出すことができる。相手があなたが同調してくれていると感じるように反応してあげることだ。具体的には、相手の話した言葉を使って話を繰り返してあげる、相手のうなずくタイミングと同じようなタイミングでうなずく(間を同じにする)、話の腰を折らないようにし、相槌をうまく打って、対話が発展するように持って行く、などが相手に同調していることを示す上で鍵を握る動作になる。ちょうど、話す相手の鏡のような存在になるという感じである。

 あなたが提案したい話題を一方的に伝えるのではなく、相手との対話の中で同調していることを意図的に示し、心理的な距離を縮めた上で核心に切り込む。商談場面で意識してみてはどうだろう。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2025.01.17

消費者調査データ No.419 キャッシュレス決済(2025年1月版) 利用経験ついに5割超え 「PayPay」独走態勢なるか

2025.01.16

24年11月の「現金給与総額」は35ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.01.16

24年11月は「有効求人倍率」、「完全失業率」とも横ばい

2025.01.15

月例消費レポート 2024年12月号 消費は足踏み状態が続いている-国内外からの物価上昇圧力は消費にマイナスの恐れ

2025.01.14

企業活動分析 マンダムの24年3月期は2期連続の増収増益、女性事業が好調

2025.01.10

24年11月の「新設住宅着工戸数」は7ヶ月連続のマイナス

2025.01.09

24年12月の「乗用車販売台数」は2ヶ月連続のマイナス

2025.01.08

企業活動分析 富士フイルムHDの24年3月期は増収増益、過去最高を更新

2024.12.27

24年11月の「ファーストフード売上高」は45ヶ月連続のプラスに

2024.12.27

24年11月の「ファミリーレストラン売上高」は33ヶ月連続プラス

2024.12.27

消費からみた景気指標 24年10月は4項目が改善

2024.12.26

提言論文 消費者が示すサービスブランドの価値実現率-価値伝達なしの生存はない

2024.12.25

24年11月の「全国百貨店売上高」はふたたびプラスに インバウンドや冬物衣料が好調

2024.12.25

24年11月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月ぶりのプラスに

2024.12.24

24年11月の「コンビニエンスストア売上高」は12ヶ月連続のプラスに

2024.12.23

MNEXT 価値と欲望の充当関係とは何か-市民社会の基本原理

2024.12.23

企業活動分析 BYDの23年12月期はEV・PHV好調で大幅な増収増益を達成

2024.12.20

消費者調査データ No.418 サブスクリプションサービス 広く利用される「プライムビデオ」、音楽サブスクには固定ファンも

2024.12.19

24年10月の「商業動態統計調査」は7ヶ月連続のプラス

週間アクセスランキング

1位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

2位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

3位 2024.06.21

消費者調査データ ビール系飲料(2024年6月版) 首位「スーパードライ」、キリンの新ビール「晴れ風」にも注目

4位 2023.07.03

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 約3割が利用する「免疫力」商品 20~30代に広がる美容・健康飲料の可能性

5位 2024.02.02

成長市場を探せ コロナ禍乗り越え再び拡大するチョコレート市場(2024年)

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area