企業を対象にした営業活動の場合、消費財でも生産財でも得意先は複数メーカーから併売していることが多く、競合とのバッティングが生じる。ごく単純な次の数式で、このバッティング率を捉えてみよう。
- バッティング率=バッティングが確認できる担当得意先数÷担当得意先数×100
例えばこれを、営業所全体で担当しているエリア毎に算出することにより、以下の指標で戦況を掴むことができる。
- バッティング率5%未満 :無風エリア(自社が優勢な拠点エリア)
- 〃 5~10%未満:価格競争要注意エリア
- 〃 10~25%未満:価格競争エリア
- 〃 25%以上 :業績・収益不安定エリア(自社の課題エリア)
自社優勢な無風エリアを数多く作ることが営業所全体の予算達成へと繋がる。現在のエリア担当者の設定は、こうした戦況を勘案したものになっているだろうか。ベテランやエース級の営業パーソンが無風エリアを、営業経験の浅い者が価格競争エリアを担当するといった逆転した配置になっていないか、営業配置の適正さに関するチェックをバッティング率の視点から行うことも大切である。
さて、価格競争を回避できる自社の無風エリアを創造していくには、新製品の活用がひとつの鍵を握る。自社の既存製品や競合の製品との差別化を旨に投入される新製品は、提案営業を通じ、価格競争を避けながら採用される可能性が高い。単純に既存製品との差別化ポイントを案内するのではなく、価格と品質のバランスの良さ、広告宣伝を通じた最終消費者への認知度アップの支援施策の準備があること、売場づくりの提案などを通じ、得意先の取り扱いメリットをいかにアピールできるかが肝要である。特に、価格競争要注意エリアでの実践から着手する必要がある。高付加価値の新製品でいち早く無風エリアに転換すべきだ。
また、営業教育という視点からは、価格競争要注意エリアを無風エリアへ転換するために、新製品をどのように活用して提案すればよいかを組織的に学ぶ機会とすることが考えられる。例えば、ベテラン営業パーソンが経験の浅い営業パーソンを同行させ、実践指導するなどである。こうした経験を持つ営業パーソンを多く作り出すことがテリトリーでの競争を有利にする。
おすすめ新着記事
成長市場を探せ コロナ特需の反動乗り越え成長するパスタソース(2024年)
コロナ特需から3年連続で縮小するレトルト市場にあって、パスタソースは2年連続の成長となった。「あえる・かける」だけで一品となるレトルトパスタソースの簡便性は、時短ニーズにマッチするものとして成長が期待されている。
消費者調査データ 紅茶飲料(2024年10月版) 首位「午後の紅茶」、「紅茶花伝」に水をあける
2023年、数量金額ともにプラスとなった紅茶飲料。調査結果を見ると、キリンの「午後の紅茶」が再購入意向以外の5項目で首位を獲得した。認知率は9割、購入経験も5割を超え、再購入意向では2位以下に10ポイント余の差をつけ、リーディングブランドらしい強さをみせた。
消費者調査データ ミネラルウォーター(2024年9月版) 全項目首位「サントリー 天然水」、リピート意向の高いPB
2023年、2年連続で2桁増を達成したミネラルウォーターについての調査結果をみると、全項目で5ポイント以上の差をつけて「サントリー天然水」が首位に。2位は「い・ろ・は・す天然水」。再購入意向ではベスト10内に5ブランドのPBという結果となった。