半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

公開日:2005年06月24日

営業現場の科学
第32回 バッティング率に注意
営業戦略チーム

 企業を対象にした営業活動の場合、消費財でも生産財でも得意先は複数メーカーから併売していることが多く、競合とのバッティングが生じる。ごく単純な次の数式で、このバッティング率を捉えてみよう。

  • バッティング率=バッティングが確認できる担当得意先数÷担当得意先数×100

 例えばこれを、営業所全体で担当しているエリア毎に算出することにより、以下の指標で戦況を掴むことができる。

  • バッティング率5%未満  :無風エリア(自社が優勢な拠点エリア)
  •    〃   5~10%未満:価格競争要注意エリア
  •    〃   10~25%未満:価格競争エリア
  •    〃   25%以上  :業績・収益不安定エリア(自社の課題エリア)

 自社優勢な無風エリアを数多く作ることが営業所全体の予算達成へと繋がる。現在のエリア担当者の設定は、こうした戦況を勘案したものになっているだろうか。ベテランやエース級の営業パーソンが無風エリアを、営業経験の浅い者が価格競争エリアを担当するといった逆転した配置になっていないか、営業配置の適正さに関するチェックをバッティング率の視点から行うことも大切である。

 さて、価格競争を回避できる自社の無風エリアを創造していくには、新製品の活用がひとつの鍵を握る。自社の既存製品や競合の製品との差別化を旨に投入される新製品は、提案営業を通じ、価格競争を避けながら採用される可能性が高い。単純に既存製品との差別化ポイントを案内するのではなく、価格と品質のバランスの良さ、広告宣伝を通じた最終消費者への認知度アップの支援施策の準備があること、売場づくりの提案などを通じ、得意先の取り扱いメリットをいかにアピールできるかが肝要である。特に、価格競争要注意エリアでの実践から着手する必要がある。高付加価値の新製品でいち早く無風エリアに転換すべきだ。

 また、営業教育という視点からは、価格競争要注意エリアを無風エリアへ転換するために、新製品をどのように活用して提案すればよいかを組織的に学ぶ機会とすることが考えられる。例えば、ベテラン営業パーソンが経験の浅い営業パーソンを同行させ、実践指導するなどである。こうした経験を持つ営業パーソンを多く作り出すことがテリトリーでの競争を有利にする。



おすすめ新着記事



J-marketingをもっと活用するために
無料で読める豊富なコンテンツ プレミアム会員サービス 戦略ケースの教科書Online


マーケティング用語集

新着記事

2025.10.31

成長市場を探せ 猛暑に伸びる、3年連続過去最高更新のミネラルウォーター(2025年)

2025.10.30

25年9月の「ファミリーレストラン売上高」は43ヶ月連続プラス

2025.10.30

25年9月の「ファーストフード売上高」は55ヶ月連続のプラスに

2025.10.29

25年9月の「全国百貨店売上高」は2ヶ月連続のプラス

2025.10.28

MNEXT サナエノミクスと消費の回復ー所信表明に読む自助的自由主義

2025.10.28

25年8月の「広告売上高」は、16ヶ月ぶりのマイナス

2025.10.27

企業活動分析 第一三共の25年3月期は、主力の医療用医薬品好調で増収増益に

2025.10.24

「高市政権」樹立によって経済成長と消費復活へ

2025.10.24

25年9月の「チェーンストア売上高」は既存店で7ヶ月連続のプラス

2025.10.23

25年9月の「コンビニエンスストア売上高」は7ヶ月連続のプラスに

2025.10.22

25年8月の「旅行業者取扱高」は前年比5ヶ月連続プラスに

週間アクセスランキング

1位 2025.11.13

「消費社会白書2026」発表会 ネクスト戦略ワークショップのご案内

2位 2025.10.01

消費社会白書2026 - 欲望の拡張と価値マーケティングの新時代

3位 2024.05.10

消費者調査データ エナジードリンク(2024年5月版)首位は「モンエナ」、2位争いは三つ巴、再購入意向上位にPBがランクイン

4位 2024.10.24

MNEXT 日本を揺るがす「雪崩現象」―「岩盤保守」の正体

5位 2025.10.24

「高市政権」樹立によって経済成長と消費復活へ

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area