売場に立つと様々なことが見えてくる。事件解決にあたる刑事は捜査が行き詰まると事件現場に戻るといわれるが、小売店を通じて自社商品を販売する消費財メーカーの営業マンにとって戻るべき場所は「売場」である。売場を通して見えてくるものを整理すると、つぎの五つが挙げられる。各々のポイントを見てみよう。
(1)売場情報
- 自社商品、競合商品を含め、「売れ筋商品」が分かる
- 売場での商品の状態を見れば、小売店の「商品管理」の仕方が分かる
- 売場の管理状況を見れば、自社商品がチャンスロスを起こしていないかが見えてくる
(2)商品陳列情報
- 新しい陳列の仕方やパターンは無いかをチェックし検討できる
- 自社商品や属する商品カテゴリーの関連陳列の有無やチャンスを検討できる
(3)販促情報
- 自社の販促の店頭での実現度はどうか? その売れ行き状況はどうか?
- 逆に、競合の販促内容やアピール度、売れ行き状況はどうか?
(4)納価情報
- 実は入手することが困難に思えるが、意外と個店の担当者が教えてくれる
- 他社と自社の納価や条件を比較検討する
(5)他店情報(企業間比較)
- 同時期に複数の流通企業を巡回すると、企業間の比較ができる
- また、同じ流通企業内でも、エリアによる格差を知ることができる
売場から見つかる情報は次期の本部商談や個店での商談における武器になる。これら五つの視点を持ってストアコンパリゾンを心掛けてはどうか。特別に構える必要は無いが、個店フォロー営業を行いながら、結果をコンパクトなシートに整理しておけば、自分だけの営業作戦立案時の心強い味方になる。本部バイヤーが欲しがっているのは、個店の情報であり、個店の店長が欲しがっているのは、他店の売場づくり情報である(図表)。
図表.情報整理シート

おすすめ新着記事

5G(第5世代移動通信システム)
5Gとは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」のことで、通信規格の名称。現在の「4G」に続く最新の規格で、日本では2020年3月から商用化が開始された。4K/8Kの高精細映像などの大容量コンテンツの伝送や、自動運転や遠隔ロボットへの活用、IoTの普及などが期待されている。

テイクアウト、デリバリーで伸びる洋風ファーストフード
コロナ禍で外食全体が苦戦するなか、ハンバーガーチェーンなどの洋風ファーストフード業態は、コロナ前の2019年と比較しても116.2%と伸長している。原動力となったのは、感染症対策がしやすく、テレワークなど働き方・ライフスタイルの変化に伴うテイクアウトやデリバリーの拡大だ。原材料の値上がりや、健康意識、環境配慮意識の高まりなどの不安要素はあるものの、今後も成長が期待される業態だ。

広まるネットショッピング 特定層に留まるSNS購買とフリマアプリ
コロナ禍でオンラインショッピングの利用が増えている。利用チャネルもアマゾンや楽天だけにとどまらず、多様な買い方がされている。今回は、その中でもSNSを通じた購買やフリマアプリの利用に焦点を当て、今後の利用拡大の可能性を探ってみた。



