商品やサービスの効用は消費量の増大によって減少するケースがある。いわゆる限界効用逓減の法則といわれるものである。例えば、仕事が終わった後に飲む1杯目のビールはとにかく美味いものだ。この時に得られる美味さという満足感が効用である。しかし、2杯目、3杯目と続けて飲んでいくと、効用は違ってくる。そのうち、ビールから日本酒に変えるなど飲む酒を変えることはよくあることだ。
仮に一杯目のビールの効用が4、2杯目は7、3杯目は9、4杯目、5杯目では10という効用レベルだったとする。飲む杯数を増やしていった場合の効用の総計は図表1のようになる。ここで、効用の増加分を取り出してみると図表2のように示すことができる。効用の増加分を限界効用といい、ビールを一杯追加した場合、この限界効用が次第に減少していくことを限界効用逓減の法則という。
あなたの営業活動でも、得意先との商談回数が増えるにつれ、得意先からみてその効用が逓減していることはないだろうか。得意先側からかかる電話の回数が減少している、面談あたりの時間が短くなってきている、得意先が抱えている課題について具体的な話をしてくれなくなった、といった変化はないだろうか。こうした場合、受注実績も横這いから減少へ向かう危険がある。一般的なビジネスでは 取引先は毎年平均15~20%が脱落していくとされる。脱落の原因として、自分自身の営業活動の限界効用逓減を疑ってみよう。脱落を5%低減できれば利益は上昇する。
営業活動の限界効用逓減を乗り越えるのは、あなたがセールスする商品・サービスを通じ、得意先の課題解決ができるという提案営業の王道をいくことだ。効用逓減していくということは、提案内容が得意先の課題解決にミートしていないこと意味している。こういう場合は、一度基本に戻ることをお勧めする。例えば、食品メーカーでは、その主要チャネルである食品スーパー等への「生活歳事提案」が常套句になっている。しかし、この生活歳事提案は食品スーパーのバイヤーから見ると、非日常性の買い物を来店客に提案することを意味している。提案営業において新規性ばかりを狙って生活歳事提案に終始しすぎてはいけない。再度、日常性の買い物を提案することである。この時期の旬の魚や野菜、そのエリアで対前週比で伸長してきている商材に目を付ける。ごく当たり前の日常性の中で無理なく売れるものが確実にボリューム(売り上げ)を稼げるテーマであることを再認識すべきである。この基本があって、新規性を打ち出す生活歳事提案が活きてくる。
おすすめ新着記事
成長市場を探せ ビスケット市場、4年連続プラスで初の4,000億超えに(2024年)
緩やかに増減を繰り返してきたビスケット市場が伸びている。2020年から4年連続プラスで、2023年はついに4,000億円を超えた。コロナ下でも堅調な動きを見せ、2023年の販売金額は4,260億円で、コロナ前の2019年比で1.13倍となった。
消費者調査データ ノンアルコール飲料 首位は「ドライゼロ」、追う「オールフリー」「のんある気分」
2022年のノンアルコール飲料市場は8年連続で拡大を続け、過去最高と推定される。調査結果をみると、ビールテイストの「アサヒ ドライゼロ」が、全項目で首位を獲得したが、再購入意向ではカクテルテイストやワインテイストなどのブランドも上位に複数ランクイン、ノンアルコール飲料の幅の広がりを示している。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 20代男性の内食志向にマッチして伸びる冷凍餃子
数ある冷凍食品の中で圧倒的1位の生産量を誇る冷凍餃子は誰がなぜどのように購入しているのか調べてみた。餃子の選好度、購入頻度、購入増減とも20代が他の年代に比べて高く、冷凍餃子は若い年代が牽引して、拡大してきていることがわかった。