「グリーン・コンシューマー」。昨今の健康・安全志向から従来のスーパーマーケットで売っている野菜や肉に満足せず、農薬や食品添加物を使わない無農薬有機栽培野菜や食品などを買い求める消費者のことである。現在こうした消費者が増えてきている。このための販売形態として産地直送が注目を集め、実際に大手スーパーの店頭などでは、「有機産物コーナー」が展開され、これまで有機などを知らなかった消費者までもが興味を持つようになり、市場が急拡大してきている。
環境市民団体「日本リサイクル運動市民の会」が母体となり、1988年にスタートした「らでぃっしゅぼーや」という有機野菜ブランドがある。日本で初めての「無・低農薬有機野菜」や安全な加工食品などを家庭に届ける会員制の「留め置き戸別宅配システム」として10年以上の歴史がある。
その「らでぃっしゅぼーや」が、宅配事業から次世代のスタンダードチャネルづくりとして、「エコロジー&オーガニック」のスーパーマーケット事業に進出し、各方面から注目されている。
ラディッシュはご存じ二十日大根。かわいいのに、どんな荒れ地でも育つ本当に力のある野菜のことである。語源は「ラディックス(Radix)」~ものごとの根っこ、根本という意味のラテン語。「ぼーや」は「坊や」。次世代をになっていく子供たち、つまり未来を意味している。この言葉には、次の世代の子供たちへ、物事の根本である「いのち」をより良く伝えていくという、「願い」そして「哲学」が込められている。
「らでぃっしゅぼーや」では、「作る人」と「食べる人」の"顔と顔の見える関係"を理念として掲げている。そのシステムは、単に有機食材を配達するだけでなく、誰が農作物を栽培したかを記し、生産者の紹介が顔写真入りのリーフレットとして配達物に封入されている。これは、健康と安全のためにどんな人がどんな場所でどのように作っているのかを知りたいと望む消費者の要求に応えるためである。
「らでぃっしゅぼーや」では厳しい基準をクリアした無・低農薬野菜と無添加食品を提供している。その栽培から生活者への宅配のシステムは以下の通りである。
(1)栽培システム:「五つの有機基準」
「らでぃっしゅぼーや」では、有機農業で頑張る生産者が、以下の厳しい基準による栽培を行っている。
- 有機堆肥を使う
- 土壌消毒は一切しない
- 除草剤は撒かない
- 反農薬のこと(やむをえず使用する場合は、何の目的で何回使用したか報告する)
- 自家食用と分けない
(2)品揃え:「注文品1,500アイテム」
豊富に揃った注文品は、素材や原材料を吟味し、信頼できる製法によって出来た農産品、水産品、畜産品、加工品、環境に配慮した日用品など1,500アイテムを毎週自由に1週当たり約450アイテム注文できる。大きくは以下のような「定番」と「季節商品」の2通りがある。
1) 定期品:「野菜ぱれっと」
「らでぃっしゅぼーや」が宅配する、畑におまかせの野菜セットのこと。
畑におまかせして継続的に購入することで会員は旬を味わうことができ、生産者は安心して生産することが出来る。
2) 準定期品
野菜パレットと同様に、その他の農産品、畜産品など安心して食べられるものを、生産者が安定して取り組むことを実現するために、あらかじめ「らでぃっしゅぼーや」の会員が期間と量を予約するシステム。
またこれらの農産物の情報は「畑情報」として、全国生産者の農場名、生産者名とともに随時公開されている。宅配物への封入はもちろん、インターネットの自社HPの中で逐一更新されている。
(3)宅配システム:「留め置き戸別宅配システム」
配達は週に1回。決められた曜日の午後から夜にかけて専用冷蔵車で届ける。
留守の時は指定の場所に置いていく「留め置き」なので、勤労者世帯や留守宅でも再送の手配をする手間を省ける。現在、産直地域は19都道府県に及ぶ。これらのエリアには、全国6カ所の自社の物流センターから配送され、それ以外の府県では最寄りのセンターからヤマト運輸の「クール宅急便」が委託配送を行っている。
こうした厳格なシステムと地道な有機の育成の努力が口コミとパブリシティによって拡がり、現在では220グループ(約2,000人)の農・蓄・水産業の生産者、加工食品メーカー162社、そして約5万5千世帯の会員数を誇るネットワークを形成するまでに至っている。
おすすめ新着記事
消費者調査データ シャンプー(2024年11月版) 「ラックス」と「パンテーン」、激しい首位争い
調査結果を見ると、「ラックス(ユニリーバ)」と「パンテーン(P&G)」が複数の項目で僅差で首位を競り合う結果となった。コロナ禍以降のセルフケアに対する意識の高まりもあって、シャンプー市場では多様化、高付加価値化が進んでいる。ボタニカルやオーガニック、ハニーやアミノ酸などをキーワードに多様なブランドが競うシャンプー市場の今後が注目される。
消費者調査データ レトルトカレー(2024年11月版) 首位「咖喱屋カレー」、3ヶ月内購入はダブルスコア
調査結果を見ると、「咖喱屋カレー」が、再購入意向を除く5項目で首位を獲得した。店頭接触、購入経験で2位に10ポイント以上の差をつけ、3ヶ月内購入では2位の「ボンカレーゴールド」のほぼ2倍の購入率となった。
「食と生活」のマンスリー・ニュースレター 伸長するパン市場 背景にある簡便化志向や節約志向
どんな人がパンを食べているのか調べてみた。主食として1年内に食べた頻度をみると、食事パンは週5回以上食べた人が2割で、特に女性50・60代は3割前後と高かった。パン類全体でみると、朝食で食事パンを食べた人は女性を中心に高く、特に女性50代は6割以上であった。