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「これからどうなる? 47都道府県の経済天気図」 地域経済の天気予報を行う狙い
 日本経済は、長くて冷たい不況から脱したようだ。多くの経済シンクタンクは、漸く晴れ間のみえるおよそ2~3%程度の安定的な経済成長の軌道に乗りつつあると予測している。政府も経済成長戦略を打ち出している。しかし、地域経済の将来の行方はよくみえない。地域経済の動向は、雇用、収入水準、利子率などの所得を推し量り、教育や雇用機会のための地域移動の選択に不可欠な情報である。
しかし、景気などの日本経済全体の情報は巷に溢れても、地域経済についての情報は少なく、公表されていても経済の専門家しか見ないものが多い。本書は、地域経済の、過去を少々振り返り、現在の課題に焦点をあて、未来を展望し、短期及び長期の地域経済の「天気予報」を試みるものである。
世には様々な予測がある。これらを予測の精度、すなわち的中率で並べると、天気予報、経済予測、株価予測、人口予測、技術予測、社会予測、経営予測の順であると分析されている。因みに、気象庁の分析によれば、日本全国の「明日の降水確率」の的中率は82%と高い。1950年代の約70%台の精度と比較すると、約50年で10%以上予測精度が向上している。しかし、1週間後となると少し低下し65%となる。
外に出かけるのに傘が必要かどうかの判断には、天気予報はかなりの確率で信頼できる。しかし、5日に一度は外れる可能性もあり、1週間後となると的中率は50%を切る可能性が高い。地球温暖化などの長期予報は残念ながら当てにできないようだ。
本書が「地域経済の天気予報」を目指す狙いは、ひとつは、就職、収入格差、転勤などによる移動や故郷へのUターンなどの身近な生活に役立つ地域経済についての主に長期の趨勢や動向をまとめることであり、もうひとつは、数ある予測のなかの「予測の王者」である天気予報にあやかりたいという願望からである。
狙いを達成するためにとった方法は、天気予報のようにスーパーコンピュータを導入して数理モデルによってシミュレーションをすることではなく、大手の消費財メーカーのマーケティングリサーチをベースにした地域営業や経営についてのアドバイスの実務、主に、地域経済の典型的な課題を持つ岩手県の経済を分析してきた経験、そして、両者の分析や問題解決に必要なマーケティング、経営や経済学の蓄積、そして、執筆メンバーによる顔をつきあわせての議論にもとづく経験科学的な方法である。
 我々の分析によれば、すべての地域が楽観的とは言えない経済天気図になったが、どの地域にもチャンスは無限にある。地域経済の苦しさを糊塗するよりも、厳しい現実を提示した方が有効と信じたからである。本書が地域経済に暮らす読者のみなさんに少しでもお役に立てば幸いである。

(株)ジェイ・エムー・アール生活総合研究所
松田 久一

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