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消費経済レビュー Vol.23
世代区分の情報統計量を使った有効性の検証

 本研究は最適な世代区分を統計的方法によって探索することを目的とする。ここで、我々が定義する世代は以下の通りである。
 「世代とは、同年代生まれの集団(コウホート)が、心理、道徳の発達段階や同じ社会的な役割を担うライフサイクル期に、社会的節目となるような同時代体験をすることによって、同質的な価値観や考え方を共有し、社会現象を生む社会集団である」
 普段我々がよく目にする世代の分析では、例えば「10代の世代」といった言い方のように、世代と年代が混同して用いられたりする誤用の他、「1990年代生まれ」のような「西暦の生まれ年による区分」や、「昭和生まれ」のような「元号による区分」など、便宜的あるいは恣意的な区分が用いられたりなどしている。いずれも、上記の定義における世代の特徴把握には程遠く、単に生まれ年がある領域内に含まれる集団の分析を行っているにすぎない。世代効果を抽出するコウホート分析の世代区分も、取得されたデータの時点に依存することもあって、同様の扱いとなってしまっている。世代分析で用いる世代区分は、このような恣意的・便宜的な区分ではなく、上記の世代の定義を反映した適切な区分を定めて、それに基づいて行われるべきであると我々は考える。
 上記定義による世代を考える上では、「区分の長さ」「区分の起点」そしてそれら「区分の根拠」の3要件が重要である。区分の長さはライフサイクル1局面の長さに一致し、循環史観の公理に立てばその区分は等間隔であることが言われている。区分の起点は、重大な社会的出来事が起きた時期をもとに判断される。
 これら世代の定義や要件を考慮し、区分の長さ、区分の起点を統計的に探索する。探索方法としてはコウホート分析の応用である自動区分コウホート、および二次元分割表における説明変数の説明力を情報量基準AICによって測るCATDAPの2種類を検討する。自動区分コウホート分析は、世代区分の恣意性を問題とし、より世代効果をうまく抽出できる区分を探索する。これは本研究と同じ目標をもつが、標準コウホート表を初期設定として用いる限り、完全に全ての区分を探索できることにはならないという問題がある。また、コウホート分析自体にも識別性の問題やデータの追加による解の不安定性の問題など課題が多い。一方のCATDAPは、横断データを用いた分析であるため、データの制約上、世代効果と年代効果の分離までは想定されていないという問題点はあるが、世代区分を比較的自由に探索できるメリットを重視し、本研究ではCATDAPに準じた分析を試みる。
 分析では、63の価値意識項目それぞれに対し、説明力を最ももつ世代区分を特定した上で、特定された63個の世代区分を区分の長さと区分の起点で集計し、その頻度をみることで適切な区分の探索を行った。分析の結果、世代区分の長さは21~24年程度、世代区分の起点は1980~1981年生まれ(2012年時点の年齢で31~32歳)が妥当であるという結論が得られ、世代区分の根拠とも整合性のとれるものとなった。
 本研究の今後の課題は、横断データ使用による世代差と年齢差の混交や、性差による影響などを考慮することである。前者は分析に用いる価値意識項目の精査によって克服が可能であると考える。
(2014.03)


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