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消費経済レビュー Vol.22
消費者からみた消費税増税に対する評価とその影響


 本稿では、消費税増税が支出意欲に及ぼす影響を整理し評価するとともに、消費税増税が支出行動に及ぼす影響として、消費税増税に伴う駆け込み需要と反動減の大きさを分析・試算した。
 消費税増税が支出意欲に及ぼす影響を整理すると、消費増税への反対姿勢が強い層を中心に、消費税増税が支出意欲の減退につながりやすい。だが、消費税増税を巡る態度以上に、収入見通しや暮らし向き見通しといった経済諸見通しの方が、支出意欲にはより強く影響する。中でも、景気見通しの改善は、暮らし向き見通しを介して、支出意欲の改善につながる。景気見通しの改善には、政権支持や政策への信認の確保が重要である。加えて、政権支持並びに政策への信認が高まれば、消費税増税も受け容れやすくなり、支出意欲減退の悪影響も和らぐ。消費税増税は、単体での影響だけでその是非を論じるべきではなく、一連の政策パッケージとして、他の政策オプションが支出意欲にもたらすプラス・インパクトも勘案しつつ、消費への影響を見極める方が望ましい。
 消費税増税に伴う駆け込み需要について分析結果を整理すると、日用品を中心に駆け込み購入の意欲は高く、住宅やクルマといった大型耐久財では需要前倒しの動きが鮮明である。駆け込み購入の大きさは、将来価格の上昇に伴う「代替効果」と「所得効果」の大小に左右される。日常生活財では、物価の上昇見通しが強ければ強いほど、また節約姿勢が強ければ強いほど、駆け込み購入の行動がより出やすい。ストック性の高い日用品は買いだめがしやすい分、物価上昇に伴う駆け込み購入の行動もより一層起こりやすい。大型耐久財を代表して住宅に着目すると、地価の上昇見通しが強ければ強いほど、駆け込み購入の行動がより出やすく、部分的ながらも金利の上昇見通しが住宅の駆け込み購入を促している。大型耐久財はストック性が極めて高いために、「代替効果」の出方は日常生活財よりも大きくなりやすい。また、住宅ローンの組み方等の工夫次第で「所得効果」の影響を極力抑えられることや、将来の地価上昇に伴うキャピタルゲインのメリットが「代替効果」の出方をより大きくしていることなども、住宅での駆け込み購入の誘因をより一層強いものにしている。
 消費税増税後の需要の反動減の大きさを試算すると、需要先食いの大きさは、乗用車では3~5ヶ月分にとどまっているが、住宅だと少なくとも半年分超、最大で1年分相当の需要を先食いすると予想される。需要の反動減の影響は、住宅の場合には数十年規模(1世代20~30年程度のスパン)で薄く長く引きずっていくこととなる。こうしたサイクル要因と、少子化の影響で住宅の新規購入層は益々先細りとなるという構造要因とで二重に下押し圧力が働くために、住宅市場では需要低迷が20~30年というスパンで長期化していく恐れがある。他方、乗用車では、需要の反動減の影響は相対的に短期間で厚めに出てくることとなるが、乗用車の場合には需要先食いの大きさ自体が比較的小さめであることを加味すると、反動減の影響は小規模かつ短期で終息する可能性もある。
 駆け込み需要として一旦先食いした分は後戻しはできない以上、消費税増税後の需要の反動減の影響は甘受せざるを得ない。政府としては、消費税増税後に顕在化する需要へのマイナス・インパクトを極力緩和していく政策対応が求められる。消費増税によって消費者から直接吸い上げられる購買力を補填すること以上に、消費マインドを悪化させて不必要に節約姿勢を強めてしまわないようにすることの方が重要である。問題解決に必要なのは、政権支持や政策への信認の確保であり、一旦足踏み状態にある消費者のマインド改善を促し盤石なものとしていくことである。

 2013年10月1日夕方の記者会見にて、安倍首相は、2014年4月より消費税率を5%から8%へと引き上げる旨を正式表明するとともに、消費税増税の影響を緩和するための需要下支え策として、5兆円規模の経済対策を12月上旬までに策定することも併せて示した。当初は、「早ければ、2013年8月に出される、2013年4-6月期GDP(一次速報)の結果次第で」ともいわれていた消費税増税の最終判断表明のタイミングも、「GDP(二次速報)が出る2013年9月上旬あたりを目途に」へと徐々に後ろずれしていき、最終的には「日銀短観が出る10月初めを目途に」までずれこむこととなった。
 それまで続けてきた判断先送りもタイム・リミットを迎えることとなったが、安倍首相含めた官邸周辺は消費税増税の実施に対する慎重姿勢を最後まで崩さなかった。次の2015年10月から予定されている消費税率10%への引き上げに関しても、安倍首相は「改めて経済状況等を総合的に勘案して判断時期も含めて適切に判断していきたい」としている。今回の動きを踏まえると、税率10%への引き上げに対する最終判断表明のタイミングも、ギリギリまでずれこむ可能性が高いかもしれない。
 本稿では、弊社インターネット・モニターを対象にこれまで継続的に行ってきた調査の結果をもとに、消費税増税を巡る消費者自身の評価を整理するとともに、消費税増税が支出行動に及ぼす影響を分析していく。
(2013.10)


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