半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

消費経済レビュー Vol.22
Economic Outlook for Japan -本格回復へと離陸する景気と消費

 実質GDPは3四半期連続のプラス成長となり、景気は順調な回復をみせている。民間最終消費支出はプラス成長が続く。輸出は米国向けがプラスを保ち、中国向けもプラスに転じ、EU向けもプラス転換へあと一歩だ。立ち遅れていた民間企業設備投資もプラス成長への転換を果たし、需要の三本柱の足並みが揃ってきた。在庫・生産調整は着実に進展しており、景気回復のピッチが上がれば生産拡大・在庫積み増しの拡張局面へ進みそうだ。
 消費支出は息長く回復の動きを続けていたが、目下は足踏み状態にある。選択的支出が消費を牽引する一方で、基礎的支出は回復にもたついている。商業販売も直近では伸び率は落ち込みをみせるなど、復調傾向に一旦ブレーキがかかっている。だが他方で、雇用環境と収入環境はともに、改善の動きが着実に進展している。消費マインドは悪化の動きが続いてきたが、2020年東京五輪開催の正式決定がマインド転換の契機となりそうだ。
 日本経済に関するシンクタンク各機関のシナリオを総合すると、2013年度は設備投資の回復の動きは鈍い中で消費の健闘が光るシナリオが基本線である。2014年度は個人消費のスランプが際立つ中で設備投資への依存を深めていくシナリオが筆頭だが、圧倒的多数派を形成するには至ってない。設備投資の動向次第で、2014年度の有力シナリオは変わってきそうだ。
 弊社の独自調査によると、景気と雇用環境の見通しは2013年に入り急速に改善したが、足許では一旦足踏み状態となっている。他方で、収入状況と収入見通しのいずれも、改善の動きが続く。支出状況は実態面と意向面の双方で、前向きな動きが出てきている。
 2013年度の日本経済の先行きを占うと、確定要因として、消費税増税は2014年4月からの実施が決まり、増税に伴う需要の反動減への対策も盛り込まれる。「成長戦略」として、設備投資減税の拡充と法人税率の引き下げが盛り込まれそうだ。在庫調整・生産調整は「意図せざる在庫減局面」に入り、今後は生産の拡大が見込まれる。物価上昇率はプラスが定着するが、インフレ目標の2%には届かず、しばらくは低インフレで推移しそうだ。海外景気の回復基調を背景に、輸出は緩やかな回復を続ける。不確定要因である「設備投資」「雇用・収入環境」「個人消費」について弊社の見解を示すと、設備投資は、設備投資減税の拡充や法人税率の引き下げなどをテコに、本格的な立ち上がりをみせていく。雇用環境は改善の動きが持続する。収入環境も、残業代等を中心に収入の伸びはプラスが続き、収入見通し好転の裾野も更に広がる。消費者自身で収入改善の手応えを実感し始めることとなろう。個人消費については、国内景気の堅調な推移を支えに、消費回復の裾野も広がっていく。消費税増税前の駆け込み需要も持続する。円安を引き金とした価格上昇は続くが、消費へのマイナスの影響は限定的だ。2013年度内は、個人消費は底堅い動きを続ける可能性は高い。
 日本経済の先行きに対する弊社の総合的な判断は、雇用・収入環境の良好さを背景に、設備投資も個人消費も堅調な推移をみせていく「内需拡大・景気本格回復シナリオ」を採用したい。次善のシナリオとしては、設備投資が回復して堅調な推移をみせるとともに、雇用・収入環境も良好さを保つが、個人消費は息切れし低迷する「投資堅調・消費低迷シナリオ」と、雇用・収入環境も堅調さを保ち、個人消費も底堅い動きを続けていくが、設備投資の回復の動きは鈍く低迷が続いていく「消費堅調・投資低迷シナリオ」のふたつを挙げておきたい。
(2013.10)


消費経済レビューの本文をご覧になるには、プレミアム会員にご入会下さい。
消費経済レビューは、プレミアム会員限定コンテンツとなっています。
プレミアム会員は、当社メンバーシップサービスの全てのコンテンツに加えて、
「情報家電産業のリバイバル戦略 -エンド価値志向の多層化戦略-」ほか、
当社のオリジナル研究レポートのご利用が可能なプレミアムサービスです。
この機会に是非プレミアム会員へのご入会をご検討ください。

新着記事

2024.10.10

24年8月は「完全失業率」は改善、「有効求人倍率」は悪化

2024.10.09

24年8月の「消費支出」は4ヶ月連続のマイナスに

2024.10.09

24年8月の「家計収入」は4ヶ月連続のプラス

2024.10.08

企業活動分析 味の素の24年3月期は販売単価の上昇や為替の影響で過去最高益を更新

2024.10.07

MNEXT 価値の根拠は何か―欲望を充当するもの(要約版)

2024.10.07

企業活動分析 株式会社ニトリHD24年3月期は決算期変更の影響もあり減収減益

2024.10.04

消費者調査データ 紅茶飲料(2024年10月版) 首位「午後の紅茶」、「紅茶花伝」に水をあける

2024.10.03

24年9月の「乗用車販売台数」は2ヶ月ぶりのプラス

2024.10.02

24年8月の「新設住宅着工戸数」は4ヶ月連続のマイナス

2024.10.01

MNEXT 日本人消滅論の錯覚―世相批判の論理(2024年)

2024.09.30

企業活動分析 しまむらの24年2月期は全事業で既存店1店舗当たりの売上高が上昇し増収増益へ

2024.09.30

企業活動分析 ファーストリテイリング23年8月期は売上・営業利益ともに3期連続で過去最高を達成

2024.09.30

消費からみた景気指標 24年7月は7項目が改善

2024.09.30

24年8月の「ファーストフード売上高」は42ヶ月連続のプラスに

2024.09.30

24年8月の「ファミリーレストラン売上高」は30ヶ月連続プラス

2024.09.27

24年8月の「コンビニエンスストア売上高」は9ヶ月連続のプラスに

2024.09.27

24年8月の「全国百貨店売上高」は30ヶ月連続のプラス、高額品やインバウンドがけん引

2024.09.27

24年8月の「チェーンストア売上高」は既存店で再びプラスに

2024.09.26

24年7月の「旅行業者取扱高」は19年比で72%に

2024.09.26

24年7月の「広告売上高」は、3ヶ月連続のプラス

2024.09.25

24年7月の「商業動態統計調査」は4ヶ月連続のプラス

2024.09.24

MNEXT 価値で捉え、群れ集団を狙えー2025年のマーケティング

2024.09.24

24年8月の「景気の先行き判断」は5ヶ月ぶりに50ポイント超え

2024.09.24

24年8月の「景気の現状判断」は6ヶ月連続で50ポイント割れに

2024.09.20

消費者調査データ ミネラルウォーター(2024年9月版) 全項目首位「サントリー 天然水」、リピート意向の高いPB

週間アクセスランキング

1位 2024.10.01

MNEXT 日本人消滅論の錯覚―世相批判の論理(2024年)

2位 2017.09.19

MNEXT 眼のつけどころ なぜ日本の若者はインスタに走り、世界の若者はタトゥーを入れるのか?

3位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

4位 2009.05.08

中国市場の現在 世界一は中国一になれるか?-ウォルマートの上海進出

5位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

パブリシティ

2023.10.23

週刊トラベルジャーナル2023年10月23日号に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事「ラーケーションへの視点 旅の価値問い直す大事な切り口」が掲載されました。

2023.08.07

日経MJ「CM裏表」に、当社代表取締役社長 松田の執筆記事が掲載されました。サントリー ザ・プレミアム・モルツ「すず登場」篇をとりあげています。

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area