消費経済レビュー Vol.14 |
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家計調査を用いた食支出の分析 | |
近年、景気悪化の影響や、人口の減少、そして少子・高齢化、そして、核家族が増加していることなどを受けて食生活のあり方が変化してきているようにみえる。また、個人個人の趣向の分化とともに食の多様化も進んでいるように思われる。 そこで、本章では家計調査のデータの分析を行い、家庭における食事の変化と今後についてとらえていく。特に、食に関する支出について「内食」「中食」「外食」という観点から、それぞれの現状や時系列推移、その変化の要因の特定、そして今後の予測について扱った。 結果として、三つのことがわかった。 まず、現状については二人以上世帯における食への支出金額の増減をみると、一見、内食や外食はやや減少しているようにみえるが、すべての世帯の総額でみた場合にはやや増加、また実質でみた場合には中食が最も増加傾向にあることなどがわかった。 またこれらの変化をもたらしている要因として、コウホート分析を用いてそれぞれ加齢、時代、世代のいずれの効果が強いのかについて検証した結果、中食は世代、外食、内食は、加齢による違いが大きいことがわかった。 最後に今後の傾向については、コウホート分析の結果および世帯数の時系列データを用いて予測した結果、二人以上世帯では、今後支出金額の減少傾向があることなどがわかった。 このように様々な観点から、食に関する分析を通じて、その移り変わり、そしてそれらの要因について把握することができた。特に、世代をはじめさまざま要因が内食、中食、外食などの違いを生み、現代における食の変化を生んでいるといえるだろう。そして、このような変化の要因は、今後二人以上世帯における内食の支出金額の減少など日本人の食の構造変化をもたらすと考えられる。 (2010.06)
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