消費経済レビュー Vol.13 |
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Economic Outlook for Japan | |
世界的な不況に伴う外需の急減のあおりを受け2008年度にマイナス成長に甘んじた日本経済は、2009年度入り後は輸出と民間最終消費支出の回復によりプラスへの急反転をみせたものの、回復のレベルとしては経済スランプからの反動増の域に止まっている。民間企業設備投資はここ1年、製造業・非製造業ともに二桁のマイナス成長を続け、回復の兆しは見えない。設備投資の低迷長期化が本格回復への足かせとなっており、外需の回復から設備投資積極化への波及経路はうまくつながっていない。 雇用の伸び率は2009年5月以降マイナスに転じ、所得の伸びも2009年11月以来マイナスのままなど、雇用・所得環境の悪化は依然として続いている。消費支出の伸びは実質ベースでほぼ横ばいであるが、基礎的支出の伸びは2009年の6月以降マイナスが続いている。消費マインドは、それまでの改善傾向から2009年10月を境に悪化に転じている。 日本経済に関するシンクタンク各機関の想定シナリオを総合すると、2009年度は外需が堅調だが設備投資と個人消費はともに悪化するとの見方が多いが、2010年度は特に後半に入り外需を中心に景気が牽引され設備投資と個人支出もやや改善するという見方が出てきている。 当社の独自調査によると、景気と雇用環境の見通しはいずれも悪化の方向に転じており、収入の状況については実態と見通しともに減少傾向を強めている。支出実態と今後の支出意向についても、減少傾向が認められる。 2010年度の日本経済の先行きを占うと、足取りが軟調な米国の景気は本格回復にはなお遠く、中国も上海万博後に景気は一旦スローダウンする可能性があり、インドやブラジルなど他の新興国の勢いもやや鈍化すると見込まれ、これまで好調さを保ってきた日本の輸出にも一服感がみられることとなろう。雇用・収入環境には改善の兆しはみられず、2009年に入り本格化したデフレ圧力が収入の押し下げへと波及するデフレスパイラルの危険性すら孕みつつある。消費マインドは更に悪化するとともに、デフレに伴う低価格化に購入数量の下方調整が加わり、個人消費の悪化は更に進むこととなろう。 2010年度の日本経済の先行きに対する当社の総合的な判断は、輸出が低迷し、雇用・収入環境も悪化、個人消費も悪化していく「内外需低迷不況本格化シナリオ」を採用したい。次善のシナリオとしては、雇用・収入環境と個人消費は悪化するものの輸出は堅調さを保っていく「外需依存・消費低迷本格化シナリオ」と、輸出が低迷し雇用・収入環境も悪化するものの個人消費は現状維持を保つ「外需低迷・雇用収入悪化シナリオ」のふたつを挙げておきたい。 (2010.02)
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