半歩先を読む日本最大級のマーケティングサイト J-marketing.net

消費経済レビュー Vol.12
Economic Outlook for Japan

 外需に支えられて成長してきた日本経済は、世界的な不況のあおりを受けた外需の減少により2008年第2四半期には、GDP成長率がマイナスに転じ、2008年第4四半期、2009年第1四半期にはGDP成長率は大幅なマイナスを記録した。しかし、第2四半期では再びプラス成長にもどしている。
 設備投資の動向を見ると、2007年以降はマイナスになり、産業別でみても、非製造業のみならず製造業でも2008年第3四半期からはマイナスになっている。また、設備投資計画をみても、2009年度には多くの産業で2008年度より下回る見込みである。
 在庫循環については、すべての財において在庫調整局面に突入し、急激な調整を企業側が行っていることがわかる。ただし、徐々に調整局面から脱しはじめている。
 雇用・所得環境については、雇用は伸び率が横ばいである。一方、所得の伸びは、現金給与総額、超過給与支払額ともに全体としてはマイナスに転じている。つまり、企業の業績悪化の結果、家計の収入は減少している。
 消費については、消費支出をみると実質では前年同期と比べるとほぼ横ばいとなり、消費マインドは底打ちし、やや改善がみられる。
 2009年度および2010年度の日本経済に関するシンクタンク各機関の想定シナリオを総合すると、2009年度は内需、外需ともに全面悪化するとの見方もあるが、内需については回復はしないものの横ばいを維持するという見方のほか、特に2010年度にかけて外需を中心に景気が牽引されるという見方もある。
 弊社の独自調査によれば、景気の現状認識、雇用環境の変化認識は、いずれも悪化の方向への動きが認められる。しかし、その一方で今後の景気認識や、雇用環境認識についてはやや改善へ向かっていることがわかる。しかし収入の状況については、実態面、見通しともに、悪化の傾向が認められる。足もとの支出実態については、変わらないとする人が増え、維持の傾向がみられる。同様に支出意向についても現状維持の傾向がある。
 以上の議論より、2009年度の日本経済の先行きを占うと、個人消費については現状を維持する傾向がみられ、輸出は、米国のみならず中国をはじめとした諸外国との取引も当分は不透明であり、全体として当面は消費堅調のシナリオが基本的な想定である。景気見通しなどのマインドの改善が消費に好影響を与えるとする見方もあるが、収入、雇用といった面での不安はまだ大きい。また、設備投資は全体的に調整局面に突入しており、企業の業績の改善にはしばらく時間がかかるであろう。
 弊社の総合的な判断は、「消費主導型ソフトランディングシナリオ」を採用したい。次善のシナリオとしては「雇用・生産調整進行シナリオ」と「消費低迷雇用調整進行シナリオ」のふたつを挙げておきたい。
 海外経済の動向で悪化がみられるとともに、これまでの高成長を支えてきた設備投資が減少する中で、残った消費は2008年までは大幅な減少は回避してきた。さらに、公表された統計並びに弊社モニター調査によると、消費者のマインド面では傾向としては底打ちがみられた。こうした見方が今後実態面の改善に波及するか、それとも雇用や収入の不安を契機として再び二番底へ向かうのかどうかに着目していく必要があろう。
(2009.10)


消費経済レビューの本文をご覧になるには、プレミアム会員にご入会下さい。
消費経済レビューは、プレミアム会員限定コンテンツとなっています。
プレミアム会員は、当社メンバーシップサービスの全てのコンテンツに加えて、
「情報家電産業のリバイバル戦略 -エンド価値志向の多層化戦略-」ほか、
当社のオリジナル研究レポートのご利用が可能なプレミアムサービスです。
この機会に是非プレミアム会員へのご入会をご検討ください。

新着記事

2025.02.13

24年12月の「消費支出」は2ヶ月連続のプラスに

2025.02.13

24年12月の「家計収入」は3ヶ月連続のプラスに

2025.02.12

24年12月の「現金給与総額」は36ヶ月連続プラス、「所定外労働時間」はマイナス続く

2025.02.12

24年12月は「有効求人倍率」は横ばい、「完全失業率」は改善

 

2025.02.10

企業活動分析 エバラ食品工業株式会社 24年3月期は業務用好調で増収も原価率上昇で減収に

2025.02.10

企業活動分析 東洋水産株式会社 24年3月期は価格改定が奏功し売上利益ともに過去最高更新

 

2025.02.07

消費者調査データ チョコレート(2025年2月版) 首位「明治チョコレート」は変わらずも、PBのリピート意向高まる

2025.02.06

25年1月の「乗用車販売台数」は3ヶ月ぶりのプラス

2025.02.05

提言論文 新しい群れ集団が生む市場ダイナミズム

2025.02.04

24年12月の「新設住宅着工戸数」は8ヶ月連続のマイナス

  

2025.02.03

企業活動分析 本田技研工業 24年3月期は、販売台数増加により増収増益、営業利益は過去最高に

2025.02.03

企業活動分析 日産自動車株式会社 24年3月期は、販売台数増加に加えコスト管理により増収増益

  

2025.01.31

消費からみた景気指標 24年11月は7項目が改善

2025.01.30

24年12月の「ファーストフード売上高」は46ヶ月連続のプラスに

2025.01.30

24年12月の「ファミリーレストラン売上高」は34ヶ月連続プラス

2025.01.29

24年12月の「全国百貨店売上高」は2ヶ月連続のプラスに

2025.01.29

24年12月の「チェーンストア売上高」は既存店で2ヶ月連続のプラスに

2025.01.29

24年12月の「コンビニエンスストア売上高」は13ヶ月ぶりのマイナスに

2025.01.29

24年11月の「商業動態統計調査」は8ヶ月連続のプラス

2025.01.28

24年12月の「景気の先行き判断」は4ヶ月連続の50ポイント割れに

2025.01.28

24年12月の「景気の現状判断」は10ヶ月連続で50ポイント割れに

2025.01.27

「食と生活」のマンスリー・ニュースレター No.168 管理職は筋トレ率2倍! 20〜30代の美容・健康意識がプロテイン市場をけん引

週間アクセスランキング

1位 2024.08.02

提言論文 値上げほどの値打ち(価値)はないー消費者の主要30ブランド価値ランキング

2位 2024.03.13

戦略ケース なぜマクドナルドは値上げしても過去最高売上を更新できたのか

3位 2025.02.05

提言論文 新しい群れ集団が生む市場ダイナミズム

4位 2024.03.08

消費者調査データ カップめん(2024年3月版)独走「カップヌードル」、「どん兵衛」「赤いきつね/緑のたぬき」が2位争い

5位 2013.03.22

MNEXT ビックカメラによるコジマの買収はメーカーを巻き込んだ衰退業界再編の始まり

ENGLISH ARTICLES

2023.04.17

More than 40% of convenience store customers purchase desserts. Stores trying to entice shoppers to buy desserts while they're shopping.

2023.02.22

40% of men in their 20s are interested in skincare! Men's beauty expanding with awareness approaching that of women

2022.11.14

Frozen Foods' Benefits Are Expanding, and Child-raising Women Are Driving Demand

2022.09.12

The Penetration of Premium Beer, and a Polarization of the Growing Beer Market

2022.06.20

6.9 Trillion Yen Market Created By Women― Will Afternoon Tea save the luxury hotels in the Tokyo Metropolitan Area