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季刊 消費経済レビュー
III. 戦略事例研究:薄型テレビ市場

 日本の薄型テレビ市場は急速な市場拡大を続けている。2002年のサッカー日韓ワールドカップ、2004年のアテネオリンピックという世界的なビッグイベントが後押ししたのは事実であるが、最も大きな要因は多数のメーカーが品質の高度化と低価格化で凌ぎを削っていることにある。この薄型テレビ、DVDレコーダー、デジタルカメラを「新三種の神器」と呼び、「ものづくり」による自信回復が日本の情報家電メーカーの業績回復につながっていると言われている。確かに収益は拡大しているが、自動車業界のトヨタ自動車や同じ情報家電メーカーの韓国サムスン電子と比較すると、それほど大きな高収益に結びついていないという現状がある。なぜこのような状況になっているか、業界構造を分析し、有力企業の戦略について分析した。
 有力企業の戦略をそれぞれ分析していくと、現在の競争優位は「ハイエンドの驚きのものづくり」のシャープと「巨大投資による量産優位」のサムスンにあるという結論に至った。基幹部品であるパネルから完成品まで一貫して生産できる企業が優位を構築している。しかし、今の競争優位を持続して、持続的に高収益を得るためには「ものづくり」から次のステップに進んでいく必要がある。そのひとつの切り口として単品の強さに、サービスや情報コンテンツをバンドルしていくことで、高度化するユーザーのニーズに対応する方向がある。こうした観点から、コンテンツ資産とネットワークに強いソニーに、今後の可能性があるとみた。
 薄型テレビ市場は2010年頃まではこのまま順調に拡大していくことが見込まれるが、その後、日本市場は急速に飽和状態を迎えることになる。当然日本市場だけを睨んでいては、今後拡大するであろう海外市場においてサムスンに敗れてしまう。今後、業界構造がどのように変化し、どのような成功条件があるのか。そしてその条件に適合した企業はどこなのか。鍵はグローバル市場を見据え、「ものづくり」にサービスや情報コンテンツとの相乗効果を生み出し、顧客のニーズに対応することにある。
(2005.01)


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