ヤマダ電機2018年3月期の連結決算は、売上高1兆5,739億円(前年同期比0.7%増)、営業利益388億円(同33.0%減)、経常利益473億円(同28.3%減)と、売上はほぼ横ばいながら大幅減益となった。品目別の売上高は、家電・情報家電が1兆3,226億円(同1.3%減)、非家電が2,513億円(同12.6%増)であった。長期にわたり好調を維持してきた冷蔵庫に一服感がみられ、パソコンなどのデジタル関連は伸び悩んだものの、テレビは単価上昇により底堅く推移、洗濯機・クリーナー・白物家電も買い替え需要に下支えされ、底堅く推移した。家電市場における部門間の強弱はあるものの、堅調な需要に下支えされたことに加え、住宅関連事業が軌道に乗り始めたことから売上は微増となった。ヤマダは17年6月から郊外型店舗テックランドを中心に家電とインテリア・雑貨を融合した新業態「家電住まいる館」への転換を進めており、その影響で利益は大きく落ち込んだ。5ヶ年の中期経営計画の4年目となる2018年度は、100店舗の 「家電住まいる館」の出店、EV(電気自動車)開発のためのベンチャー企業への出資など、攻めの方針を打ち出していたが、中間決算では大幅な下方修正を発表、通期でも売上高が前回予想を680億円下回る1兆6,440億円(同4.5%増)、営業利益が427億円下回る294億円(同24.2%減)の下方修正となった。家電販売だけに頼らない新しい収益モデルへの改革に伴う費用増が利益未達の主要因だが、その後は改善に向かっている。「住宅まるごと」サービスという新たなビジネスモデルへのシフトが、今後どのように進展するのか注目される。
参照コンテンツ
- 戦略ケース 大幅減収続く家電量販店は「住宅事業」に活路を求める ~LIXILがエディオンの筆頭株主に~(2013年)
- 戦略ケース ソフマップ秋葉原本館オープン-秋葉原の勢力図は変わるか?(2007年)
- 戦略ケース どこまでいくか、ヤマダ電機 -家電流通市場の寡占化(2005年)
- 戦略ケース バーチャル化に生き残りを賭けるデオデオ(2000年)
競合他社の業績と比較分析する
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